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神の物語  作者: 緋龍
3/8

"生命の樹"

神の城というのは何もかも規模が大きい。

神の住まう場所なのだから大きくないといけないのだろうが、真っ赤な少女ファイは「此処まで大きくなくても良いのではないのではないか」という疑問を常に持っていた。

ファイはカツカツと靴を鳴らして神の城の廊下を歩いている。

ファイは黒い服ではなく、鉄の鎧を身に纏っていた。

戦場にに向かうかのような格好である。

その顔は勇ましく険しい表情をしていた。

先ほどアズサと一緒に居たときの少女のモノとは別物である。

カツカツと靴音が鳴るたびにファイは感情が抑えられなくなりつつあった。

やがてファイは大きな扉の前に行き着く。

ファイは片手でその扉を押した。

キキィ、と軋む音がしたあと、扉が開く。

ファイは胸に手を当て一礼する。

「第五の座ゲブラー参上いたしました」

そう高々と言い放った後、頭を下げたままファイは待った。

部屋の中から笑みを含んだ男の声が響く。

「我が"峻厳"待っていた。まぁ、座れ」

その男の声を聞いてファイは頭を上げた。

ファイの目線の先には巨大な王座がある。

その王座の中心で胡坐をかいている人物は王座と比べてずいぶんと小さかった。

といっても、その背丈はアズサくらいありファイよりはるかに大きい。

その人物は男で神であった。

濃い紫色の髪は長く、その背丈以上もあり王座からこぼれ落ちている。

その瞳は暗い光をたたえた赤紫色だ。

赤紫色の瞳は今は楽しげに細められ真っ直ぐファイの姿を見ている。

しなやかな長い腕が持ち上げられ、その白い指が王座の近くにある宙に浮いている大きな皿を差した。

その皿は全て色が違い浮く場所が違った。

一番高い位置には白い皿がひとつだけ。

その右下には灰色、左下には黒。その右下は青、左下は紅。その二つの丁度真ん中の下には黄色。その右下は緑、左下は橙色。その真ん中下には紫、その真下にはレモン、オリーブ、小豆、黒といったカラフルな皿。

それをファイは見やって神の言葉を待つ。

神は笑った。

「座れ、我が使徒"生命の樹"の一員。"峻厳"のゲブラーよ」

鉄の鎧がガチリ、という不自然な音を立てる。

ファイは静かにまた一礼して紅い皿に向かって跳んだ。

そして、メンバーがそろうのを紅い皿に目を瞑り座って待つ。

数分後コツ、とファイのものより軽やかな靴音がファイの耳に届いた。

ファイは目を静かに開ける。

水色の長い真っ直ぐした髪の毛が特徴の女が、扉の所に立っていた。

その髪は前髪と後ろ髪を真っ直ぐ切り揃えてあり、その美しい髪の間から水色のヒレと称した方が良さそうなものが出ている。その瞳は深い海の青。

女は朗々とした声で神に向かって言い放った。

「第四の座、ケセド参じた」

女はそう言い放つと神の返事も待たず女は軽やかな靴音を立て真っ直ぐ青い皿に飛び乗る。

女がそうした後、扉の向こうで笑い声がした。

「ウシオさんはケセド、つまり"慈悲"の座は合っていないとボクは思いますけどねー。ご機嫌いかがですか?皆様。第二の座"知恵"のコクマー、今来ましたよ」

その声の主は軽い口調の少年だった。

桃色のグラデーションになっている髪の毛は腰より少し短いくらいで、右顔を隠していた。

唯一見える左目は灰色だ。

少年は神ににっこり微笑みかける。

神はそれを見ないフリをするかのように目を瞑っていた。

少年は残念、といわんばかりに目をすがめ、灰色の皿に飛び乗る。

それから次々と使徒が部屋に入ってきた。

「"王冠"ケテル」

黒ツナギを着た、桃色に大量に赤を入れたような髪の毛を無造作にくくったゴーグルで顔を隠した男はそう簡潔に言い一番上の白の皿に飛び乗る。

「"美"ティファレト、ヒナ入りますよ」

そういった小さな少年は白い髪に黄色の目、ファイより少し大きいくらいの身長だった。

少年の背からは白い羽根が生えており、それを羽ばたかせて少年は黄色の皿に飛ぶ。

「"基礎"イェソドのラムニオじゃ」

小さな美しい少女がその後に続く。

その少女は口調に合わない、西洋の仮面やゴシックロリータなどの目を引く格好をしていた。

少女が紫の皿に跳ぶ時にカシャリ、という音が鳴る。

そのことにファイは頭を傾げたが、最後に入ってきた人物に目をやりすぐに忘れてしまった。

「第七の座"勝利"ネツァク」

最後にそう言い放って緑の皿に飛び乗ったのはアズサである。

アズサが座ると神は満足げに微笑んだ。

空いている皿は3つだけ。

第三の使徒、黒い皿"理解"のビナーが座りし座。

第八の使徒、橙の皿"栄光"のホドが座りし座。

第十の使徒、一番下の皿"王国"のマルクトが座りし座。

これらはまだ合う使徒が居ないために使用されていない皿だった。

最近うまった皿は紅の皿"峻厳"のゲブラー、ファイが座っている皿だった。

神は王座に胡坐をかいたまま面白そうに笑って皿に乗る面々を見る。

一番最初に口を開いたのはファイの隣青い皿に乗る"慈悲"ケセドのウシオと呼ばれた女であった。

「神よ、わらわらを呼び出した理由を答えてもらおうか」

慈悲という座にふさわしくないような、ふざけたことを言ったら許さない、と言わんばかりの容赦の無い声だった。

そんな声を聞いても神は笑みを崩さない。

「ウシオさん短気ですねー、もうちょっと余裕持ったらどうですか?」

笑みを含んだような少年の声が上から響く。

"知恵"コクマーの皿からその声は聞こえた。

ウシオはギリ、と唇を噛む。

「五月蠅い、カナ。わらわに建言するでないわ」

ウシオの声が先ほどより少し低くなった。

カナ、と呼ばれたコクマーは「ふふふ」と笑う。

「気をつけましょう」

カナは軽い口調でウシオに返事をした。

その声で更に空気が重くなった気がする。

ウシオの美しい顔に深い険が宿ったのを隣の皿のファイは見てしまっていた。

そんな空気を吹き飛ばすかのごとく、明るい声が黄色の皿から響く。

"美"ティファレトのヒナと名乗った少年だった。

「そんなことより本題はなんなのですか? 神さま」

にっこりヒナが微笑んだ気配がする。

ファイはその声と雰囲気を感じ、少し安心した。

ファイは、剣呑な雰囲気などが苦手なのだ。

それを読み取ったのか、神がファイを見て笑った。

「どうした、"峻厳"よ。"峻厳"らしく無い表情をしているぞ」

神の言葉を聞いてはっ、とファイは気を引き締める。

自分は"峻厳"のゲブラーなのだから『非常にいかめしい様子・自然の厳しい様子』という意味の"峻厳"なのだから、と。

ファイが気を引き締めた直後、下から硬い剣呑な青年の声が響いた。

「神よ。我等使徒のひとりひとり足りないものを補う為の席だと俺に言ったでしょう。無理なことを言って俺の相方で遊ばないで欲しいものですが」

それは"勝利"ネツァクのアズサの声であった。

神がまた笑う。

「"勝利"よ、何故私が"峻厳"で遊んでいると?」

「二割り増しくらい声が楽しそうだからですよ」

アズサが容赦なく言うと神が喉の奥で笑った。

そして、頷く。

「否定はしまい。……さて、本題に移るか? 我が"生命の樹"の諸君?」

さて、のところで神の雰囲気が一瞬で変わった。

他のメンバーも雰囲気を改める。

「君等の使命を全うして貰おう」

神は王座に偉そうに踏ん反りかえりながら微笑した。

使徒達は各自、色々な方法で神への返事をする。

ファイは不安を感じながらもコクリと頷いて神の言葉を待った。

カバラのセフィロトから座は取ってますー。

さてさてどう進めようか、迷いますねー。

オムライス食べたいです。

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