ぴょん
「もう一回確認するけど、いいね?」
「はい! お願いします!」
頼華ちゃんに最後の念押しをしてから、取得したアカウントで動画を投稿した。
動画のタイトルは変に捻っても仕方がないので、そのまま『なりきり変身』にしておいた。
「果たして余の変身が、世間にどういう評価を下されるか……」
「頼華ちゃんの可愛らしさは、世間にも受け入れられるさね」
思っていた以上に評価を気にしているらしい頼華ちゃんを、おりょうさんが笑顔で宥める。
「だと良いのですが……」
「そこまで気になるんだ?」
変身ポーズを撮影している最中は、元のキャラクターと同じく笑顔を絶やさなかったのだが、今の頼華ちゃんの表情は、深刻な事態に向き合っている時のような、思い詰めた物になっている。
「当たり前ですよ兄上!」
「そ、そうなの?」
(なんで俺が責められるんだろうか……)
思わぬ頼華ちゃんの剣幕に、俺は少し気圧されてしまった。
「変身する正義の味方を見慣れた、こちらの世界の者共の評価が高ければ、向こうの世界でも十分以上に通用するではないですか!」
「そういう事なの!?」
どうやら頼華ちゃんは向こうの世界で、再び身分を隠したり偽ったりしての行動をせざるを得ない時には、変装や変身、名乗りやポーズをする気らしく、今回の動画のアップはその試金石のつもりのようだ。
「あの、頼華ちゃん? 変装とかはいいと思うんだけど、わざわざ自分から名乗らなくても……」
「何を仰っしゃいますか兄上! 偽りの姿を見せ、偽りの名を名乗っておけば、先ずはそちらを調べようとするではありませんか!」
「それは……そうなのかな?」
言われてみればだが、どう見ても頼華ちゃんなのに、申し訳程度でも変装をして高らかに偽名を名乗ったら、あからさまに怪しいそちらの方を先ず調べてしまう、というのはありそうだ。
それに悪事を働く為に変装などをしようと考えている訳では無いので、敢えて偽りの姿で目立つようにして、行動内容の方を目立たないようにするというのには有効かもしれない。
「これで評価が良ければ、余だけでは無く他の者共の変身も指導しようと思います!」
「ん? 他の者共って?」
プリティーな正義の味方を、頼華ちゃんが個人的に気に入って変装のモチーフにしようと考えているのかと思ったが、どうやら自分の事だけには留まらないらしい。
「兄上。今のきらきらなぷりてぃーは、四人いるのですよ?」
「あ……ま、まさか?」
なんとかく言いたい事がわかった気がしたのだが、自分の口からそれを出してしまうのが怖かったので、頼華ちゃんの言葉の続きを待った。
「そうです! 黒や白、そしてもう一人を含めて、四人の正義の味方です!」
「あー……やっぱり」
もしかしたらまだ増えるのかもしれないのだが、今シーズンのプリティーな正義の味方は四人であり、頼華ちゃんは自分以外に後三人、引っ張り込むつもりなのだ。
「黒と白は当然として、後は夕霧か天か……悩みますね」
「そうだね……」
(黒ちゃんはこういうのは面白がりそうかな? 白ちゃんと夕霧さんと天は、気の毒だなぁ……)
黒ちゃんは童顔だし、ポージングや名乗りなんかも面白がってくれそうだが、クールでアダルトな白ちゃんと、日本人離れしたダイナマイトボディの夕霧さん、金髪グラマーな容姿の天がプリティーな正義の味方の格好になったら……色んな意味で気の毒な感じになりそうである。
(しかし三人には悪いが、ここは俺達の安寧の為の犠牲になって貰おう……)
プリティーな正義の味方は少女の四人組なので、今のところは俺とおりょうさんにお声が掛かる事は無さそうだ。
ここで下手にやめさせる方向に持っていくと、ならプリティーな正義の味方では無く、戦隊物の方にしましょうとか、頼華ちゃんが言い出しかねない。
そうなるとポジション的に俺がレッドにされてしまいそうだし、おりょうさんもブルーとかの位置になっって、頼華ちゃんの変身する正義の味方の構想に組み込まれてしまうかもしれないので、ここはそっとしておくのが吉だろう。
「……」
「……」
おりょうさんにチラッと目配せをすると、俺の視線から何を伝えたいかを読み取ってくれたようで、硬い笑顔を浮かべながら小さく頷いた。
(せめてコスチュームとかは、良い物を作ってあげよう)
最終的にどういうメンバーに落ち着くのかはわからないが、コスチュームに関しては見た目も実用上も良い物を作ってあげようと心に誓った。
それで巻き込まれそうになるのを意図的に回避した、自分の罪が軽くなるとは思ってはいないが……。
「頼華ちゃん。アップしたばっかりだから、すぐに反応は出ないと思うよ。明日になってから確認すれば?」
ライブ配信とかならすぐに視聴数などがわかって評価も流れてくるのだが、投稿動画は暫く置いてからじゃなければ結果はわからない。
帰宅して入浴して撮影と編集をしたので、いつもならそろそろ寝る時間になってしまっている。
「むむ。結果が気になるところですが……果報は寝て待ちますか!」
「それがいいと思うねぇ」
「では寝ましょう! 兄上、今宵も御一緒には?」
おりょうさんの同意を得て、階下に下りていくのかと思っていた頼華ちゃんだが、足を止めて俺の方に期待の眼差しを向けてくる。
「帰ってきてから色々やってたから、明日の支度が出来てないんだよ。御免ね」
言い訳なのだが、一応は明日も学校に行くので、嘘はついていない。
「ぬぅ。それでは仕方がありません。では兄上、おやすみなさいませ」
「うん、おやすみ。良い夢を」
「はい! 兄上も!」
ピョンと飛び上がって俺の首に抱きついてきた頼華ちゃんは、軽く頬を擦りつけてから手を離し、笑顔を浮かべてから背中を向けた。
「おやすみ、良太」
おりょうさんも就寝の挨拶をしてきたのだが、その場に立ち止まったまま声を出さずに『あとでね』と、口パクで伝えてきた。
「はい。おりょうさんも、良い夢を」
「うん」
微笑みながら頷いたおりょうさんは、階段を下りていった。
(おりょうさんが来るまでには、時間があるよな?)
おりょうさんが来るという予告はあったのだが、具体的に何分後とかでは無く、頼華ちゃんが寝静まって暫くしてからという曖昧な状況なので、自分的なルーティーンであるネットゲームのログインボーナス取得をする事にした。
ここ最近は日によっては、おりょうさんと頼華ちゃんの相手をしている内にログインボーナスの取得も出来ない時間になったり、ログインしても全くプレイしないという状況なのだが、生活に充実感があるのでゲームのクエストやイベントの消化が出来なくても、焦燥感に駆られたりはしないでいる。
ただ、以前に比べるとログインが格段に不定期になっているので、もしかしたらゲーム内のフレンドには心配を掛けてまっているかもしれない。
「これでよし、っと。動画サイトも見に行ってみるかな」
ログインボーナスを取得して、ゲーム内のハウスの家賃を払い終えたので、ログアウトしてから動画サイトにアクセスしてみた。
「……うぉっ!? まだ一時間も経ってないのに、視聴数が大変な事に!?」
思わず大きな声が出そうになってしまったが、一時間弱で視聴数が五桁に届きそうになっていたので驚かされたのだ。
動画には『天使降臨!』『リアル魔法少女キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!』などの書き込みが相次いでいて、ちょっとした祭り状態になっている。
俺の糸の操作による頼華ちゃんの変身のタネがわからないので、『あの変身はどうやってるんだ?』『合成? CG?』などと書き込んでいる者もいる。
「……申し訳程度だったけど、顔を隠しておいて正解だったな」
加工に利用したマスクのパーツでは隠しきれていない、頼華ちゃんの美貌の全てをネットで晒していたら、もっと大変な騒ぎになっていたのでは無いかと思ってゾッとする。
撮影に使った六畳間では、余計な物が映らないように押入れの襖をバックにしたので、住所などを特定される心配は無いだろう。
コンコン……
画面に見入っていた俺の背後で、控えめなノックの音が聞こえた。
俺は座っていた椅子から立ち上がると、足音に気をつけてドアの前に向かった。
「……ま、待った?」
「待ち遠しかったです」
声を潜めて問い掛けてくるおりょうさんを、部屋の中に招き入れた。
薄手のニットを羽織ったおりょうさんの脚は、網タイツに包まれている。
「りょ、良太に見せる為に、着てきたよ……」
「……」
ゴクリ……
羽織っていたニットを脱ぎ去って床に落としたおりょうさんが、恥ずかしそうに頭にウサ耳をつけているのを見守っていると、無意識の固唾を飲み込んだ。
「えっと……写真、いいですか?」
あまりにも魅力的過ぎるおりょうさんの姿から目を離せない俺は、手探りでデスク上のスマートフォンを探した。
「う、うん……いい、ぴょん」
「……ぴょん?」
おりょうさんが、妙な喋り方をし始めた。
「えっ!? あ、あの、こういう格好の時には、語尾にぴょんをつけるって、ねっとで見たんだけど……違うの!? あたし間違った!?」
俺の反応を見て、おりょうさんが目に見えて狼狽えている。
「えーっと……間違ってはいないの、かな?」
どうやらおりょうさんも、現代文明に良くも悪くも順応しているようである。
「じゃ、じゃあ、撮って……ぴょん」
「……」
おりょうさんは語尾にぴょんをつけるだけでは無く、頭の両サイドに上げた手の仕草まで盛り込んで来たのだった。
(やばい。おりょうさんが俺を殺しに来てる……)
普段着の姿ですら魅力に溢れているおりょうさんなのに、コスチュームや仕草まで追加投入されて、俺の心臓は猛烈な勢いで鼓動している。
(平常心、平常心……)
「……よしっ! じゃあ、撮りますね」
「うん……」
心の中で必死に自己暗示を掛け、一度大きく深呼吸をした俺は、スマートフォンのカメラアプリを起動した。
(……綺麗だ)
スマートフォンの画面越しのおりょうさんは、和風美人にバニーガールのコスチュームというミスマッチなはずなのに、日常からは掛け離れたその姿が、更なる魅力を引き出しているように見えるのが不思議である。
俺は上下左右の様々な角度からおりょうさん姿を収めて、夢中でシャッターボタンを押し続ける。
「おりょうさん、次はベッドに腰掛けて貰ってもいいですか?」
「もう、何でも言ってぴょん」
「それじゃですね……」
苦笑するおりょうさんに俺は遠慮無く指示を出し、ベッドに腰掛けたまま足を組んだり、横座りになって貰ったりする。
「ふぅ……」
「もういいぴょん?」
調子に乗った俺は、最終的にはおりょうさんにベッドに寝そべって貰ったりもして、スマートフォンのかなりのメモリ容量とバッテリーを消費したところで撮影を止めた。
「はい。被写体がいいので、素人の俺でも凄くいい写真が撮れたと思います」
「っ! も、もう……あたしにも、ちょいと見せてぴょん?」
「はい」
俺はスマートフォンのアルバムを起ち上げて、画面をおりょうさんの方に向けた。
「良太。突っ立ってないで、こっちにお座りぴょん」
「あ、はい」
おりょうさんが自分の座っているベッドの横をポンポンと叩き、俺に座るように促したので素直に従った。
「……や、やだ。あたしって、こんな顔してたのかい?」
「え? 凄く綺麗で、色っぽいじゃないですか?」
ベッドに寝そべって、やや伏し目がちに俺の方に視線を送って来ている写真を見て、おりょうさんが頬を染めた。
自分自身の表情が余程意外だったのか、語尾にぴょんをつけていたおりょうさんの口調が元に戻っている。
「ほ、褒めてくれるのは嬉しいんだけど……良太、こいつは絶対に他の者にゃ、見せちゃならないよ?」
「勿論です。そんな勿体無い事は出来ません」
「……うん」
更に赤みを増した顔を見られたくないのか、おりょうさんは俺の胸元に顔を伏せた。
「……ねぇ、良太」
「なんですか?」
全部を起こしてはいないが、おりょうさんは顔を少し起こして、上目遣いに俺を見てきた。
「あたしが今してるみたいな格好の女の人が、酌をするような店があるってのは本当かい?」
「ある、みたいですね」
無論だが俺は行った事は無いが、そういう店が存在するのは知っている。
「一体誰が、こんな酔狂な衣装を考えたんだかねぇ」
「えーっと……確か雑誌の企画が最初だって聞いた事が。これですね」
スマートフォンで検索を掛けると、ウサギのマークで有名な外国の雑誌の企画で、現在の物と殆ど変わりの無いコスチュームで、ウェイトレスが接客する店があったというのがわかった。
「ははぁ……外国の娘さんには、こういうのが似合うんだねぇ」
「外国の女性全部に、って訳じゃ無いとは思いますけどね」
当たり前だが、検索にヒットした写真の殆どは、プロのモデルだったり接客を仕事にしている女性なので、外国人というカテゴリーで囲ってしまうのは少し乱暴だ。
「でもぉ。天さんとか、戦乙女の姉さん方には似合いそうじゃないかい?」
「……おりょうさんと頼華ちゃんが一番だと思ってる俺に、同意を求めるんですか?」
(……もしかして俺、試されてるのかな?)
天と戦乙女に、バニーガールのコスチュームが似合いそうというおりょうさんの意見には大いに頷きたいところではあるが、それをすると色々と角が立ちそうなので、すぐには返答をしない事にした。
「ご、御免ね! 別に変な意味じゃ無くって、なんて言うか、天さんや戦乙女の姉さん方は日本人と違って、見惚れるような身体つきをしてるじゃないか」
「あー……まあ、そうですね」
天は伝承から考えるなら大陸、それもヨーロッパ系では無くて東洋系のはずなのに、金髪碧眼に白い肌、胸の大きさに比べて全体的にはスリムであり、見た目の体型は白人っぽい。
ただ、中央アジア辺りは日本人にそっくりな民族から、ヨーロッパ系にしか見えない民族までもが混在しているので、もしかしたら天はそういう民族が住む北方か西方から来たのかもしれない。
ブリュンヒルドを始めとする戦乙女の方は、北国の住人である白い肌に青い瞳という特徴を持ち、肉体は鍛えられているが寒さに耐える為の皮下脂肪のお陰で、見た目には身体のラインは柔らかい。
戦乙女は戦場を駆け巡って、死せる勇士、アインヘリヤルになる者の魂を回収するのと、死者の館での身の回りの世話や給仕だと聞く。
そういう役割にも見た目の良さが求められるのか、それとも総元締めであるオーディンとフレイヤ様による選考基準でもあるのか、蜘蛛の里の風呂場に出現した戦乙女達は個人差は勿論あるが、リーダーのブリュンヒルドを筆頭に、腰高のモデル体型で美しい容姿の者ばかりで構成されている。
「でも、正直なところですけど、天さんや戦乙女の人達がバニーガールの格好をしても、ちょっと見た目に迫力があり過ぎなんですよね」
「あー……」
天や戦乙女には、自らの容姿に対する自負なのか、通常の佇まいからして堂々としているので、そういう人間が自分のプロポーションを誇示するような、バニーガールのコスチュームなどを身に着けるとなると、魅力を感じるのと同時に圧迫感を受けてしまいそうだ。
「ん? って事は、あたしにゃそういう迫力は無いって事かい?」
「おりょうさんの場合は、恥じらっている姿が可愛らしいので」
普段のおりょうさんは切れ長の目元が涼し気な和風美人で、天や戦乙女達とは違う凛とした雰囲気を持っているが、今は身体のラインが出るコスチュームの所為か表情には恥じらいが現れ、小さな女の子のように落ち着きが無い。
「まっ……」
俺の言葉に、驚きと恥ずかしさの入り混じった声を漏らすと、おりょうさんは口元に手を当てたまま黙り込んでしまった。
「……おりょうさん?」
(もしかして、怒らせちゃったのかな?)
黙ったまま俯いてしまったおりょうさんが気になって、俺は顔を覗き込むようにしながら声を掛けた。
「……良太」
「はい?」
俺の名を呼んできたおりょうさんが起こした顔はほんのりと朱に染まって、何故か口の端を歪ませて、にへらと笑っている。
「あんたが酒を飲むようになったら、この格好で酌をしてやるからねぇ」
「それは嬉しいな。でも、出来れば二人っきりの時にお願いします」
おりょうさんの申し出は非常に嬉しいのだが、バニーガール姿を他に人間に見せたくは無い。
「わかったよ。そいじゃ本番前に、ちっとだけ練習しとこうかねぇ」
「えっ!?」
笑顔のままのおりょうさんが立ち上がったかと思ったら、そのまま俺の膝の上に腰を下ろして、両腕首に回してきた。
「重くない?」
「全然ですよ。むしろ、もっとこの幸せな重みを感じたいくらいです」
「っ! も、もう……」
恥ずかしそうに俺の胸に顔を伏せてきたおりょうさんの柔らかな身体を、俺の方からも優しく抱き締めた。
甘く幸せな二人の時間は、どちらからともなく身体を離すまで続いた。
「兄上、姉上」
一夜が明けて、朝食の席で頼華ちゃんがポツリと呟いた。
「ん? どうしたの?」
「なんだい?」
食べる手を止めた俺とおりょうさんは、ほぼ同時に茶碗を置いた。
「昨晩は姉上にお譲りしましたから、今宵は余が兄上を独占しても構いませんよね?」
「「っ!?」」
(昨夜の事が……バレてる!?)
おりょうさんは頼華ちゃんが寝静まってから俺の部屋に来たはずなのだが、口振りからすると、どうやら行動は筒抜けだったらしい。
「あ、あのね、頼華ちゃん……」
「あ、あはは……」
多少は言い訳をしようとするのだが、俺もおりょうさんも上手い具合に言葉が出てこない。
「いいですね?」
「「はい……」」
頼華ちゃんが駆け引きの上手な女性がするような、人の悪さが混じった凄くいい笑顔できっぱりと言い切るので、俺もおりょうさんも観念してし返事をしてしまった。
「あ、それと姉上」
「は、はいっ!」
頼華ちゃんに呼び掛けられて、おりょうさんは反射的に背筋を伸ばして返事をしている。
「今日のおやつには、ほっとけーきが食べたいです。めーぷるしろっぷたっぷりで」
「は、はい……」
バニーガールの格好に羞恥心があっただけで、頼華ちゃんをのけものにしようという意図は無かったのだろうが、結果的には不公平な目に合わせたという負い目があるので、おりょうさんは要求には逆らわないようだ。
「兄上」
「はいっ!」
来るなという予感はあったが、頼華ちゃんの矛先は今度は俺に向かってきた。
「ぱすたが食べたいです、おいしいのが」
「……お任せでいいのかな?」
「はい!」
(今の時期だとイカがおいしいから……イカ墨のパスタでも作るか?)
黒い見た目は驚かれるかもしれないが、食材の内容的にも味的にも、イカ墨のパスタは日本人好みだと思うので、セレクトとしては悪くないだろう。
(後は、特大のティラミスでも作るか)
反省の意味も込めて、頼華ちゃんにはとびっきりおいしいパスタを始めとする料理や、デザートを作ってあげよう。




