第四話 野営
見渡す限りの草原、アルプスのように連なる山々。
まさに想定通りの異世界だ。
異世界に派遣されてから早一週間が経過した。
現在我々第二偵察小隊、通称「二偵隊」は遠征調査任務に従事している。
何せ未開の地、いつ生命の危機に扮してもおかしくはない。
そんな中で我々小隊はある重大な発見をした。
過去に国土交通省の小西信代調査官らが発見したように基地【以下は駐屯地と記入】から二十三キロ地点に道を発見した。
道があるということはこの先に集落や都市があるのは当たり前の事。
調査報告書のネタがまた一つ増えそうだ。
もうすこし進みたいところだが本日は平野で天幕を張り野営することにした。
日本標準時 午後七時二分 秘境駐屯地から約三十キロ地点。
俺はコーヒーカップ片手に今日できた分の地図を見ていた。
「はー、今日は一旦駐屯地に帰還してから再出発だと思っていたが…野営はそんな好きじゃないんだよな~明日には戻れればいいけど…。」
そう呟く。
「本当ですよ三尉、しばらく風呂に入れないなんて日本人には耐えられませんよ…。」
相良がそう返してきた。
「相良、お前は平和ボケしすぎだ。不屈の精神だぞ、不屈の精神をもって任務に臨めと状況開始当時にいったろ?」
「いやそうですけど…それでもですよ。」
そんな話を相良としているとき野営用天幕の内側ではなぜか女性自衛官達のコイバナが始まっていた。
物凄い小声で話している。
「第一回、チキチキWACコイバナ大会~。」
水瀬、見張眞、澄乃が聞こえるか聞こえない程度の拍手をしている。
その一方で三トン半トラックの荷台では三科と鍋島と渡辺が映画について話していた。
唐木田と津島、戸塚に鍋島(藍翔)は高機動車の中でレンジャー訓練について話していた。
「レンジャーは体力に自信がないとやっていけん…相良は小柄なのによくやったよ。」
「精神力の違いもあるんですかね?」
「個人によって様々だからな~。」
「そんなもんです?」
そんな時だ。
外に居た俺と相良は徐々に近寄る灯りを発見した。
「灯りだと?…総員戦闘準備! 臨戦態勢を作れ!」
「はいっ!」
今までの娯楽ムードは一気に消え去った。