前編
「クソっ!どうしてだよ!どうして……!」
目の前には俺を守るために腕が模げ、腹を切られて、片目を失ってしまった少女がいる。
「ごめ……んね……こんな事でしか……貴方を……守れなかった……」
滝のように血が流れているのにその少女は言葉を話す
「もういい!……もう喋らないでくれ……せめて苦しくないように逝ってくれ……」
俺は願いの事のように目の前にいる少女に言葉を発する
「私の体を使って貴方自身を守る武器や防具にして……そうしたら私は……もう一度貴方を守る事ができる……だから……そんな悲しい顔をしないで……」
「守れない事に泣いてるんじゃない!……お前ともう会えないから!……話す事ができないから!もう二度と……お前という存在を感じることができないから!……だから悲しいんだよ……」
「大丈夫……『私は貴方を守る盾、そして矛になれる』それに『私の体を使った武器には記憶が宿り、また貴方に会う事ができる』」
「それはどうゆう事だよ!……おい!……おい!お願いだから答えてくれよ…………」
「……………………」
結局俺は彼女が残した最後の言葉は理解できなかった。ただ俺は彼女が望んだ通り彼女の体を使って武器を作った。生前のカナの最後の願いだったからだ。正直、これを実行に移すのは嫌だった。いくら名前の願いでも好きな人、好きな魔物か……ともかく武器や防具にするのはまだ舌を自分で切った方がましというくらいには嫌だった……
俺にその決心をつけさせたのは名前の最後の言葉……
『また貴方に会うことができる』この言葉通りなら俺はまた、大好きなカナに会うことができる。方法は分からないけど……
「まぁゆっくり探していくしかないよな……人に聞いてわかるもんでも無いし」
けれども最初どうすればいいのか分からないし、カナが死んだ原因すら分からない。あの時は一瞬しか見えなかったが何か黒い霧のようなものが俺に襲いかかり襲いかかってきた黒い霧のようものからをカナが必死に守ってくれた以外は分からない。そして黒い霧が無くなった時には片目を失い、右手が無くなり、肩から腹にかけて切られていた。
「にしてもな〜鍛冶屋のおっちゃんは優しかったな〜……この『アイディアル』と『リアリィティ』を作ってくれたし、無償で」
俺は武器を作ってもらうにしても金が足りなかった。冒険者でもやって稼ごうとギルドに向かってる途中で鍛冶屋のおっちゃんに出会った。
ーーー二時間前ぐらいーーー
「おいおい、そこの坊主。お前そんな装備で魔物と戦う気なのか?悪い事は言わない。やめときな」
「どんなに悪い装備でも俺はやめませんよ。金がないですし、それに約束があるんで」
正直、ファーストコンタクトは最悪だったと反省してる。そこから俺は心配したおっちゃんが武器だけでも作ってやると言ったから名前の素材を差し出した。
「おいおい、これはなんの素材だよ!?こんなの見た事がない……」
このセリフから俺は名前の種族は本来ここら辺にいないことを知った。
「俺の……唯一の友達の素材ですよ。本来ここら辺にいない魔物らしいです」
「お、おう……そうか。そいつは最後になんて言ってたんだ?鍛冶屋を30年はやってんだ。この素材に強い想いがこもってる事がわかんだよ」
不思議なもんだと思った。素材に想いがこもってるって事は死体にも心はあると言っているもんだ。俺には理解できないな。そして俺はカナが最後に言った事を話した。
「う〜ん……最初の言葉はきっと武器や防具にして欲しいという事だろ?だが最後の言葉がな……記憶が宿る……またもう一度会える……」
「鍛冶屋やってても分かりませんか」
「まぁ分からんが分かったら俺にも教えてくれや。という訳でどんな武器にするんだ?剣か?槍か?それとも斧でも作っか?」
俺は明確に上手く扱える武器はない。だから生前の名前が人の姿になった時に使っていた武器を使う事にした。
「双剣でお願いします」
「ほう……それはなんでだ?見た感じずっと双剣を使ってた訳ではなさそうだからな。今だって持っている武器は剣だしな」
「双剣は名前が使っていた武器なんです。名前が使っていた双剣があるのでそれに追加する形で出来るならそれがいいんです」
「その名前ってやつは人化の魔法が使えたのかよ!?て事は……魔人か?」
「あや少なくとも魔人ではないですね。最初に会った時はちゃんと羽が生えてましたし……しかし不思議な事にカナが魔物の姿になると蛇だったんですよ。羽はどこにも見当たらなくて……本人も教えてくれなかったんです。」
正直、気になってないと言ったら嘘になる。というかめちゃくちゃ気になっていた。最後まで本人は教えてくれなかったが……鍛冶屋のおっちゃんなら知ってるかもという事で聞いてみた。
「あぁなるほど……そのカナってやつは龍蛇だな。龍蛇なら羽が生えてても不思議じゃないし、人化できて当然だな。それに多分カナは蛇からの進化かそれとも突然変異としてかは分からんが……きっと集落から追い出された形だろう。だからきっと羽は隠したかったんだろうよ。あくまで憶測だがな」
「龍蛇……調べてみますね。話を戻してすみませんが武器の方ですが……作れそうですか?」
「あぁもちろん作れるが……何せこんな綺麗な状態の龍蛇を見たのは初めてだからな……しかも本来だと割と……な?大体金貨20枚って感じだ。素材持ち込みでも金貨6枚だな」
素材に関しては名前が俺の為にと最後の力を振り絞り外傷だけでもと全治させた。それにしても……
「き、金貨6枚……いつか半分は払いますね……」
「は、は、は、!全部じゃないんだな。まぁいいけどよ」
備考 この世界の金銭は、銅貨、銀貨、金貨、白銀貨に分かれていて銅貨10枚で銀貨1枚、銀貨100枚で金貨1枚、金貨100枚で白銀貨1枚となる。
なのでこれを無料でやってくれるおっちゃんはまじでやばい人。
ちなみにこの世界の一般人の月給は約銀貨15枚ぐらい。貴族でも多くても金貨50枚。
「よし!お〜い、坊主、できたぞ〜。いや〜思ったより素材が素直で良かったよ。おかけで異常に早くできた!」
「多分早くできるから待っとけって言ったけど確かに早かったですね。どうしてですか?」
正直早すぎると思う。別のものでも最初からあったように早かった。
「それがよ?この素材だがやけに素直なんだよ。以前に龍蛇の剣を作ったんだがもっと癖があったんだよ。なのにこいつは作る前から感じていたがお前の為ならと素直なんだよ。だから早く形ができて、早くできたって感じだ。余程好かれてたんだな、お前。後本来できたばっかの武器には銘が無いはずなんだ……こいつらにはある。まず、この持ち手のとこが蛇みたいになってるのたがこいつの銘は『イディアル』、そして持ち手が羽みたいなやつの銘は『リアリィティ』、理想と現実って事らしいが……意味が分からん。鑑定しても名前以外全て分からんねぇんだよ」
イディアルとリアリィティ……理想と現実……きっといつか分かるだろうが……カナが生きていた俺の中の『理想』そして死んでしまった『現実』……まさかな。
「おっちゃん、この借りはそのうち返すよ」
「おう!坊主も頑張れ……死ぬなよ」
「元から名前ともう一度会うまで死ぬ気はないよ。それに俺の名前はヒソウだ。そう呼んでくれ」
「分かったよ。じゃあまたな、ヒソウ」
そうして今に至るわけだ。そして今、俺は冒険者ギルド内の受付の前にいる。
「こんにちは、要件はなんですか?」
受付の人は正直言ってめちゃくちゃ可愛い。美しくサラッとしている黄色の髪、整った顔立ち、そして板だがそれが逆に味を出している。
「?私の顔に何か着いてますか?」
「い、いえ!えっと、冒険者登録をお願いします」
「冒険者登録ですね。少しお待ちください」
「これは……一目惚れだなボソ」
「これはサキナちゃんを守ろうそして愛し合おう同好会に誘わないとなボソ」
なんか周りからボソボソと聞こえるが……この受付の人はサキナというらしい。後、その同好会の入り方教えてください
「あっ!あったあった。この板に触れてください」
「えっとこうですか?ってなんか出てきた」
「ふふっこの板は鑑定板です。そして出てきたカードは冒険者カードです。それにあなたの今のステータスが表示されてます。初回は無料ですが無くした場合の再発行は銀貨1枚かかりますのでなくさぬようお願いしますね?」
「はい、わかりました」
最後の疑問形とか可愛すぎかよこの人……同好会もできる訳だ
「それで今、依頼はお受けになりますか?」
「はい、何か初心者におすすめの依頼ってありますか?」
「そうですね……このスライムの討伐依頼なんてどうですか?スライムは毎日増えますし常設依頼としてあるんですよ。一体に付き銅貨1枚です。討伐証明部位は分かりますか?」
「えっと……核ですかね?」
「正解です。なのでできるだけ核を傷つけずに倒してくださるとこちら側としてもありがたいですね」
「わかりました。では、この依頼を受けますね」
ーーー街の城壁を出てすぐの草原ーーー
ギルドで依頼を受け、城壁を出ての草原に来てみましたが……
「流石に多すぎじゃない?」
目の前にいる生物は、スライム、スライム、スライム、スライム、スライム、スライム、スライム……
とりあえずスライムばっか。いくらなんでも多すぎだろう。
「まぁ少なくとも死ぬ事は無いか。そういえばまだ自分のステータス見てなかったな。見てみよ」
冒険者カードを見てみると本当にステータスが書いてあった
名前 ヒソウ Lv5
HP 65
MP 100
装備 イディアル リアリィティ
スキル 双剣術 Lv1 基本魔法 Lv1 身体強化 Lv1
称号 器用貧乏 冒険者 龍蛇の??(龍蛇の寵愛)
「この、龍蛇の??ってなんだろうな……今は見れない情報だろうけど……まぁそのうち見えるようになるか。それより器用貧乏って……なんか悲しいな」
しかしその声に応えてくれる人などいない。やっぱり今までずっと名前といたせいだろう。言葉が返ってくるのが当然みたいになっている
「ポヨポヨ!」
「ぐっ……!?」
声を出したせいか1匹のスライムにバレて攻撃をくらってしまった。
「こんやろうが!『ダブルスラッシュ』!」
双剣術を使って技を繰り出す
「ポヨ!?ポヨ!ポヨ!っポ……」
一撃目は避けられたが二撃目を当て、スライムを倒す。
「ふぅー……割と1匹倒すだけでもきついな……ってなんかやばい気が……」
このスライムの多さは変だと思っていたがまさかの群れだった……本来スライムは群れを成さずに個別で活動しているがまれに集まって活動している事がある……つまり群れをなしている時あるという事だ。原因はただひとつ、スライムの上位種がいる時だ。
「ポヨポヨ!」
「いきなりピンチって……笑えないな。『身体強化』『身体能力上昇』『未来の自分』」
身体強化のスキルとなぜがイディアルについていたスキル、『身体能力上昇』と『理想の自分』を使う。理想の自分は意味がわからないが死ぬよりかはマシだ。
「ポヨ!ポヨ!ポヨ!」
号令のように上位種のスライムが音を出した途端一斉に周りのスライムが襲いかかってくる。
「『オールマジックランス』」
『理想の自分』の能力は名前から想像がついたので詠唱無しで存在しない魔法を言ってみる。俺が想像したのは全属性のランスだが……
「まじかよ……」
想像通りにできてしまった……まぁいい、使えるものは使うだけだ
「ポヨ!?……ポヨポヨ!!」
号令?と同時に襲いかかってきていたスライムが一斉に上位種のスライムの前に積み重なり盾となった。
「それで守るのかよ……な……!?」
ならもう一度としようとした瞬間体が一気に重くなる。多分MP切れだ。当然だろう。スキルを使う分にはMPは使わないが魔法なら話は別だ。
「はぁ……はぁ……くっ!『今の全力』『ダブルスラッシュ』!」
リアリィティについているスキルを発動する。名前からして今出せる最高火力を叩き込むのだろう。
「ポヨー!!」
最大火力を二度、核に受けたのだ。流石に倒れると思っていたが……現実は甘くなかった。
「あはは……もう……無理だ……」
どうやら今の全力は身体が壊れるとかお構い無しの全力らしい。腕が折れたのかめちゃくちゃ痛い。あー……意識が……ここから先は記憶が無い。なぜ助かったのかは分からない。俺を見つけた人によると、そこには大量のスライムの死骸とまるで蛇に噛まれたような傷跡のついたスライムの上位種の核があったらしい。
「全く……ヒソウは会った時からそうだけど、頑張りすぎたよ。今回は逃げれば良かったのに……まぁそんなとこもいいんだけどね〜というか私の愛が称号になるなんて……恥ずかしい〜!」
「ポヨ!?ポヨポヨ!!」
「は?ここをどけ?君がどきなよ?『蛇牙』……ふぅ、ご馳走様♪」
ーーギルド二階の医務室ーー
あれ……ここは……というかスライムは……スライム……?
「そうだ!スライム!」
「え〜っと……精神は安定してますか……ね?」
うん。終わった。ここが何処かは知らないけど何故か隣にはサキナちゃんがいて、俺はスライムとの戦闘を思い出してスライムと叫んだ。……うんなんか色々とわわからんね?
「えっと、精神は安定してまよ」
「なら大丈夫ですね。とりあえず何があったか聞かせてくれますか?」
聞かせてくれと言われたのでスライムの群れを見つけて戦闘した事を話した。
「なるほどです……見つけた冒険者によるとスライムキング(スライムの上位種)が倒されていたそうなんですが……話を聞く限りだと倒してませんね?」
「えっ!?見つけた冒険者が倒したんじゃないんですか!?」
「えぇ見つけた冒険者によると、その冒険者、名前はカイっていうんですがその人によると倒れてるあなたとスライムキング、そして大量のスライムが倒れていたそうなんですよ」
どうゆう事だ?俺はスライムキングを倒していないし、倒せなかった。ならなぜ死んでいた?そしてなぜ蛇に食いちぎられたみたいな形の核になっていた……蛇は本来ならスライムを食べない。というかスライムを食べる生物はまだ見つかっていない。つまり……俺が倒した事になる。というかその方が自然だ。
「あ〜っと……多分使ったスキルの反動で覚えてないだけっぽいですね。素材を自動で集めてくれるバックを見たら素材が入ってましたし」
嘘をついた。正直言ってここは嘘をつかないと多分話がよけい混乱する。ならスキルを使って思い出せない、覚えてないの方が都合がいい。
「そうなんですね?前回もこんな事があったんですか?」
「はい。幼少期に一回だけ」
「そうなんですね〜ところでお体の方はもう大丈夫ですか?回復魔法をかけたので治ってると思いますが……」
あっ……本当に治ってる……回復魔法って折れた腕も治るのか〜
「大丈夫です。治ってますよ。回復魔法ありがとうごさまいます!」
「いえいえ、また何かあればこちらへ来てくださいね?まぁ今回は運ばれてきましたが……」
「あはは……」
とりあえず今日は一日ゆっくりして明日、また依頼でも受けよう。それか近くにあるダンジョンでも行ってみようかな?
ーー次の日ーー
結局、今日はギルドで依頼を受けず近くにあるダンジョンに行ってみる事にした。準備とか色々あるけども日帰りで浅い所までしか行かないから何かあった時の為の食料(三日分)と水分(10L)仮眠用の布を持って行くことにした。
「おっダンジョンに入るのかい?なら冒険者カード、または身分を証明できるものを出してくれ」
俺は言われた通りに冒険者カードを出した。
「へえ〜あんた冒険者になって三日目なんだな。よくダンジョンに入ろうと思ったな。深いところには行くなよ?絶対に」
「入らないので大丈夫ですよ。元から浅い所で宝箱でも探してこれからの冒険者ライフの装備になればと来ただけですから」
割とダンジョン産は装備の性能が高いのだ。買うよりか探した方が早いから装備は探し当てた物のみなんて人もいるのだ。
「はっはっはっ!そうかい、なら頑張れよ」
「わかりました」
代役ちゃん「え〜本作品は二話構成です。理由として実は元は短編の予定だったからです!短編じゃなくなった理由として長くなったから!だそうですね」
後書きちゃん「はよ二話目だせって言われそうな終わり方してるわよ……もっとどうにかなんなかったの?」
代役ちゃん「一応話の構成は完結まで出来上がってますからね。来週までには出来上がるんじゃないですかね?」
作者「別の作品も良ければ読んでくださいね〜」
後、代「はよ続き投稿せい」
作者「ブワッ(´;ω;`)」
にならないように頑張ります。