ファミレス
(それにしても……あれはあんまりだよなぁ)
掃除をする予定だった自室から追い出される形になった俺は、リビングに戻って腰を下ろした。
(用は成しているんだと思うけど、サイズなんか欠片も考えて無さそうだし……神様でも、その辺は無頓着なのかな?)
なんの事かと言えば、ブリュンヒルドとオルトリンデの着ていた鎧下の事だ。
神様の使いであるワルキューレの着る物なので、見た目通りの材質なのかはわからないが、麻袋に頭を通す穴を開け、同じ布を筒状にしただけの袖が付いている鎧下は、俺からすれば衣服とは呼べないような代物だったのだ。
「……まあ、嫌なら着ないだろう」
もしかしたら用無しかもしれないのだが、俺は独り言ちると蜘蛛の糸を操作し始めた。
「おりょうさん。いいですか?」
「良太? 厠を使うのかい?」
「いえ、そうじゃなくて……おりょうさんだけ出て来て貰えませんか?」
俺が用足しに来たのかと、おりょうさんは思ったようだ。
「何かあたしに用かい?」
「正確にはおりょうさんにじゃ無いんですけど、直接本人に渡すのは……これなんですけど」
俺は何層か重なった布製の衣類を、おりょうさんに手渡した。
「あ……あー。うん。実は着丈はなんとか大丈夫なんだけど、あたしのじゃ胸周りや腰回りの寸法が合わないんで、どうしようかと思ってたんだよ」
おりょうさんとブリュンヒルドの身長やパッと見の体型は近いように思ったのだが、やはり東洋人と北欧系の白人では体型に違いがあるみたいだ。
「でもまあ、どっちにしろあたしのを着けるのは抵抗があるだろうしねぇ」
「そうでしょうね」
俺が渡した女性用の下着を見ながら、おりょうさんが複雑そうな笑顔を浮かべる。
シャツやスラックスなんかはともかく、親しくても他人の下着を着けるのは、新品でも無ければ抵抗があって当たり前だろう。
「まあ、大きい割には筋肉に支えられてるんで、無しでも邪魔にはならなそうなんだけどねぇ」
「そういう説明はいいですから」
おりょうさんがブリュンヒルドの身体のどの部分の事を言っているのかは、風呂で目撃したのでわかってしまうのだが、納得してもしなくても角が立つ案件だ。
「後で買い物には行こうかと思ってたけど、それまでの繋ってだけでも、作ってくれて良かったよ」
「余計なお世話にならないのなら、良かったですよ」
あまり男である自分が積極的に女性に下着の着用を勧めるのはどうかと思っていたのだが、おりょうさんからの感謝の言葉を受けてホッとした。
「そいじゃ早速。ぶりゅんひるどさん。せっかく着たとこ悪いんだけど、脱いどくれ」
「ええぇっ!? こ、このボタンっていうの、全部外すの大変なんですけど……」
被るだけで着られる鎧下のような衣服に慣れているからか、ブリュンヒルドはブラウスのボタンの多さに苦労しているようだ。
「文句言ってる間に、脱いだ脱いだ」
「ひゃぁぁっ!?」
「あ、俺は失礼します」
そんな事はお構い無しに、おりょうさんは早業で上から順にボタンを外し、下着をつけていないブリュンヒルドの上半身を顕にしたので、俺は脱衣所に通じる扉を閉めながら回れ右をした。
「頼華ちゃん、いい?」
自分の部屋のドアをノックして、返事を待った。
「兄上? この者の図体が無駄にでかいので、まだ着替えは済んでおりませんが」
「無駄にって頼華様、酷いなぁ……」
頼華ちゃんの言葉に、オルトリンデが小声で抗議している。
「ちょっと、頼華ちゃんだけ出てきてくれるかな」
「? わかりました」
俺の部屋の扉を開けて、頼華ちゃんが顔を出した。
「これ、必要だろうと思ってね」
「おお! さすがは兄上! あの者、無駄にでかいのは背だけでは無く、胸や尻も……」
「うん。わかったから、早く渡してあげてね」
オルトリンデの着替えの世話をしてやっていたようだが、面白く無さそうな表情からすると、頼華ちゃんの心中は穏やかでは無かったらしい。
「では、さっさと支度をさせて、扱き使ってやるとしましょう!」
「あはは。そうだね」
家の中の掃除の手伝い程度なので、頼華ちゃんが言うように扱き使う事など出来ないと思うが、適当に相槌を打っておいた。
「良太様っ! こんなに素敵な下着を、ありがとうございます!」
「着心地が悪くは無いですか?」
鎧で武装した状態でも着けられるように、胸を保護する下着の方はノースリーブのシャツを胸の少し下でカットしたようなデザインにした。
下の方は尻全体を覆う、女性用のボクサーパンツのようなデザインにして、これも動きは妨げないが肌を保護する面積を多めに取った。
「いえいえ、決して! なんと言いましても、胸の動きが適度に抑制されて、非常に動き易いです! それはもう、良太様に後ろから胸を支えられているみたいに……」
「またこれか……」
フィット感が良いのを褒められるのは有り難いのだが、何故か大きな胸の女性には、ほぼ例外無く俺が胸を支えているようだと評される。
「おう良様! この下着すげーな! 胸も腰回りも楽になったぜ!」
オルトリンデはちゃんと貸した服を着ているのだが、体型の違いで窮屈なのかボタンを外しているので、下着に包まれている胸元が丸見えになっている。
「おるとりんで! 貴様、兄上に対してその口の聞き方はなんだ! 無駄に胸ばかりでかくしおって!」
「ひゃっ! ら、頼華様、お許しを!」
俺に向けて強烈に主張してくるオルトリンデの豊かな胸を、頼華ちゃんが一喝しながら鷲掴みにした。
(……すっかり主従関係が出来上がってるみたいだな)
体格の面では圧倒的に劣っているのは頼華ちゃんの方なのだが、どういう訳なのか出会った当初からオルトリンデは従う姿勢を見せている。
現に今も、下から胸を揉みくちゃにされて悶絶しているのに、オルトリンデは頼華ちゃんから逃げようとはしていない。
「ああん……ご、ごめんなさい、頼華様。も、もうその辺でぇ」
「馬鹿者が。謝る相手が違うであろう!」
「うう……りょ、良様ぁ。ごめんなさいぃ」
「いや、もういいですから」
男勝りな感じの金髪美人のオルトリンデが悶絶している姿は、見た目だけでは無く微妙な空気を周囲に撒き散らしている。
「さあさあ。おふざけはこんくらいにしといて、さっさと掃除と洗濯をしちまうよ」
「「「はい」」」
おりょうさんがパンパンと手を叩きながら号令を出したので、各自が速やかに持ち場に付いた。
「ふぅ……こんなもんかな?」
机の周りと読んだ本の整理をして、途中で掃除機を持ってきて床の掃除を終えた俺は、一息ついて部屋の中を見回した。
おりょうさんと頼華ちゃんが掃除をしてくれていたのもあって、こっちの世界に戻ってきた当初に比べて格段に綺麗になっている。
「良太。終ったかい?」
「ええ。下りようかと思ってたところです」
掃除を終えてパソコンを操作していたら進捗の確認か、おりょうさんが部屋までやって来た。
「下の掃除と洗濯も終わったんだけど、洗濯物は干したまんまでいいかい?」
「今日は天気が崩れる事は無さそうですから、大丈夫でしょう」
昼食は外でという申し合わせをしていたので、洗濯物をベランダに出したままでの外出になってしまう事への、おりょうさんの気遣いだ。
「おりょうさんと頼華ちゃんの荷造りは、終わりました?」
「うん。って言っても今はこいつがあるんで、楽ちんだねぇ」
おりょうさんは笑いながら、左の手首のドラウプニールを示す。
「あの二人の分の宿も、手配しておきましたよ」
「ああ、それも必要だったねぇ。助かるよ」
俺の家を出た後のおりょうさんと頼華ちゃんの宿泊先として、川崎駅前のホテルを予約してあったのだが、こっちには不慣れだと思うブリュンヒルドとオルトリンデを、喚ぶだけ喚んで放り出す訳にも行かないので、運良く空きがあった同じホテルに部屋を取った。
幸いな事に同じフロアに空きがあったので、一緒に行動をしたい時などには都合がいいだろう。
「朝食はバイキングっていう食べ放題方式ですから、少しは頼華ちゃんの食費も抑えられると思いますよ」
「だといいんだけどねぇ……」
食欲旺盛な頼華ちゃんはメニューによっては底無しなので、懐具合を考えると朝食バイキングが付く宿泊プランは有り難い。
「そいじゃ、お世話になりました」
「お世話になりました!」
「「……」」
玄関を出たところで、おりょうさんが呟きながら一礼すると頼華ちゃんが続き、少し顔を見合わせた後でブリュンヒルドとオルトリンデも頭を下げた。
「兄上! 昼餉はどちらで?」
俺の腕にぶら下がるようにしながら歩く頼華ちゃんが、屈託の無い笑顔を浮かべながら訊いてきた。
「んー。人数を考えると、ファミレスかなぁ」
五人という人数を考えると、利用出来る店の種類は限られる。
パッと頭に浮かんだのはファーストフードだが、こっちの世界に来たばかりのブリュンヒルドとオルトリンデの二人の食事としては、幾ら何でも相応しくないと思ったので、メニューの選択肢が多いファミレスにしようかと考えた。
(昨夜の内に喚ぶ事を決めておけば、店の予約くらいは出来たんだけど、仕方が無いな)
後悔先に立たずではあるのだが、考えてみれば昨夜は二度目のプロポーズでいっぱいいっぱいだったので、二人の事を考える余地なんか無かったかもしれない。
「こっちで食事をする場所としては定番のようですが、そういえば利用するのは初めてですね!」
「ああ、そうだね」
リクエストがあったので、牛丼屋やファーストフード店は利用していたのだが、他にも色んな種類の飲食店に入った割には、席が空いていればだがファミリーレストランでの食事は初めてだ。
「むむむ……兄上と姉上は何を注文されますか?」
運の良いおりょうさんと頼華ちゃんが同行しているので、当然のように五人でもすぐに席に通された。
料理の写真が並ぶメニューを見ながら、セレクトに苦心する頼華ちゃんは俺とおりょうさんに助けを求める用に尋ねてきた。
「俺はそうだな……若鶏のステーキとパンチェッタの盛り合わせにしようかな」
「あたしゃこの、しーふーどぱえりあってのにしようかねぇ」
(……なんでイタリアンのファミレスなのに、スペインのパエリアがあるんだろう?)
とか思ったのだが、魚介類が沢山乗った写真を見て、実物への期待に胸を膨らませているおりょうさんに、わざわざ言う必要もないので黙っている。
「わ、私は、良太様と同じ物で」
「あたしはやっぱ肉だな!」
ブリュンヒルドは俺と同じ盛り合わせで、オルトリンデはリブステーキに決めたようだ。
「むむ……」
「頼華ちゃん。他にも幾つか頼んでみんなで摘めるようにするから、一通り食べてから追加で注文してもいいよ」
この店ではパスタやピザも一皿の量が軽いので、色々と頼んでみんなで分け合って食べるつもりだった。
「おお! それは名案です!」
「それじゃ」
テーブルごとにある電子チャイムのボタンを押して、店員を呼んだ。
「……さすがに良太の家や、ほっとけーきの店で飲んだのには劣るねぇ」
「まあ、その分安いので」
セットで頼んだドリンクバーのエスプレッソを一口飲んで、おりょうさんが複雑な表情をしている。
「うむむ……やはりこの、めろんそーだという飲み物は不思議ですね!」
「あはは……」
どうやら頼華ちゃんの中では、まだメロン味の食品の問題は、尾を引いているらしい。
「はぁ……ちょっと変わった味ですけど、果汁が好きなだけ飲めるなんて」
ヴァルハラの食事事情はあまり良くないのか、濃縮果汁還元のオレンジジュースを飲んだブリュンヒルドが、幸せそうに溜め息をついている。
「頼華様。酒は飲んじゃ駄目なんですか?」
「姉上が我慢なさっているのに、貴様だけ飲むというのか?」
「……我慢します。ん、こいつは結構旨いな」
頼華ちゃんに睨まれてオルトリンデは縮こまりながら、適当に選んだらしいジンジャーエールのグラスを口に運んだ。
「お待たせしました」
「おお! 来た来た!」
可愛らしく出した舌で唇を舐めながら、頼華ちゃんが並べられていく料理を見て瞳を輝かせる。
Lサイズのイタリアンサラダとポーチドエッグ乗せの豆のサラダ、コーンとカボチャのポタージュ、ムール貝のガーリック焼きの皿が、テーブル狭しと置かれた。
「では、頂きます」
「「「頂きます」」」
おりょうさんの号令にブリュンヒルドとオルトリンデも従いながら、食事を開始した。
「ふむ! 豆と卵というのも合うのですね!」
「カボチャをこんなにして食うのは初めてだけど……うん。悪くないねぇ」
「この貝もいけますよ」
極端にイタリアンな料理は口に合わないかと思い、食材が和食にも使われている物が多いのを選んだのだが、今のところはおりょうさんと頼華ちゃんから不満は出ていない。
「失礼します」
人数が多いので料理の減りも早いのだが、良いタイミングで注文品の追加が来た。
二枚のピザの具はコーンとアンチョビ、パスタはシンプルなペペロンチーノとイカ墨にした。
「りょ、良太様! 真っ黒ですよ真っ黒!」
「落ち着かんか。これはこういう料理なのだ!」
イカ墨パスタを見て、あからさまに動揺するブリュンヒルドを注意しているが、その頼華ちゃんも初体験時には驚いていたのを思い出して、俺は口の中で笑いを噛み殺す。
「見た目はこんなだが、具材のイカと墨が絡んで、なんとも芳醇な味わいなのだ!」
「イカですか……」
「……」
(あ、もしかして?)
イカと聞いて、ブリュンヒルドだけでは無くオルトリンデも顔を強張らせているのだが、もしかしたら一部を除いてヨーロッパ人がイカやタコが苦手というのが、神様の使いであるワルキューレにも適用されるのかもしれない。
「あの、他にも料理はあるので、無理して食べなくてもいいですからね?」
「う……申し訳ありません。どうしてもクラーケンを想像してしまって」
「攻撃が効き難い上に、再生までする厄介な相手でねぇ」
「は、はぁ……」
ファンタジーの海の魔物の定番である、イカやタコに似た軟体動物のクラーケンだが、戦闘経験から食べるのが苦手という話を聞くとは思わなかった。
「イカは旨いんだけどねぇ」
「自分の手で狩ったのなら、食ってやるのが供養だろうに!」
「いや、頼華ちゃん。イカやタコと魔物は違うから」
おりょうさんは食わず嫌いを勿体無いと言いたいようなのだが、頼華ちゃんは狩りの獲物と同じくらいにしか思っていないようだ。
「こ、こっちの方を頂きます」
「あたしも。ん。んまい!」
ブリュンヒルドと同時に、ペペロンチーノを食べたオルトリンデは、まだ口を動かしている間にフォークで追加を巻き取っている。
「これは玉蜀黍で……良太、こっちのは?」
「アンチョビっていう、鰯の発酵食品で味付けされてるピザです」
「鰯? へぇ。外国でも食うんだねぇ。ん……初めて食うけど、不思議と口に馴染むねぇ」
玉蜀黍は向こうでも料理して出した事があるからか、おりょうさんは敢えてアンチョビの方を先に食べ、和食に慣れている自分の口に合ったのに驚いている。
「この乾酪はあまり塩気が強くないので、少し塩っぱいあんちょびとやらが、丁度いいですね!」
「うん。おいしいね」
ピザに使われているモッツァレラチーズは、向こうの世界で食べたブルムさんから買ったチーズよりは塩味が穏やかなので、頼華ちゃんにも好評のようだ。
続いて、ほうれん草のグラタン、シーフードパエリア、チキンとパンチェッタの盛り合わせ、リブステーキも運ばれてきて、一度目の注文品が出揃った。
「具沢山で贅沢な料理だけど、この人数で食うには少なかったねぇ」
一人前なので当たり前なのだが、出来る範囲で貝などを均等に皿に分けながら、おりょうさんが苦笑している。
「いま並んでる皿の料理を食べた具合で、足りなければ追加しましょう」
「そうだねぇ。はい、良太」
「ありがとうございます」
受け取った俺の皿のパエリアには、おりょうさんの気遣いでブリュンヒルドとオルトリンデの皿に取り分けなかった分の、イカが多めに盛り付けられている。
「ほう! 少し変わった風味の炊き込みご飯ですが、これは旨い!」
「変わった風味っていうのは、この御飯の色も出してくれているサフランだね」
古来から珍重されているサフランは、料理に鮮やかな色と香りを出してくれるが、少量でも非常に高価だ。
「ああ、野菜がおいしい……」
「そんなに言う程かねぇ」
パエリアでは無く、ほうれん草のグラタンを食べてうっとりしているブリュンヒルドを見て、自分も一口食べてみたおりょうさんが首を傾げている。
「肉や魚介類は比較的良く食べられるのですけど、果物や野菜、特に新鮮な物が食べられる時期は、北欧では限られますので……」
「良くわからないんですけど、ヴァルハラって北欧と同じ環境なんですか?」
北欧神話の世界は幾つかの領域に分けられていて、それぞれ環境は違うと思うのだが、神様の住んでいる場所がそれ程過酷なのだろうかというのは疑問だ。
「一年のかなりの期間を雪に閉ざされるなどという事は勿論無いのですが、食生活というのは崇めている人の文化圏の物が、そのまま反映しますので」
「ああ、それはそうですよね」
言われてみればだが、天照坐皇大御神様は太陽神であると同時に、日本人の主食である米の稲作を司ってもいる。
逆説的に、最近は大分北限も上がったとは言え、米の取れない地域の北欧に稲作の神様がいる訳が無いし、米食の文化がある訳も無いのだ。
「ですから、供えられる物も肉や魚が主になり、食べ方は焼くか煮るかで、味付けは塩です」
「「「あー……」」」
食卓の状況を想像して、俺とおりょうさんと頼華ちゃんの憐れむような声が揃ってしまった。
「私達は人ならぬ身なので平気なのですが、どうしても野菜や果物の不足で偏る栄養状況を補おうと、魚や肉を生で食べるという文化がありまして……」
「それも、カチカチに凍ってるようなのに、何も付けないか塩だけなんだよねぇ」
「「「うわぁ……」」」
日本でも魚は刺し身で、生産者と取扱業者が信用出来れば、馬刺しなどは食べる文化があるが、どちらも醤油などを使うからおいしいのだ。
栄養補給の為に食べなければ体調が損なわれるという状況でも無ければ、凍っている肉や魚を、何も付けなかったり塩だけで食べるのは相当にきついだろう。
「だから、緑色の野菜をこんなに手軽に食べられたり、果汁を幾らでも飲めるような良太様の祖国は、ヴァルハラよりも神の国に近いのでは無いかと思います!」
「そんな大袈裟な……」
現代の日本で生まれ育った俺には、ブリュンヒルドの言っている事は大袈裟に聞こえるのだが、キラキラと瞳を輝かせているのを見ると、どうやら本心からの言葉のようだ。




