第二話 集合
午前六時十三分。
俺は食券を持って隊員食堂にいる。
いつものアレだ。
寝ぼけているのか…気づいたら膳を持って席に座っている。
「いただきます。」
焼き鮭に金平ごぼう、白米と味噌汁、更にはキャベツの千切りサラダが膳いっぱいに入る。
こんなうまい飯だが憂鬱な時間はすぐにくるものだ。
午前八時十五分。
課業開始のラッパが鳴り響く。
「はぁ、時間だし第三庁舎に行くか…」
庁舎の前に行くと小銃を持った自衛官たちが整列していた。
二列横隊の隊形の前に一人の自衛官が立つ。
「あれは俺の隊か…。」
「隊長、第二偵察小隊、集合終わりました。」
先頭に立つ自衛官がそう話しかけてきた。
声が若いな…ていうか女?
「おお、早いな。」
「何よりです。」
「とりあえずは簡単な自己紹介を済ませて出発しよう。」
「了解。」
「あ、あと隊員達には楽な体形で臨むようにと伝えておいてくれ。俺は一旦庁舎の中に入って蒲生二佐から出発許可と報告をしてくる。」
「はい。それでは後程。」
俺は庁舎の中に入った。
二階に上がると蒲生は並べられた机の隅で書類を読んでいた。
「蒲生二佐、昨日聞けなかったことなんですが、我々の車両は何でしょうか?」
「あ~すまんすまん言い忘れてた…。えっとパジェロが一台と三トン半トラックが一台とあとは高機動車が二台だな。」
「意外と多いですね。」
「まあな。」
「それでは定時〇八三〇より出発します。」
「了解した。車両は庁舎裏に停めてある。」
「ありがとうございます。」
こうして俺は庁舎を出た。
外にはもう車両が止まっていて隊員たちはリラックスしたような雰囲気で待っていた。
「二小隊の皆。これからちょっとした自己紹介をする。自分の名前、階級、皆へ一言趣味を言うように。」
「じゃあまずは私から。副隊長の水瀬夏海です。階級は准陸尉で、紅茶に目がありません。」
なんか女の子っぽいな…いやホントに女の子だけど。
なんかこう…悩筋じゃなくておしとやかだ。
「次は俺ですね。俺は津島幹人って言います。階級は一等陸曹で…趣味か…ええっと…コーヒーに目がありません。」
「ふふ。」
絶対に水瀬にあやかったろう!
水瀬自身も笑いこらえるのに必死でもう軽く吹いちゃったじゃん。
「ふふ、じゃ、じゃあ次は僕ですよね…僕は唐木田偉一等陸曹です。趣味はハイキングですが、もう秘境に来てからじゃしばらくはできないですかね。」
唐木田ももう笑いかけている。
そんな唐木田を津島は睨んでいる。
「わたしは見張眞茜二等陸曹です。趣味は海上自衛官の弟に女装をさせることです。あいつ…顔面は女なんで相当萌えます…かわゆす。」
弟がかわいそすぎるな…。
「その弟って艦上勤務か?」
唐木田が尋ねた。
「いえ、今は宮津の陸警隊に勤務しています。」
なんか聞き覚えがあるような…。
「次は僕っすね、僕は相良義人、三等陸曹です。趣味は乗馬で現在独身です。」
「そういうのはいいから相良。」
「そうっすか?」
「あたりまえだろ。」
開始三人目でこれってやばいだろう?