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勇気を出して初めての……

「それではこちらが御注文の端末になります」

「はい」


 携帯電話会社の営業所のこの日の最初の客として、窓口でおりょうさんと頼華ちゃんが使う端末を受け取った。


 昨日の夜の内に端末の在庫を調べると共にネットでの決済をしておいたお蔭で、スムーズに受領する事が出来た。


「えっと……これでいいかな」


 営業所内の座れるスペースで新しい二機の端末に、使用車の名前と俺の端末の番号を手早く登録した。


「おりょうさん、これを渡しておきますので、何かあったらこう……電話帳からおりょうさんの名前か頼華ちゃんの名前に発信して下さい」


 新しい方では無く、俺が使っている方の端末の画面を見せながら、おりょうさんに説明した。


「なんで、新しい方じゃ無いんだい?」


 当然といえば当然の疑問を、おりょうさんが俺にぶつけてきた。


「通話以外の設定があるんですけど、それをやってから渡します。あと、このままだと充電も不十分なので」


 メールアドレスなどと共通のネット関連の設定などは面倒くさいので、俺の方で全て終えてから二人に渡す方がいいだろうという事で、一時的に預かる事にした。


 そして新しい端末だとバッテリーがフル充電はされていないので、俺は早速、持参したモバイルバッテリーを取り出して繋げた。


「設定とやらは良太に任せるけど……一緒に買物に行かないのかい?」

「最初は付き合いますけど、女性用の衣類の専門店とかは、ちょっと勘弁して下さい……」


 おりょうさんのカード決済の練習がてら、幾つかの店での買い物には付き合うつもりだが、女性用の衣類の専門店、特に下着関連のショップへの同行は勘弁願いたい。


「しかし、新しい衣類を買えるのは、それはそれで嬉しいのですが、蜘蛛の糸で作ってしまえばいいのではないですか?」


 支出に関して気を遣ってくれているのか、頼華ちゃんがそんな事を言い出した。


「あー……俺も少し考えたんだけど、こっちの世界の標準的な衣類には、向こうには無い部品(パーツ)があってね」

「部品、ですか?」

「そう。これとか、これとかだね」


 俺は着ているポロシャツのボタンと、履いているデニムのファスナーを示した。


「このボタンなんかは、着脱を容易にする以外に、これ自体がお洒落の要素を持ってたりするんだよね」

「あたし達三人の着ている物だけでも、ボタンってやつの種類は多いねぇ」


 自分の着ているブラウスとデニムのジャケットのボタンが、前合わせや袖口を留めるという用途は同じなのに、プラスチックと金属という素材や穴の位置や数が違うのに、おりょうさんは気がついたみたいだ。


「形だけ作って、後からこういうのを付けるのも出来なくは無いですけどね」

「成る程ねぇ」

「取り付けが面倒ですし、この部品だけを買いに行くという手間が発生するのですね」

「そういう事だね」


 俺の説明に、おりょうさんも頼華ちゃんも理解を示してくれた。


 材質が蜘蛛の糸で統一されてしまうという点を除けば、デザインがわかれば、ほぼ全ての衣類をコピー出来てしまうのだが、糸以外で構成されるパーツに関しては再現出来ないのだ。


「まあ、裁縫なんかを含む手芸用品の店なんかは、見て回るだけでも面白いですけどね」

「そんな店があるのかい?」

「ありますよ。電車に乗って隣の駅まで行けば、大きなのが」

「そいつはちっと、興味があるねぇ」


 衣類の材料に興味があるのか、おりょうさんは専門店の話題に食いついてきた。


「時間があったら行ってみましょうね。さて、次の店に移動しますよ」

「わかったよ」

「はい!」


 休憩スペースの椅子から立ち上がった俺達は、携帯電話会社の営業所を後にした。


「……電化製品の店って事だけど、色んな物を扱ってるんだねぇ」

「何やら医薬品という看板もありますけど」


 フロアごとに雑多な物を扱っている家電量販店の中を、おりょうさんと頼華ちゃんが興味深そうに見回している。


「ここですね」


 フロアの案内板を頼りに、二人をスーツケースを扱っている一角に連れてきた。


「ふぅん。引っ張ってこの車輪を転がして運ぶんだねぇ」


 スーツケースの伸縮式のハンドルとキャスターを、おりょうさんがしゃがみ込みながら見ている。


(バッグ)でもいいと思うんですけど、おりょうさんや頼華ちゃんみたいな、一見華奢な女の人が大きな荷物を運ぶのは、傍から見たら不自然なので……」

「まあ、そういうもんだろうねぇ」

「手で持って運んだ方が手っ取り早いですが、理解しました!」


 頼華ちゃんの場合は出会った時から、おりょうさんはここ最近の鍛錬で(エーテル)が鍛えられているので、付随して肉体的な能力も向上している。


 二人共、多少の重荷など物ともしないのだが、相当に無理をしているように見えるか、下手をすれば虐待していると思われるかもしれないので、少し値は張るがスーツケースは悪い買い物では無いだろう。


「じゃあ、あたしはこれで」

「余はこれを!」


 おりょうさんはワインレッド、頼華ちゃんはブラックの、共に高所から落としても壊れないCMのメーカーの物をセレクトした。


 さっと選んだところを見ると二人共、容量と色だけしか基準にしていないっぽい。


「それじゃおりょうさん。カードでの決済を」

「わ、わかったよ」


 スーツケースを両手に持った俺が言うと、おりょうさんは緊張の面持ちでキャッシャーに向かい、初めてのカード決済に望んだ。


「ありがとうございます。お支払いは現金で?」

「か、カードでお願いします」


 店員の女性に受け答えしながら、おりょうさんは金属のトレーにカードを置いた。


「はい。では暗証番号の入力をお願い致します」

「は、はい……」


 予め教えておいた暗証番号を、おりょうさんが緊張に少し震える手で打ち込んでいく。


「……はい、確認致しました。それではこちら、レシートになります。またのご利用をお待ちしております」

「ど、どうも」


 店員の女性の丁寧な対応に、ひと仕事終えたおりょうさんは、見た目にもホッとした表情をしている。


「お疲れ様です」

「買い物くらいで、緊張しちまったねぇ……」


 やはり気の所為では無かったようで、おりょうさんが溜め息混じりに本音を漏らした。


「買い物の本番はこれからですよ。でも、もう慣れましたよね?」

「そうだねぇ……」


(まだまだかな?)


 俺の言葉に返事はしたが、カードでの買い物は、まだ暫くはおりょうさんに緊張を強いるようだ。


「それじゃ次に行きましょうか」

「わかったよ」

「行きましょう!」


 スーツケースを引っ張りながら、俺は二人を有名テニスプレーヤーのスポンサードもしている、衣類の量販店へと案内する。



「っと、その前に。ここで財布を買いましょうか」


 衣類の量販店に行く手前にある、無印だが良い品を扱っている店の前で足を止めた。


「ここの財布は、そんなにいい物なのかい?」

「そう言われると……でも、悪い物では無いので、どこかでお気に入りを見つけるまで使うにはと思いまして」


 実際、このショップの商品のデザインは比較的地味で、物によっては価格も安くないのだが、品質的には信頼が出来るのだった。


「財布を買ったら、現金も渡しておきますから」

「まあ確かに、財布は要ると思ってたから……そいじゃ、あたしはこれを」

「余も姉上と同じ物にします!」


 おりょうさんと頼華ちゃんは揃って、ピンク色の革製の二つ折りの財布を指差した。 


 シンプルなデザインだが、確かに使い勝手が良さそうだ。


「ありがとうございました」

「ど、どうも……」


 会計を済ます際に、まだ少し緊張気味ではあるが、おりょうさんも二度目となるとカードでのやり取りに慣れてきたように見える。


「それじゃあ、現金を渡しておきますね」


 店を出たところで、買ったばかりの財布から値札を外したり、中に挟んであった緩衝材を取り除いたりしてから、さっき引き出した現金の内、八万円をおりょうさんに渡して、頼華ちゃんには一万円を渡した。


「こんなにいいのですか!?」

「こんなにって事も無いと思うけど……」


(年齢を考えると、多いのかな?)


 数えで十一歳の頼華ちゃんには、一万円という金額は持たせるには多く感じるが、あっちの世界の江戸で鰻屋の大前を手伝っていた時には、ちゃんと給金を貰っていたので、それ程極端に大きな金額には思えない。


 ただ、頼華ちゃんは源氏のお姫様だし、旅に出てからの買い物に関しては、いつも誰かが一緒だったので、金銭感覚が一般的かと言うと相当に怪しい。


「えっと、衣類とか店での飲食は、おりょうさんのカードで支払えばいいので、そのお金は頼華ちゃんの個人的な買い物に使っていいからね」

 

 わかっているかもとは思うが、念の為に説明しておいた。


「はい!」

「でも、だからといって、お菓子とかばっかり買っちゃ駄目だよ?」

「うっ……」


(買うつもりだったか……)


 俺が忠告すると、頼華ちゃんが息を詰まらせた。


(まあ、仕方が無いけど)


 ショッピングモールに入って、携帯電話の営業所から、今いる無印だが良い品を扱ってるお店に至るまでに、食料品売場やフードコートなどの脇を通過したので、頼華ちゃんが心を奪われてしまったのも無理はない。


「明日行く場所の近くでも、お菓子とかを売ってる店はいっぱいあるから、家の近くでそんなに急いで買わない方がいいよ。ここにはまた来られるんだからね」


 一期一会という考え方は、それはそれで悪くないのだが、目についたものを全て買うという訳にはいかないので、この辺は釘を差しておかないと、後々、頼華ちゃん自身が泣きを見てしまうかもしれないのだ。


「わ、わかりました……そうですね。ここなら歩いても来られるのですし!」

「そうそう。頼華ちゃんは聞き分けがいいね」

「えへへぇ♪」


 言う事を素直に聞き入れてくれたので褒めると、頼華ちゃんは猫みたいに目を細めて喜んでいる。


「それじゃ、次の店に行きましょうか。と言っても、すぐそこなんですけどね」 


 言葉通りに、無印だが良い品を扱っている店を出て数歩進むと、目的の衣料品の量販店の入口になった。


「はぁぁ……凄い数だねぇ」

「同じ種類の物がこんなに!?」


 量販店の入り口に着くと、様々なディスプレイや、棚にサイズごとに大量に積まれている衣類を見て、おりょうさんと頼華ちゃんが呆然としている。


「ここは安くて縫製がしっかりしてるから、普段使いの衣類を選ぶにはいいですよ」


 俺もメンズの衣類でお世話になっているが、通学で使う靴下なんかは耐久性が高くて価格が安いので重宝している。


「頼華ちゃんはサイズ的にキッズかな?」


 主に身長の問題で、頼華ちゃんにはまだレディスの衣類はサイズが合いそうに無い。


「おお! 動き易そうなのから可愛らしいのまで、目移りする程ありあますね!」

「そうだね」


 パンツルックから大きなリボンの付いたワンピースまで、カラフルさには少し欠けるが、種類はそれなりにある。 


「大人の女性用も結構あるけど、比較的地味目かねぇ」

「価格帯的に、ある程度は仕方が無いんでしょうね」


 キッズと同じくレディスも、種類は多いのだがお洒落着と言える程華やかな物は少ないのだが、これは通常ならデザインに使う分の費用が、販売価格に跳ね返って安くなっているのだろう。


「……俺は邪魔になってますね」


 ショッピングモール全体の開店時間から少し経っているので、徐々に客足も増えつつある。


 量販店内は余裕のある設計になっているが、スーツケースを二つ引っ張っている人間は、明らかに他の客の歩行や品定めの邪魔になってしまっている。


「そうだねぇ……」

「俺は店を出たところで待機してますから、終わったら来て下さい」


 正直、女の子用だがキッズはともかく、レディスのコーナーにいるのは気が引けていたので、おりょうさんに現状を肯定されたので、これ幸いと退避を申し出た。


「そいじゃ、なるべく早く買い物を済ませるから、ちっと待ってて貰おうかねぇ」

「では、余も手早く済ませてきます!」

「あ、いや、そんなに急がなくても……待ってますね」


 気にしないで欲しかったのだが、おりょうさんも頼華ちゃんも、さっさと商品を手に取ったりしながら選び始めたので、背中に向けて声を掛けた俺は、スーツケースを引っ張って店外へと出ていった。



「お待たせぇ」

「お待たせしました!」


 メールアドレスや電話番号の登録、着信の設定などを終えたくらいのタイミングで、おりょうさんと頼華ちゃんが戻ってきた。


 お待たせと言われてしまったが、実際にはそれ程待ってもいなかった。


「早かったですね。もういいんですか?」

「うん。結構買っちまったよ」

「余もです!」


 おりょうさんも頼華ちゃんも、メーカーのロゴの入った袋を掲げて見せてくれた。


「それじゃ早速、こいつの出番ですね」


 他の利用客の邪魔にならないようにしながらスーツケースを開くと、それぞれの荷物を詰め込んだ。


「それじゃ、ここで一旦俺とは別れましょうか」

「「えっ!?」」

「いや、俺は女性の服とかの専門店に行くのは……」


 二人が今まで買い物をしていた量販店は、メンズとレディスで壁の仕切りなどが無いので、店内まで一緒に入るのは抵抗が無かったが、下着は論外としても女性用の服の店なんかでも、お供をするのは勘弁願いたい。


(一緒に行って、アドバイスなんか求められても困るしなぁ……)


 自分にセンスがあるとも思っていないのだが、それよりもおりょうさんと頼華ちゃんは何を着ても似合ってしまいそうなので、気の利いた褒め言葉とかが言えそうに無いのがネックなのだ。


(試着して出てきても、似合う以外に言えない男じゃ、見せ甲斐も無いだろうしなぁ……)


 そう考えると、おりょうさんと頼華ちゃんの二人での買い物の方が、幸せになれるだろうと思えるのだった。


「あたしは一緒の方がいいけど、良太が嫌なんじゃ仕方が無いねぇ」

「嫌って程じゃ無いんですけどね」

「では、姉上と行って参りますね!」


 俺の表情の変化とかを感じ取ってくれたのか、おりょうさんも頼華ちゃんも無理強いはしてこなかった。


「それじゃあ……十三時くらいにここに集合にしましょうか」


 既に時刻が十一時に近いし、昼時の混雑を外して飲食店を利用しようと考えて提案した。


 集合場所に関しては、現時点で二人が知っている場所が少ないので、必然的にこの場所という事になった。


「わかったよ」

「わかりました!」

「それじゃ、こっちはおりょうさん、こっちは頼華ちゃんのです。もしもはぐれちゃったりしたら、これで連絡を」


 それぞれの専用に設定したスマートフォンを渡して、俺の端末を返却して貰った。


 おりょうさんに渡したスマートフォンしか充電が済んでいないが、緊急の連絡程度に使うだけなら問題が無いだろう。


「じゃあ、また後で」

「うん。また後で」

「行って参ります!」


 軽く手を振りながら、ファッション関連の店の多い上階に向かう二人と別れた。


「さて、俺も行くか」


 スーツケースが少々邪魔だが、重さ自体は苦にならないので、周囲の迷惑にならないように気をつけながら、目当てのショップに向けて歩き始めた。



(うーん……何冊か買い込んだ方がいいかなぁ)


 おりょうさんと頼華ちゃんと別れて、取って返した家電量販店と、食料品店で幾つか買い物を済ませてから、同じフロアにある書店の専門書のコーナーで俺は思案していた。


(……いや、ネットで調べるだけ調べてからだな。買う本自体も調べてからの方がいいだろうし)


 里で行う予定の鍛冶作業に関連する物や、動物の皮の鞣し方、勘や記憶を頼りに作ってきた料理など、調べたい事が山程あるのだが、ジャンルによっては本も相当に高いので、買うにしても少し吟味する必要があるだろう。


 天照坐皇大御神(あまてらしますすめおおみかみ)様の御厚意で頂けた金額は決して少なくは無いが、こちらでの飲食と、必ず買って帰ろうかと思っている砂糖以外にも、欲しい品物があるからだ。


 レジに持っていこうとしていた、最近の妙な流行で数が多くなった刀剣関連の本を棚に戻した。


(おっと! 忘れるところだったな)


 買い物を済ませたので、すっかり全てを終えたと思っていたのだが、一つ重要な案件があったのを思い出して、俺は書店を出て二つ上のフロアに繋がるエスカレーターを目指した。



「お待たせぇ!」

「お待たせしました!」


 待ち合わせの場所に、様々なメーカーやショップのロゴの入った紙袋やビニール袋を、両手いっぱいに提げたおりょうさんと頼華ちゃんがやって来た。


 別れた時のままの服装なので、買ったばかりの衣類に着替えてはこなかったようだ。


「いえ。俺もいま来たばっかりですけど……それにしても随分と買い込みましたね」

「あはは。結構控えたつもりなんだけど……でも、季節的に冬用の上着なんかは買ってないから、これでも少ない方なんだけどねぇ」

「まあ、そうですか」


 おりょうさんの言う通り、春先の今の時期なら、上着を買うにしてもそれ程は厚くも長くも無くていいので、冬場に比べれば必要な物も嵩も少ないのだろう。


「それと、店ごとに袋が増えちまっただけだから、見かけ程には中身も多く無いし、重くも無いんだよ」

「そうかもしれませんけど、容れ物があるんですから、纏めちゃいましょうね」


 そう言って、先ずはおりょうさんの持っている分からスーツケースに入れる事にした。


「ん? 良太もなんか買ってきたのかい?」


 開いたスーツケースの中に、先に量販店で買った衣類の袋以外の物が入っているのに、おりょうさんが気がついた。


「まあ、少し……一緒に入れちゃましたけど、構いませんでしたか?」


 俺が買った物も、重量はともかく嵩張る物が多いので、服を傷めたりしないように気をつけて、スーツケースに同梱しておいたのだ。


「別に、良太の楽なようにしてくれていいよ」

「そうですか」


 一見すると嵩張っていたが、スーツケース自体が大きいのもあって、先に入れてあった物と合わせても、おりょうさんの買い物の袋は全て収まった。


「余も、結構買ってしまいました」

「頼華ちゃんも女の子だから、お召し替えはいっぱいいるよね」


 照れ臭そうに、大量の買い物袋をスーツケースに詰め込んでいる頼華ちゃんだが、一ヶ月という期間用としても、女の子ならば決して多い方でも無いだろう。


 頼華ちゃんの買い物分は、かなり余裕を持ってスーツケースに収める事が出来た。


「さて、こいつは一旦預ける事にして、その後で食事に行きましょうか」


 ショッピングモール内にも、隣接するJRの駅に行く途中にもコインロッカーがあるので、持って歩くには邪魔なスーツケースは、一時的に預けてしまった方が身軽に動ける。


「ところで、何か食べたい物はありますか?」


 ショッピングモール内にも駅周辺にも、食べ物屋は数多く存在するので、敢えて家を出る前にどこにしようとは決めてこなかった。


「それなら、行きたい店があるんだけどねぇ」

「そうなんですか?」


 意外な事にというと失礼かもしれないが、頼華ちゃんでは無くおりょうさんから昼食の要望が来た。

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