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神の物語  作者: 緋龍
6/8

先陣

「……綺麗なとこねぇ」

感嘆の声をファイが上げた。

ヒナも「そうだね」と肯定したが気分は重い。

緑の森、森を切り開いて出来た茶色の土が丸出しの道、森の開けた所にある灰色の石造りの家や城。

人は住んでいるのだろうか。

居たら戦いに支障が出るだろう。

人間は、異常なモノを悪魔憑きと称したり狂っていると称してたりして、排除しようとするから。攻撃せざる負えないことになってしまう。

彼女は、悲しむだろう。

「……人が居ないと良いな」

「え?」

考え事をしている最中、ファイがぼそりと言った。

思わずヒナは聞き返す。

ファイは人から選ばれた使徒だ。

人に会いたいのだとばかり思っていたのに。

「……廃墟だとなお良いね、あの城! 私ちょっと興味あるんだよね」

一瞬暗い顔をしていたファイだったが、一瞬で笑顔に戻っていた。

ヒナも笑顔を返す。

「そうだね、見に行ってもいいかもしれない。でもまず、情報収集から行こうか」

行動を移すには早い。

まだ隊長であるウシオも来てないし、アズサが居ないとファイは不安だ。

知り合ってまださほど経ってないのだ。

まだ、彼女の能力とか能力の条件とか、性格とかどういう考え方をするのかとか全然分かっていない。

「情報収集……?」

きょとんとファイが首を傾げた。

ヒナは笑って口笛を吹いた。

その瞬間、ヒナの周りに様々な種類の鳥が集まる。

ファイが感嘆の声を上げた。

「すごーい、ヒナ!」

綺麗だと、彼女は褒めてくれる。

そんな彼女に白い鳩が止まった。

彼女は嬉しそうに首をすくめながらも鳩の背を撫でている。

「……人は、居ないみたいだね」

鳥は空から全てを見ているから、情報収集には便利だ。

それにヒナにとっては元仲間。会えるだけでも幸せではあった。

「廃墟みたいだ。…………ちょっとだけ、見に行こうか?」

人が居ないと言った瞬間、目に見えて彼女の目が輝く。

ヒナはどうするべきかと一瞬戸惑ったが、苦笑して提案した。

今にもファイが城に向かって駆け出しそうに見えたので、少しだけならと思ったのだ。

思ったとおり、ファイは喜んだ。

「本当!?」

「ちょっとだけだよ、アズサ達がじきにくるはずだからね」

「うんっ」

頬を高潮させて喜ぶものだから、ヒナは仕方が無いと諦めて彼女の手を引く。

「でも、絶対に僕と離れちゃだめだからね」

自分も使徒だ。

戦いにはあまり自信が無いが戦えない訳じゃない。

きっと大丈夫。

ヒナは彼女の手を引いて城に向かいながらも自分にそう言い聞かせた。

何か嫌な予感がすると、思いながらも。

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