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花衣

 行きと違って周囲のペースに合わせる必要が無かったので、脚が早くスタミナもあるワルキューレ達の愛馬に特に無理をさせる事も無く、片瀬海岸から鶴岡若宮までの約十キロの行程を瞬く間に走破した。


 頼華ちゃんの後に続いて八幡神(やはたがみ)様を祀ってある祭壇のある部屋に向かうと、厳かな雰囲気を身に纏った雫様が祈りを捧げていた。


「母上! 戻りました!」

「おかえりなさい頼華、良太殿。戦乙女の皆様も」


 呼び掛けに振り返った雫様は、声の明るさから戦が源の勝利に終わった事を報告する前に察し、同時に俺達の無事な姿を確認して、心からの安堵の笑顔を浮かべてくれている。


「それじゃ頼華ちゃん。俺は昼の支度をするから、雫様への戦勝の報告は任せたよ」


 戦の一端を請け負った身としては、報告までが義務なのかもしれないのだが、俺よりは娘である頼華ちゃんからの方が、雫様も嬉しいだろう。


「お任せ下さい、兄上!」

「良太殿。お疲れでしょうに……」


 戦の様子を知らない雫様は心配してくれているようなのだが、対戦相手の頼時から(エーテル)を吸収していたので、戦と鎌倉と片瀬海岸の往復を経ても、俺は疲労らしい疲労は感じてない。


「いえ、そんな事は。それでは失礼します」


 雫様に気にしないようと、俺は笑顔で応じながら会釈した。


「良太様、お手伝い致します」

「私も」

「あたしは頼華様と奥方様に傍に控えさせて頂きますね」

「任せました、オルトリンデさん」

「俺も飯まで休ませて貰うぜ」


 雫様と頼華ちゃん、オルトリンデと正恒さんを残して、 手伝いを申し出てくれたブリュンヒルドとロスヴァイセを連れて厨房へ向かった。



「何をお手伝い致しましょうか?」

「そうですね……」


(凄く期待感に満ちた顔だなぁ……)


 硬質な雰囲気の美女であり、貴族の令嬢だと言われれば信じてしまうくらいに品の良さを感じるブリュンヒルドに、料理の手伝いをさせるというのは物凄く間違っている気がしなくも無い。


 しかし、ちょっと失礼だが躾の良い犬が、今や遅しと命令を待っているようなブリュンヒルドの姿を見ていると、何も言わないとそれはそれで罪悪感が沸き起こりそうな気もするのだ。


「それじゃあ……俺が見本を見せますので、蕎麦の下拵えをお願いしますね」

「はいっ!」


(や、やり難いな……)


 空回り気味に、元気溌溂で返事をするブリュンヒルドに圧倒されそうになる。


「こう、振るった蕎麦粉に、用意しておいた水を半分入れて、軽く立てた指で掻き回すようにしながら、全体に馴染ませていきます」

「こ、こうですか?」

「初めてなのに、上手ですね」


 女性としては大きめで指の長い手で、ブリュンヒルドは軽快に水回しをしている。


「そ、そんな……」

「上手ですよ、本当に。では次に、残りの水の半分を加えて、全体の粒に更に馴染ませていきます」

「はいっ! あ……粒が少しずつ大きくなっていってますけど、これでいいのですか?」


 水回しを続けている内に、自然に水分を帯びた蕎麦同士が結びついて大きくなって行く様子を見て、ブリュンヒルドは失敗したとでも思っているようだ。


「それでいいんです。もう少し粒が大きくなってきたら纏めに入りますけど、あと暫く続けて下さい」

「はいっ!」


 蕎麦粉と水だけを使っている作業なのに、自分の手の中で変化が起きているのを楽しそうに見つめながら、ブリュンヒルドは手を動かし続けている。


「うん、良さそうですね。それじゃ最後に残った水を少量、手で飛ばして馴染ませてから纏めに入ります」


 残りの水を少量手につけて散らしてから、大きくなった粒同士を一纏めにして、結合部分の空気を追い出すようにしながら、両手の平で押し付けるようにして捏ねていく。


「こ、こうで……良いですか?」

「凄く上手ですよ。その分だとパンを捏ねるのも上手そうですね」


 俺のやり方を良く見ていてくれているからか、ブリュンヒルドの捏ねる動作は手だけでは無く、背中から腰までを使って実にリズミカルだ。


「そういえば良太様は、パンを御存知でしたね」

「ええ。里には石窯があるから、パンも焼けますよ」

「まあ! で、では、良太様の御負担にならなければ、偶にで結構ですので焼いて頂けると……」

「……」


 味付けの調整をしているので、これまで出している食事に不満は無さそうだったのだが、やはり口に馴染んでいる主食の方が良いのか、ブリュンヒルドだけでは無く、ロスヴァイセからも期待の込もった視線が送られてくる。


「構いませんよ。でも、麦の種類が違うと思うので、もしかしたら期待しているパンの味とは違っているかもしれませんけど」


 世界的に見ると主食としては米よりは麦が主流であり、様々な加工をされて食べられているのだが、パンはその内でも代表的な加工品だろう。


 しかし、使用される麦の種類や膨らませる為の酵母の使用の有無、形状の違いや中に混ぜ込む物などを含めると無限とも言える程にバリエーションがあるのだ。


 もしかしなくてもブリュンヒルド達が思い浮かべるパンとは大きく違う可能性があるので、少しだけ予防線を張らせて貰った。


「我等の住まいであるヴァルハラでは、量はともかく質は決して高くありませんでしたので、贅沢は申しません。でも、きっと良太様がお作りになるパンは、最高の味わいに……うふ、うふふふふ……」

「く、口に合うといいんですけど……」


 薄い笑いを顔に貼り付けたまま蕎麦粉を捏ねるブリュンヒルドは、何やら妖しい雰囲気を醸し出している。


「そ、それで出来上がりでいいです。後はこう、手で押して平たくして、昨日も使った機械に通します」


 捏ねて空気が抜け、どこにも合わせ目が見えなくなった球形に纏められた蕎麦を上から押し付け、少しずつ前後に延ばして平たい楕円形にしていく。


 後はうどんの時と同じく、打ち粉をしながら製麺機のローラー部分に通して延ばし、ロール状に纏めてから切り刃を通して、食べ易い長さにすれば完成だ。


「分量からすると……あと粉を二回分くらい捏ねて貰えば大丈夫かな?」


 出来上がる蕎麦は結構な量になるのだが、食卓に着く人数も多いし、もしも余ったらドラウプニールに収納しておけばいい。


「蕎麦をこのように平たく延ばして切って食べるというのは、面白いですね」

「こういう食べ方は珍しいですか?」

「ええ。とても」


 ヨーロッパでも蕎麦は食べられている筈だが、殻を割って中の身を食べる粒食や、製粉を団子状にする蕎麦がきや、クレープのように焼いてという調理法が殆どである。


 蕎麦粉を使ったパスタというのもあるのだが、現代のイタリアでも一般に周知されていると言える程は広まっていない食べ方なので、ロスヴァイセが知らなくてもおかしくは無い。


「ところで良太様。私は何をお手伝い致しましょうか?」

「ロスヴァイセさんにも見本をお見せしますので、天ぷらの下拵えをお願いします」

「わかりました」


 ドラウプニールから柳刃と鰻裂きと目打ちを取り出し、ロスヴァイセには鰻裂きの方を渡した。


「目打ちが一つしか無いので、先ずは俺がやって見せます。その後で教えながら捌いて貰いますから」

「はい。面白い形の包丁と魚ですね」


 珍しい形状の鰻裂きと穴子を見て、ロスヴァイセは目をキラキラさせている。


 桶の中で動き回っている穴子は、恐らくは雫様が指示して用意してくれていたのだろう。


「こう、目打ちをしたらエラのすぐ後ろ側の身の半分くらいまで切れ込みを入れます」


 この切れ込みは捌く前の段階の締める為の物で、これを行うと動いていた穴子が大人しくなった。


「そうしたら、この切り口から刃を入れて、骨の上を滑らせるように一気に」


 切り裂かれた穴子は、背の部分で繋がれた状態で開きになった。


「内蔵を取ったら、今度はここにある中骨に沿って切れ目を入れて、次に中骨の下に刃を入れて中骨を取り、この端っこにあるヒレを取ったら、頭を落として完成です」

「包丁の切れ味も凄いですけど、良太様の手際もお見事ですね!」

「似たような魚を、いっぱい捌きましたからね」


 穴子は魚体も捌き方も鰻に似ているので、江戸の鰻屋の大前で大量に下処理をした俺には、手慣れた行程だ。


「ここまでの下拵えを、そうですね……十匹分お願い出来ますか」


 多過ぎる気もするが、足りないよりはいいだろう。 


「畏まりました」

「一匹捌くところまでは、後ろで見てますから」

「はい」


 特に手間取ったりはせずに桶から穴子を取り出したロスヴァイセは、躊躇する事無く穴子に目打ちをした。


「では」


(おお。見事な手際だな)


 締めの刃入れから裂き、中骨抜きからヒレ取りまで、ロスヴァイセの穴子の捌き方は流れるようだった。


「どうでしょう?」

「上出来です。この調子で残りもお願いします」

「はい!」


 お世辞では無く、滑らかで真っ直ぐな切り口の穴子の下ろし身の出来栄えは、とても初めてだとは思えない。


 俺は安心してブリュンヒルドとロスヴァイセに下拵えを任せて、蕎麦を茹でる鍋と、つゆと天ぷらを揚げる準備に取り掛かった。


(……俺達はいいけど、ワルキューレ達には通常の蕎麦の食べ方は難しいよな?)


 前日のうどんの時にも思ったのだが、ワルキューレ達は日本人のように音を立てて啜るのが苦手であり、ロスヴァイセ以外は箸の使い方も習得していないので、少し食べ方を考える必要がありそうだ。


(天せいろ、天ぷら蕎麦……後はどんな食べ方があったっけ?)


 蕎麦と天ぷらの組み合わせでの食べ方の記憶を、頭の中から掘り起こす。


(確か上野の老舗に……)


 元祖天もりのように、熱いつゆに天ぷらを浮かべた状態で供する品書きがあるのだが、元祖のかき揚げとは違う、一風変わった天ぷらを浮かべた蕎麦の事を思い出した。



「良太様、出来上がりました!」

「私の方もです」

「お疲れさまです。蕎麦も穴子も上出来ですね」


 ブリュンヒルドの手によって見事に出来上がった蕎麦と、ロスヴァイセが捌いた穴子が並んでいる。


 蕎麦も穴子もかなりの量なので、中々に壮観な光景だ。


「「ありがとうございます」」

「礼を言うのはこちらですよ。それじゃ蕎麦を茹でて、天ぷらを揚げましょうか」

「「はい」」


 既に沸き立っている鍋に、蕎麦を投入していく。


「良太様。どれくらいの時間、茹でれば宜しいのですか?」

「うーん。具体的に何分とかって言うのが難しいんですよね……目で見て、湯の中での蕎麦の色と動きが変わる瞬間があるので、その時としか」

「色と動きですか?」

「ええ」


 ロスヴァイセに問いに曖昧な事しか言えないのは申し訳無く思うのだが、竈の火力や湯と蕎麦の分量、その日の気温などで茹で上がりの条件が変わるので、こういう返答になってしまうのだった。


「うん。今ですね」


 俺は笊で蕎麦を掬い上げ、湯を切った。


「あ……なんとなくですが、わかりました」

「私もです」


(二人共、凄いな……)


 ロスヴァイセとブリュンヒルドが俺が蕎麦を笊で湯から出したのと、ほぼ同時に声を上げたので、火が通って僅かに色が変化し、柔らかくなった事で湯の中での動きが変化をしたのを、戦士の鋭い目で見て取ったのだろう。


「茹で上がった蕎麦は水で洗ってぬめりを取って、冷やす事によって締めます」


 源家の厨房はかなり立派で広いのだが、蛇口を捻れば水が出るような流しでは無いので、柄杓で汲んだ水を広げた手の甲で受けて散らしながら蕎麦に掛けて温度を下げる。


 全体に水が行き渡ったら、今度は桶に汲んでおいた水でぬめりを念入りに洗い流し、冷えて締まった蕎麦を笊で上げて、仕上げの水で数回流す。


「最後にこの笊に、軽く一つまみずつ取った蕎麦を、上下に動かして水を切りながら並べれば完成です」


 店ならばちゃんとした器に盛り付けるところなのだが、笊のままの方が蕎麦を大量に並べられるので、身内だけの食卓だという事で無作法なのは許して貰おう。


「それじゃ今の要領で、残りの蕎麦も茹でて洗って貰えますか」

「畏まりました。お任せ下さい!」


 蕎麦に関しては、ブリュンヒルドが胸を張って請け負ってくれた。


「それじゃロスヴァイセさん。天ぷらを揚げますけど、俺は途中から別の作業をしますので、それまではやり方を見ていて下さい」

「わかりました」


 包丁の背でぬめりを取り、食べ易い大きさに切って粉を振っておいた穴子に、皮目の方には薄く衣をつけて油に投入していく。


「身に火が入ると身が反り返りそうになるので、少しの間だけ箸で抑えておきます」

「はい」

「形が落ち着いたら、こう箸で衣を散らして、花が咲くようにします」


 食材の味を活かす方向の天ぷらだと余計な衣は邪魔なのだが、蕎麦の場合にはつゆを染み込ませて味わう意味もあるので、今回は花衣(はなころも)を付けた。


「わぁ。本当に花と言うか雪の結晶と言うか、そんな感じで綺麗ですね!」

「火が通ってこの衣が固まったらひっくり返して、天ぷらから出る泡が減って軽くなったら、揚げ上がりです」


 ロスヴァイセに説明をしながら、俺は菜箸で揚がった天ぷらの油を切り、金網の上に置いた。


「わかりました。では、やってみます!」


 新たな調理法に瞳を輝かせるロスヴァイセだが、穴子に衣を付けて油に投入する際の態度は、実に落ち着いているし、菜箸の使い方にも不安は無さそうだ。


(ワルキューレ達の身体も、俺みたいに思い通りに動くのかな?)


 蕎麦打ちの時から思っていたのだが、手本を見せるとブリュンヒルドもロスヴァイセも、まるで俺の動きをトレースしているみたいに再現するので、受肉して活動する為の現在の彼女達の身体は、俺と同じ様に思い描けばその通りに動けるのかもしれない。


 だが、愛の女神であるフレイヤ様麾下のワルキューレ達なので、単に人間以上の能力を持っているだけという事も考えられる。


「で、出来ましたっ!」


 油を切って金網の上に置かれたロスヴァイセが揚げた天ぷらは、火を長く通してしまったのか衣の色が少し濃いのだが、初めてにしては上出来と言っても良さそうだ。


「衣の花も綺麗に咲いていますね。では残りもお願いします」

「わかりました!」


 俺の言葉を聞いたロスヴァイセは、すぐに揚げる作業に戻った。


(さて、もうひと工夫だな……)


 食習慣が違うワルキューレ達にも出来るだけ満足して貰えるようにと、俺は蕎麦と天ぷらのアレンジを始めた。



「お待たせしました」

「おお、良太殿。食事の支度まで申し訳ないですなぁ」


 出来上がった蕎麦と天ぷら、幾つかの鍋を持って応接間に入った俺達を、戦装束から着替えた頼永様が迎えてくれた。


 どうやら俺達が調理をしている間に、頼永様と家臣の人達は鎌倉まで戻ってこれたようだ。


「む。やはり謎の助っ人武者は、鈴白であったか」

「家宗様?」


 頼永様の間に雫様を挟んだ位置に、江戸の徳川家の頭領、家宗様が座っていた。


 家宗様の言葉からすると、どうやら体型や所作などから、源側の副将が俺だと見当を付けていたらしい。


「うむ。審判役を努めた果たした余を、頼永殿が労ってくれるというので邪魔をしておる」

「えっと。今日の食事はこの屋敷の料理人では無く、俺が作ったので、家宗様の口に合うかどうか……」


 江戸の鰻屋の大前に通ってくれていたくらいなので、庶民的な料理に怒ったりはしないと思うのだが、元の世界の将軍の食膳に天ぷらは上がらなかったと聞くし、穴子も食べられていたとされる魚類には含まれない。


 おまけに蕎麦は、つゆに浸して食べるもりはともかく、丼に盛り付けてつゆをかけるかけ蕎麦は、下品な食べ方だと武家には長く忌避されてきた。


「おお。この出汁の香りに、その笊に盛り付けられているのは蕎麦だな? 余は鰻だけでは無く、蕎麦も好物だぞ」

「そ、そうですか……」


(考え過ぎだったみたいだな……)


 家宗様は俺が思っている以上に、庶民文化が好きな方だったようだ。


「それでは配膳しますので」


 席に着いている殆どの者の前には、穴子の天ぷらを盛り付けた皿と、熱いつゆを注いだ器を置いたのだが、ワルキューレ達の前には平たい皿に盛り付けた蕎麦を置いた。


「良太様。あたし達は同じ物は食べられないんですか?」

「蕎麦につけるつゆの出汁の香りが、今までオルトリンデさん達が食べてきた物よりも濃厚なので、それを食べて大丈夫そうなら、他も試して下さい」


 この場にいる日本人の前には、本格的な物には程遠いが、それでも出来る限り濃い鰹出汁で作ったつゆが注がれた器が並べられている。


 一方ワルキューレ達の前の皿には、穴子の頭と骨から取った出汁で割って冷やした、鰹の風味をマイルドにしたつゆが掛けられた蕎麦が盛り付けられているのだった。


「わかりました。いい香りに思えるので、大丈夫だと思いますけど」

「口にあったら是非、他の食べ方も試して下さいね」

「では、頂きましょうか。頂きます」

「「「頂きます」」」


 説明が一段落したところで、頼永様の号令で昼食を開始した。


「うむ、旨い! 兄上。この天ぷらは、例のあれですね?」

「そうだよ」

「良太殿。頼華の言うあれとは?」


 一口食べて、天ぷらの工夫に気がついてくれた頼華ちゃんは頼永様の疑問を余所に、豪快に音を立てながら蕎麦を手繰っている。


「その天ぷらなんですが、衣の色が少し違うと思いませんか?」

「衣の色、ですか?」

「ええ」

「ふむ……これはもしや、衣に蕎麦粉を使ってあるのか?」

「その通りです」


 俺と頼永様がやり取りをしている間に、家宗様が衣に蕎麦粉を使っている事を見抜いてしまった。


「蕎麦粉で衣を作った天ぷらなのですから、蕎麦に合わない訳がありませんね。天ぷらからも蕎麦が香り、一緒に食べると更においしく感じますね」


 雫様も蕎麦を手繰る際には音を立てているのだが、適量を箸で摘んで口に運ぶ所作はとても美しく映る。


「蕎麦はブリュンヒルドさんが、天ぷらはロスヴァイセさんが殆ど仕上げてくれましたので、おいしいのはお二人のお陰ですよ」

「「りょ、良太様!?」」

「でも、本当の事ですから」


 手柄を横取りする気は無いので、ありのままを伝えただけなのだが、何故かブリュンヒルドとロスヴァイセが挙動不審になった。

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