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神の物語  作者: 緋龍
4/8

隊員構成

ファイはアズサの隣に立っていた。

目の前にはにこにこした白い髪の可愛らしい少年と、威厳が備わっている不機嫌な顔の水色の髪が美しい女。

ヒナとウシオである。

「あの、よろしくです?」

ファイがおずおずアズサの隣で一礼して微笑んだ。

ヒナがそれに満面の笑顔で返す。

「よろしくね! えっと、ファイで良いのかな?」

その笑顔に励まされファイはその問いに肯定で答えようとした。

しかしその動きを隣のアズサが止める。

「ゲブラーと。ティファレト」

ゲブラーはファイの座。簡単に言えば職場のランクのようなものだ。

それを聞いてヒナはむっと顔をしかめた。

「僕はティファレトと呼ばれるのは嫌いだし、座名で呼ぶの嫌いなの。お分かり? アズサ」

びしっ、とヒナはアズサを指差し言い放つ。

しかしそれをアズサは涼しい顔で流した。

「ネツァクと。ティファレト」

淡々とアズサは言い返す。

ヒナが容姿通り子供らしくむきーとアズサに掴みかかった。

身長差は50cm以上。

ヒナはファイより少しばかり大きいだけなので、見た目的には大人に子供が噛み付いているような感じである。

そこへ静かな声が響いた。

「……子供っぽいことをおしでないよ、ヒナ。アズサ、否ネツァクよ、済まないのぉ……。しかし、今はわらわの言うことを聞いてもらうぞ、わらわが今回の任務の隊長なのじゃからな」

ウシオの声である。

ウシオはにんまり底の深そうな黒い笑みをアズサに向け言い放った。

アズサが黙る。

ウシオはアズサが黙ったことに満足げに微笑むと、1歩歩み寄って少し屈んだ。

ドレスがふわりと舞う。

歩み寄って屈んだ先にはファイの顔。

ファイは驚いたようにびくんと跳ね、アズサの身体に隠れかけた。

それをウシオの手が阻む。

「"峻厳"ファイじゃの。わらわはウシオ。そう呼ぶが良い。短い間だが同じ隊に居るのじゃ。隊長はわらわゆえ、命令は聞いては貰うが、助言は遠慮なく言うが良い」

そう言ってウシオはにっこり微笑みファイの手を離した。

顔が離れていくのを見てファイは安心したようなため息を漏らす。

ウシオは背が高かった。アズサほどではないが、女性にしてはかなり高い。

しかも整いすぎているほどの美しい顔。

それは、ファイにとって大きな威圧感であった。

しかし、ファイは彼女を好きになりかけていた。

アズサの黒と緑の服の裾を引っ張りその意思を伝える。

アズサが眉根を寄せる。

「……? アズサ?」

ファイはアズサを大きく見上げ疑問を投げかけるように彼の名前を呼んだ。

するとアズサは力なく微笑みファイの頭を撫でる。

ぽんぽんと優しく優しく。

ファイは思わず顔を緩める。

その様子を見てウシオとヒナが顔を見合わせて肩をすくめた。

「さて、準備でもしてくるかの? 此処に2時間後に集合じゃからな」

ウシオはそう言いドレスを翻し去っていく。

ヒナがひょこひょこその後を飛ぶように追うのが見えた。

アズサがファイの手を握る。

「俺達も準備するぞ」

ファイは何を準備するのだろうか、という疑問を持ちつつ笑顔で頷いた。


ことの起こりは数時間前。

神が「否定はしまい。……さて、本題に移るか? 我が"生命の樹"の諸君?」と言ったあとの事だ。


「皆、相方は居るな?」

神が鋭く自分の使徒たちを見る。

「居ないですけどー。ボクだけですねー」

上の方で"知恵"コクマーであるカナの不満そうな声が聞こえた。

その言葉を聞いて"慈愛"ケセドのウシオがほくそ笑みながら「自業自得じゃ」というのをファイはひそかに聞いてしまっていた。使徒とは初めて会った者が多かったが、大体の性格を把握出来そうだと思い始めている。

特にウシオとカナの事は。

神は大きくため息をつき、カナに向かって言葉を放った。

「先にお前と組んでいた"勝利"が"峻厳"と組んだものでな。お前は一人でも良いだろう」

少し神は笑んでいる。

ファイはまた下の方からボソッとした呟き声を聞いてしまっていた。

「……やっと離れられる……」

怨念じみた声だった。それは、見知ったアズサの声であり、初めて聞いた黒い声にファイは身体を震わせる。

そしてアズサより近い位置から明るい少年の声が聞こえた。

「お疲れ様。よく頑張ったね、僕だったら耐えられない」というアズサをねぎらう声だ。

ヒナだろう。

どれだけこのカナという青年は嫌われているのだろうか……とファイは彼に底知れぬ何かを感じた。

神がごほんと咳をする。

また雰囲気が引き締まった。

「……さて、相方は居るんだな? 基本2人1組だが、今回は4人単位で動いて貰いたくてな」

4人単位。

使徒は7人である。

つまり、4人と3人に別れることになるということだった。

「さーて、どう組ませようかな」

神が心底面白いと言わんばかりの笑みを浮かべ言う。

楽しそうだ。

3人だったらどうしよう、とファイの顔に冷や汗が垂れた。

3人ということは、あのカナと一緒だからだ。

まだカナのことも他の使徒のことも知らないファイはアズサが嫌がるか嫌がらないか、それでしか判断基準を持たない。

「"王冠"」

神が上の方を見て微笑んだ。

今まで何も言わなかった白の皿"王冠"ケテルに神は尋ねたのだった。

ケテルは確か黒いツナギを着た黒いゴーグルの、桃色に大量に赤を入れたような色の髪の男だったはずだ、とファイは上を見る。

ケテルは困ったように微苦笑し頭を掻いていた。

すると下から幼い少女のような、しかしそれに合わない冷たい言葉が響く。

「道具屋を困らせないで欲しいんじゃが。道具屋を困らせる奴はぶっ斬ってやるわ」

同時にチャキンという刀を鞘から抜く音がした。

下を軽く見ると"基礎"イェソドのラムニオがゴシックロリータを着た状態で膝立ちして皿に佇んでいた。その手には繊細なつくりをした刀があった。

道具屋? とファイは疑問を持つ。

神を思わず見ると心底楽しそうな顔をしている神と目が合った。

その瞬間、にたぁ、と神とは思えない笑みを神は浮かべる。

思わずファイは目を逸らした。

すると上から軽やかな澄んだコンコンという音がファイの耳に届く。

ファイはそのまま神を見ないように上を見上げると綺麗なハンマーを肩に手に持った"王冠"ケテルと目が合った。

目が合ったといっても合ったと思われるである。彼の目はゴーグルで覆われているのだから。

しかし、彼は口だけが見えている状態で満面の笑みだと分かる笑みをファイに向けた。

気恥ずかしくなりファイは目を逸らそうとしたが、その笑みにつられ笑んでしまった。

"王冠"ケテルは人が良さそうだな、とファイは感じる。

そして、彼をまじまじと見てその手のハンマーに視線を移した。

それは、とても美しかった。

輝きからして、ダイヤモンドであろうか。それで彼はコンコンと白い皿を叩いていた。

「道具屋、何で止めるのじゃ」

下の方で"基礎"ラムニオが不機嫌そうな声を上げる。

それでファイは理解した。あの美しいハンマーでモノを作り出すのだと。

だから道具屋なのだと。きっと彼女の刀も彼の作品であろうと思った。

またコンコンと"王冠"道具屋は皿を叩く。

ラムニオが黙った。

「でー、神さまー? メンバーを決めないの?」

明るい少年の声が響く。"美"ティファレトのヒナだ。

彼はよく空気が読めるな、とファイは感心した。自分とアズサは何も口出ししては居ない為問題外である。

神が笑った。

「よくもこんなに個性派が集まったものだな」

道具屋がコンコンと皿を鳴らす。

肯定のつもりなのかもしれない。しかしファイはそうは思わなかった。

そんな奴等を使徒にした神の方が個性的です、と思ってしまったからであった。

「で、神よ。どうするつもりなんだ?」

アズサが珍しく口を開いた。

もうこのメンバーで此処にこれ以上居るのは嫌だと思ってしまったのだろう。

その思いが言葉から見え隠れしている。

神が苦笑のような顔をした。

「おお、すまんすまん。さて、組み合わせはな……"慈愛"の隊には"峻厳"の隊」

第四の座"慈愛"と第五の座"峻厳"。

数字が小さいほど、"生命の樹"では上の方だ。

"慈愛"ウシオと"美"ヒナ、"峻厳"ファイ、"勝利"アズサの組み合わせだと神は言ったのだった。

"基礎"ラムニオが「げっ」と小さく呟いた。

"知恵"カナは何も言わない。"王冠"道具屋はただコンコンとハンマーで皿を叩いた。


そして、今に至る。

ファイは身軽な黒と赤の服に鎧から着替えていた。

アズサとヒナはそのまま。ウシオも身軽な服装に変えている。

「さて、行くかの」

ウシオが微笑んで合図した。4人は神の城の外に出る。

そして大きな雲の切れ間から飛び降りた。

なんも疑問持たずに飛び降りちゃって良かったんですかねー((笑

さてさてこれから四人を動かさないといけないですよー

大変ー。

プリンが食べたくなりましたー。

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