戦
「それじゃ出発しましょうか」
「そうだな」
「お待ちを、良太様」
戸締まりをした正恒さんと歩き始めようとすると、ブリュンヒルドから待ったが掛かった。
「どうかしましたか?」
「我等の愛馬を喚び出しますので、それに乗って移動しましょう。そうすればロスヴァイセの浪費した分の時間を取り戻せるでしょう」
「う……」
ブリュンヒルドに言われて、ロスヴァイセが恥じ入るように目を伏せた。
「馬でという事は、二人ずつ分乗という事ですか?」
「はい! も、勿論ですが良太様は、私と御一緒に……」
確かに移動時間は短縮するのだが、ブリュンヒルドには別の目論見があったようだ。
「愚か者が! 兄上は余と一緒に決まっているであろうが!」
「ひっ! で、ですが頼華様。我等の騎乗馬は主である者が乗りませんと、言う事を聞かないのです」
「む……」
ブリュンヒルドの言う事を頼華ちゃんは疑っているのだが、普通の馬でも乗馬のベテランかどうかを見抜いて乗せるのを拒否する事があるので、嘘だと断定も出来ずに言葉を飲み込んでしまった。
「……とりあえず馬での移動には賛成するから、どうやって喚び出すのかはわからんが、さっさとするが良い」
「は、はい! いでよ、グラーネ!」
「いでよ、グラーヌス!」
「いでよ、ヤールンファクシ!」
三人のワルキューレが声を上げると昨晩のように空中からでは無く、俺達が歩いてきた山道の方から三頭の馬が駆け下ってきた。
一頭はグラーヌスに似た漆黒の馬体で、それが同じスレイプニールの血を引くというブリュンヒルドの愛馬、グラーネだろう。
もう一頭の黒いが、やや赤み掛かっている馬体の馬が、オルトリンデのヤールンファルシという馬のようだ。
ブルルルル……
「やあ、グラーヌス」
昨晩と同様に愛想は無いのだが、それでも喉を鳴らしながらグラーヌスが俺に顔を擦り付けてくる。
「兄上。その馬を知っているのですか?」
「っ! い、いや。ほら、さっきロスヴァイセさんが名前を呼んでいたからね」
頼華ちゃんに指摘されて昨晩は隠密行動をしたのを思い出し、慌てて言葉を取り繕った。
「ふーん……」
「や、やあ。君がグラーネで、君がヤールンファクシか」
俺が何かを誤魔化してると感じたのか、頼華ちゃんが疑いの眼差しで俺を見てくるので、グラーヌス以外の二頭の馬にも挨拶をする。
ブルルルル……
「まあ! グラーネが私以外の人に、こんなに懐くなんて……さすがは良太様ですわ!」
「……懐いていると言うか、こいつら良様に怯えているように見えるんだけど」
「そんな事は無いでしょう?」
オルトリンデにそう返したが、言われてみるとグラーネとヤールンファクシは、何か達観したような瞳で俺を見つめながら、斬首を待つかのように頭を低く下げているように見える。
(殺気も放ってないのに、なんでだろう……)
もしかしたらワルキューレの騎乗する馬同士の会議でもあるのかもしれないのだが、今のところは真相は不明だ。
「それで、どう分乗しましょうか?」
「で、でしたら私と良太様、オルトリンデと頼華様、ロスヴァイセと正恒様では?」
「まあ、妥当な感じかな?」
ブリュンヒルドの意見には多分に個人的な思惑が入っているのだとは思うが、特に反対をする要素が見当たらないのも確かである。
「むぅ……まあ良いか。おるとりんで。余が手綱を取っても良いか?」
「それは……ヤールンファクシ、いいね?」
ブルル……微妙に不満そうに喉を鳴らしたが、ヤールンファクシは逆らう事も無く首を下げた。
「では頼華様。失礼します」
「うむ!」
以前に見た頼華ちゃんとお付きの頼親さんの騎乗していた馬と比べると、明らかにヤールンファクシの方が体格が上なので、オルトリンデが背後から抱え上げて、頼華ちゃんを鞍の上に跨がらせた。
「で、では良太様。グラーネの手綱はお任せ致しますね」
「はい」
(まだ乗馬は二度目なんだけどなぁ……)
心の中で呟きながらも、昨晩のグラーヌスと同様に扱いやすいだろうと思いながら、俺はグラーネに跨った。
「ブリュンヒルドさん」
「は、はいっ!」
俺が鞍上から手を差し出すと、ブリュンヒルドは躊躇無く手を取った。
「きゃっ♪」
「……」
何故かブリュンヒルドは鞍に跨がらずに、スカートを履いた女性のように横座りの姿勢になって、俺に身体を預けながら嬉しそうに声を上げた。
「ぬぅ……」
「ひっ!?」
ブルっ!?
頼華ちゃんから叩きつけるような殺気が放たれると、歴戦のワルキューレとその愛馬が身体を震わせた。
「頼華ちゃん。グラーネとヤールンファクシが怯えるから、程々に」
俺は震えるグラーネを落ち着かせようと、首の辺りを撫で付ける。
「むー……ぶりゅんひるど。あまり兄上にくっつき過ぎるなよ?」
「は、はいっ!」
調子に乗り過ぎたと思ったのか、ブリュンヒルドは少しだけ俺から身体を離した。
「おい良さん、姫さん。早いとこ出発しようぜ」
気がつけば、既に正恒さんとロスヴァイセは馬上の人になっていた。
グラーヌスの手綱を取るのは、前に座っているロスヴァイセだ。
「あ、その前に。外套を着けて下さい」
お姫様である頼華ちゃんは当たり前だが、俺も鎌倉ではそれなりに有名になってしまっているので、迷彩効果のある外套を取り出して羽織った。
ブリュンヒルド、オルトリンデ、ロスヴァイセも同じように、さっき渡したマントを羽織った。
「それじゃ今度こそ、出発しましょう」
俺がグラーネの身体を軽く蹴ると、ゆっくりと前に歩み始めた。
「どうぞ、お通りを」
特に馬達を急がせた訳では無いが、当たり前だが普通に歩くよりは短い時間で、鎌倉の関所に到着した。
(……なんか変だな?)
最低限のやり取りをして、領内に入る門で足税を納めて通過したのだが、本当になんとなく程度ではあるが、以前に訪れた時とは違う雰囲気を感じる。
「兄上。何やら領内が浮足立っているように思うのですが?」
「頼華ちゃんもそう思う?」
馬上から立ち並ぶ商店や通行人の様子を見ながら、頼華ちゃんも俺と同じ物を感じたようだ。
「なんだ良さん。知ってて戻ってきたんじゃ無かったのか?」
「知っててって、なんですか?」
俺が戻って来たのに驚いていなかったのは、正恒さんの生来の性格なのだと思っていたが、いま俺達が感じている何かに関連があるらしい。
「戦だよ」
「「戦!?」」
正恒さんの口から飛び出した単語を聞いて、俺と頼華ちゃんは注目を集めてしまう事など頭から吹き飛んで、思わず大声を出してしまった。
「……やっぱりここでも、妙な雰囲気だね」
「……そうですね」
正恒さんから『詳しい話は頭領から聞きな』と言われてしまったので、確かにその通りだと思って俺も頼華ちゃんも、門から源屋敷のある鶴岡若宮まで無言で馬を進めた。
そして辿り着いた若宮からも、やはり物々しい雰囲気が発せられているのを感じて、俺と頼華ちゃんは難しい表情で顔を見合わせてしまったのだった。
「……こうしていても仕方がありませんね。誰ぞあるか!」
ひらりと身軽にヤールンファクシから飛び降りた頼華ちゃんは、参道から脇に逸れた場所にある源屋敷の方へ向けて、大きな声で呼び掛けた。
「はい。お待ちを……らっ、頼華様っ!?」
「おお、胡蝶か! 久しいな!」
外套のフードを跳ね上げた頼華ちゃんの顔を見て、胡蝶さんの瞳が大きく見開かれた。
「お久しぶりです、胡蝶さん」
「す、鈴白様まで……ああ、これで鎌倉は救われます」
「……どういう事ですか?」
正恒さんの言っていた戦という言葉に繋がるのか、頼華ちゃんに駆け寄って跪いた胡蝶さんは、涙ぐみながら手を取った。
「どうしたのです胡蝶。騒がしくして……あら、頼華?」
「母上っ!」
騒ぎを聞きつけたのか、頼華ちゃんの母親である源家の奥方の雫様が、見た目にわかるくらいに大きくなったお腹を揺らしながら現れた。
「お久しぶりです、良太殿」
「御無沙汰をしました、頼永様」
雫様の案内で応接間に通された俺達は、源家の頭領である頼永様との再開を果たした。
源屋敷も鎌倉の町中と同じように、どこか浮足立った雰囲気に包まれており、頼永様の顔には僅かではあるが疲労の色が浮かんでいる。
「その、戦だとお聞きしたのですが、どういう事なのですか?」
「む? そう聞いてくるという事は良太殿と頼華は、連絡役の家臣に会ったのでは無いのですね?」
「連絡役、ですか?」
「ええ」
頼永様が意外そうな表情をするが、隣りに座っている頼華ちゃん共々、俺には心当たりは無い。
「実は……此度の戦は相手からの申し出で、五対五の代表を出しての勝ち抜き戦という形になりまして。御存知のように雫は身重ですので出す訳には行きませんので、お恥ずかしながら現状の手勢では戦力が足りず、頼華に一時的に戻って貰おうと思い、家臣を遣いに出した次第なのですが」
「ははぁ……」
以前に源家は武人の平均値が高く無く、頼永様と雫様と頼華ちゃんの戦闘力が飛び抜けているのだという話しを聞いている。
総力による野戦とかになれば、戦術なども駆使して互角以上の戦いに持ち込めるのだろうと思うが、どうやら代表五人の選抜戦となると、雫様と頼華ちゃんが出られない状況では相手が有利になるようだ。
「伊勢から京までの良太殿達の足取りは掴めていたので、その線で動いて連絡を取るように命じておいたのですが……」
「どうやらすれ違ったみたいですね」
密かに俺達の足取りを辿るような事を頼永様がしている節はあったし、時々黒ちゃんと白ちゃんにお使いを頼んで訪ねて貰ったりもしていた。
夕霧さんの件で忍びの集落の浮橋からも連絡は来ていたのだろうから、現在の俺達の行動の中心が京だというのを頼永様が知っていたとしても、何もおかしくは無い。
連絡役の人がどういう動きをしたのかは不明なのだが、もしかしたら俺達が里へ動くくらいのタイミングで、京の笹蟹屋を訪ねたのかもしれない。
「ところで頼永様。戦の相手と、原因はなんなのですか?」
どうやら戦そのものは回避出来そうに無いので、詳しく状況を知る方向に頭を切り替える。
「相手は隣の領地の北条です。原因は……頼華、そなただ」
眉間に皺を寄せながら、頼永様が頼華ちゃんに言った。
「余がですか? しかし余は兄上と鎌倉を離れていたのに、何故に北条との戦の原因に?」
「そうなのだが……実は北条の跡取りが、密かにそなたに想いを寄せていたらしくてな」
「「……は?」」
もしかしなくても、実は戦の原因が凄く下らない事なのでは無いかと感じた俺と頼華ちゃんは、頼永様に失礼だとは思いながらも、開いた口が塞がらなくなっている。
「しかし……父上達のお供で何度か北条家の者達には会った事がありますが、本当に数える程ですよ?」
「数回しか姿を見ていないのに、近い年頃の頼華を密かに見初めていたらしいのだが……どうやらそなたが出奔した事で、こちらが嫁に出すのを渋っていると勘違いしたようでな」
「むぅ……」
当事者の頼華ちゃんも、説明をしている頼永様も困り顔だ。
「実は関東周辺の家格の高い未婚の女子は、言い方は悪いのですが徳川の頭領に、その……食い散らかされていましてね」
「あー……」
困ったような顔の頼永様の説明の続きを聞いて、徳川家の頭領の家宗様の絶倫なのが遠因で、今回の戦という話にまで発展してしまったようだ。
「当初は頼華の出奔から、北条は尾張の織田から朔夜姫を迎えようという話に切り替えたらしいのですが……」
「も、もしかして……」
尾張織田家のお姫様であり、伊勢の代官である朔夜様の名前が出た時点で、俺は嫌な予感を覚えた。
「ええ。以前から朔夜姫は『自分よりも強い相手が現れたら嫁入りをする』と公言していたのですが、とある旅の者に破れたと。しかもその旅の者に同行している者達も尋常では無く……『己の未熟を悟ったので、当分は嫁入りなど考えられない』と宣言したそうで」
「えー……」
家宗様の絶倫から端を発して、巡り巡って戦の責任の所在が、俺の元まで到達してしまった。
「という訳でして。完全に言い掛かりではあるのですが、北条の方は怒りの矛先を源に向ける決意を固めたらしく、此度の戦という運びになったのです」
「は、はぁ……」
婚姻などが原因で戦争に発展した例はあるのだが、それにしたって今回の一件は戦に発展する程の事だとは思えない。
「父上。どうやら余にも責任の一端があるようですし、代表者の一人に加えて下さい!」
「ああ。助かるよ、頼華」
純粋に頼華ちゃんの戦闘力を評価しているのだろう、頼永様は目に見えて安堵している。
「頼永様。俺も及ばずながら助勢させて頂きます」
「良太殿……かたじけない」
本当は進んで戦いなどはしたくないのだが、義理の両親になって貰う人達に関わる事だ。
「失礼。頼華様の御父君様」
「ああ、これは良太殿のお連れ様に挨拶もせずに。こちらこそ失礼を」
まだ互いに紹介をしていなかったブリュンヒルドに話し掛けられて、頼永様が謝罪しながら会釈をする。
「それは構いません。何やら難儀なさっている御様子ですし、良太様と頼華様に関わる事でしたら、我等も無関係とは言えません」
「と、仰っしゃりますと?」
真剣なブリュンヒルドの視線を真正面から受け止めながら、頼永様は言葉の続きを待っている。
「お話を伺っておりましたが。勝ち抜きという事でしたら、良太様が出られる時点で万が一も起こらないとは思いますが、微力ながら我々も手をお貸ししましょう」
当然とばかりに言い放ったブリュンヒルドの独断なのだと思うが、リーダーの決定だからなのか、同席しているオルトリンデもロスヴァイセも、意見を挟んだりする事も無く平然としている。
「それは……良太殿?」
俺と頼華ちゃんに同行して来たし、関係者だというのは会話の流れからも雰囲気からも察したようなのだが、それでも金髪碧眼の美女達の扱いに、頼永様は困っているのが見て取れる。
「えっと……皆さんの説明って、ある程度はしちゃっても大丈夫なんですよね?」
「良太様に隠し立てする事など、我々にはありません」
「「……」」
「そ、そうですか……」
力強く言うブリュンヒルドに、オルトリンデとロスヴァイセも肯定の頷きを見せる。
「頼永様。この人達は大陸の西方で崇められている神様の御使いでして」
「なっ!? そ、そんな方々が良太殿の配下に!?」
外国から来たというのは、頼永様も彼女達の見た目だけでわかっていたと思うのだが、御使いという情報を聞くと、思わず目を見開いた。
「別に俺の配下という訳では……」
「我等は皆、良太様の手足として従う者です」
「「……」」
真面目な顔のブリュンヒルドの言葉を聞いて、オルトリンデとロスヴァイセは今度は大きく頷いた。
「話を戻しまして……彼女達は恐らくですが、伊勢の朔夜様よりも強いと思いますので、戦力面では頼りになりますよ」
「なんと! 良太殿がそう仰るのなら、本当なのでしょうな」
「ええ」
ワルキューレ達の個々の戦闘力を完全に把握している訳では無いのだが、昨晩のロスヴァイセの槍の刺突は、俺達と出会った頃の朔夜様を超えていると思うし、そんなロスヴァイセを率いるブリュンヒルドと、肩を並べて戦えるオルトリンデが弱いという事は無いだろう。
「と言っても、頼永様と頼華ちゃんと俺が出るんだから、ブリュンヒルドさん以外にはもう一人でいいんだけど……」
「ならば私が。良太様に施して頂いた付与を、実践の場で試してみたいですので」
なんとなく戦闘行為の好きそうなオルトリンデが立候補してくるかと思っていたのだが、意外な事にロスヴァイセが申し出てきた。
「む? 兄上、付与とは?」
「えーっと……ちょっと思いついて実験をしてね。それにロスヴァイセさんが付き合ってくれたんだよ」
「むぅー……もしやそれが、寝床にいなかった理由ですか?」
「まあ、うん……」
(す、鋭いな……)
睨んでくる頼華ちゃんに、嘘を重ねるのは得策では無いと悟った俺は、正直に昨晩の状況を話した。
「兄上! 早速浮気ですか!」
「浮気じゃないよ!?」
「ふむ……良太殿。その付与と申されるのは?」
俺と頼華ちゃんのやり取りは無視して、頼永様は自分に有用だと思える単語についての質問をしてきた。
「彼女達、戦乙女が奉じてる神様を表すルーンという文字があるのですが、それを武器などに彫り込んで気を込めると威力などを増せると聞きまして」
「ふむふむ」
「この国の文字や、俺が加護や権能を授かっている神仏を象徴する紋章や梵字などで試してみたら、予想以上に効果がありまして」
「それは……戦までに我々の装備に施して頂く事は出来ますか?」
戦力の底上げになる事は行っておきたいのか、頼永様の表情が引き締まった。
「衣類に関しては最初からそのつもりだったので。でも、武器は……」
「武器の方は、何か不味いのですか?」
「それに関しては、ちょっと説明させて下さい」
「わかりました。伺います」
自分でも性急だと思ったのか、頼永様が居住まいを正した。
「俺がやった付与の方法ですが、筆に水を付けて気を込めて、付与したい内容を書き込むんです」
「水で? それでは乾いたら消えてしまうのでは?」
「俺もそう思ったんですが、気を込めるからか、乾いても見えなくなるだけで文字はそのまま残り、使う時には浮かび上がります」
「ふむ……」
「実際にお見せしますね」
かなり特殊な方法だというのは俺にも自覚があるので、半信半疑な感じの表情を浮かべている頼永様に、現物を見せる事にした。
(……火は室内じゃ危ないから、雷だな)
俺は目に見えない状態になっている文字に意識を集中して、気を込めた。
「おお! 雷の文字が浮かび上がり、刀身が紫電を纏うとは!」
文字を浮かび上がらせるだけなら斬撃の強化でも良いのだが、ヴィジュアル的にもわかり易い方がと思ったので、刀身を帯電させる雷を選んだ。
セレクトは正解だったようで、頼永様だけでは無く、微笑みを浮かべるロスヴァイセ以外は同席した皆が驚いている。
「そ、それは私の武器にも出来るのですか?」
「多分問題無いんですけど……雷に関しては頼永様が奉じている八幡神様に由来しないので、難しいかと」
「ああ、それは言われてみれば……」
八幡神様は戦勝の神様なので、斬撃の威力を強化する『斬』の文字や、防御を強化する『剛』の文字などは問題無いと思うが、頼華ちゃんと血が繋がっているとは言っても、黒ちゃんと白ちゃんの由来の能力なので、使えない可能性が高い。




