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初鰹

「な、なんと!? これが全部菓子だというのですか!?」

「頼華ちゃん、落ち着いて……」


 買った靴に履き替えてから一階フロアに降りて、必要そうな物を買って食料品の置いてある一角へ出ると、カラフルなパッケージのお菓子を見て頼華ちゃんが瞳を輝かせた。


「安いから、そうだな……三つまでなら買って帰ってもいいよ」

「いいのですか!? では!」


 俺が許可すると、ワゴンに積まれた物や棚に並んだ物を、頼華ちゃんは近くで物色し始めた。


「良太、いいのかい?」

「まあ少しだけなら。これだけあって何も無しっていうのは、可哀相じゃないですか」

「そうだねぇ」


 頼華ちゃんの場合には、パッケージの見た目と中身が一致しないだろうから、純粋に選ぶのを楽しんでいるだけだ。


 だからもしかしたら、口に合わないハズレを引くかもしれないのだが、そこも含めて楽しいだろう。


「む! りょ、良太。もしかしてあっちに並んでるのは酒かい!?」

「ああ、そうですね。ですがおりょうさん、言い忘れてましたけど、こっちでは酒は禁止です」

「ど、どうしてなんだい!?」


(興味はあるだろうと思ってたけど……おりょうさんには気の毒でも、こればっかりはなぁ)


 あっちの世界では元服の十五歳から飲酒に関しては問題が無いのだが、こっちの世界では二十歳からだ。


 購入に関しては比較的ハードルが低いのだが、着飾ればアダルトな印象になるおりょうさんではあっても、おおっぴらに飲酒をさせるのはリスクが高過ぎる。


「持ち帰る物の中に酒を入れて、あっちで飲むしか無いですね」

「そ、そんなぁ……」


 頼華ちゃんとは対象的に、おりょうさんはしょんぼりしてしまった。


「まあまあ……家で紅茶っていうお茶とか、焙煎した豆を挽いた物から抽出したコーヒーなんかに、香り付けに入れたりする程度なら、少しくらいは」

「はぁ……こっちの決まりなんじゃ、仕方が無いねぇ」


 盛大に溜め息をつきながらも、おりょうさんは納得してくれた。


「兄上! ではこれを三つ、お願いします!」

「……」


(……やるな、頼華ちゃん)


 頼華ちゃんは俺の言った通りにお菓子を三つ持ってきたのだが、それは大きな袋の中に複数種類の入っている、アソートと呼ばれる物だった。


「……一度に全部食べちゃ、駄目だよ?」

「うっ! わ、わかりました!」


(先手を打って正解だったな)


 言っておかなければ、食前食後くらいに全部食べてしまいそうな気がしたが、予想は的中だったようだ。


「頼華ちゃん。食べちゃ駄目とは言わないけど、色んな物を少しずつにしておこうね。向こうには無い物が一杯あるから」

「うぅ……わかりました」


 持ってきたアソートの袋を受け取って、俺が買い物かごに入れるのを見届けると、頼華ちゃんは渋々ながらも頷いた。


「明日からは色んな所に連れて行ってあげるから。勿論、色んな物を食べようね」

「はい!」


 頼華ちゃんに笑顔が戻ったので、会計の列に並んだ。



「御飯は炊けてるな……それじゃ、手早く作っちゃいましょう」

「任せっ放しで飯が炊けるなんて、便利なもんだねぇ」


 出掛ける前にセットして、勝手に炊きあがっている炊飯器を見て、おりょうさんが目を丸くしている。


「最近は大分性能が上がったので、直火炊きに近くなりましたね」


 制御や内釜の工夫で、電気炊飯器でも直火に近い熱の加減が出来るようになったので、味も釜炊きに負けないくらいになっている。


「良太、手伝うよ」

「余も、お手伝いします!」


 激安の殿堂を出て、自宅の階下のスーパーで食材を買って帰ったので、おりょうさんと頼華ちゃんに手伝って貰っての夕食の支度を開始した。



「へぇ……このスライサーってのは便利だねぇ」


 玉ねぎの薄切りを量産しながら、おりょうさんが面白そうにスライサーを見ている。


「そうですね。便利だから向こうでも作ろうかと思ったんですけど……」

「なんかあるのかい?」


 俺が苦笑しているのを見て、おりょうさんがどういう事なのかと訊いてきた。


「基本の前にそれに慣れちゃうと、包丁の使い方を覚えないかなって」

「そうかもしれないねぇ……」


 スライサーや野菜の皮を剥くピーラーなどは、刃の角度調整は難しそうだが再現自体は難しく無さそうなので、子供達の安全面と料理に触れ易くする為に作ろうかと思った事もあった。


 しかし、基本的な包丁の使い方を覚える前に便利な道具に頼ってしまうと上達が望めないかと思って、今のところは作るのを保留にしている。


「兄上! この不思議なおろし金も便利ですね!」

「ああ。それは百均で売ってるやつなんだけど、便利だよね」

「なんと! これが百円とは凄いですね!」


 複数の突起で素材を擦り下ろしてそのまま受け皿になるキッチン用品で、ニンニクと生姜を擦り下ろしながら頼華ちゃんが便利さと値段に驚いている。


「明日は、そういうのを売ってるお店にも行ってみようね。それじゃお待ちかねの夕食にしようか」

「はい!」


 準備が整ったので、料理や食器や鍋をリビングに運ぶ。



「頂きます」

「「頂きます」」


 俺の号令で夕食を開始した。


「ん、おいしい。そういえば初鰹だねぇ」


 鰹の刺身に生姜醤油を付けてを口に運んで、おりょうさんが目を細めている。


「こっちのタタキも、おいしいです! 鰹もですが、ポン酢の染みた玉ねぎも!」


 金串が無いのでフォークを三本扇状に刺し、直火で炙ってから氷水で冷やし、やや厚めに切って皿に並べてから、スライスした玉ねぎ、細かく刻んだ青ネギ、擦り下ろしニンニクを載せて、ポン酢で和えた鰹のタタキを笑顔で口に運んだ頼華ちゃんは、すかさず御飯を頬張る。


 スーパーでたまたま目についた、サクにしてある鰹を買ってきて、腹側をタタキに、背側を刺し身にしたのだが、二人の嬉しそうな様子を見ると、どうやらあっちの世界でも初物はありがたいようだ。


「この菜の花の辛子和えは旨いけど、ちっと辛子の効きが良くないねぇ」


 さっと茹でて絞り、辛子和えにした菜の花を食べて、おりょうさんが少し不思議そうな顔をしている。


「そうですね。良く言えば程々で、悪く言えば物足りない。このチューブ入りは便利なんですけど、どれもそんな感じなんですよね」


 細長いチューブに入った練り辛子を、おりょうさんに見せながら呟いた。


 さっきのスライサーと同じく、手間よりも便利を取ってしまったので贅沢は言えないのだが、たまに店で食べるおでんについてくる辛子は、油断すると鼻を殴られたように錯覚するくらいに効くし、鮫皮で下ろされた山葵(わさび)は、本当に鮮烈な香りが鼻に抜ける。


「こういう食品は他にも色々とあるので、逆に楽しんで貰えればと。あんまり口に合わないようでしたら、なんとかしますけど」


 辛子は湯を入れて掻き混ぜるタイプの物が売っているし、山葵(わさび)も安くは無いが、一本買えば相当に使える。


「この味噌汁は、出汁の香りも味噌の味にも馴染みがありませんが、これはこれでおいしいですね!」


 少し違和感があったみたいだが、わかめを具にした我が家のみそ汁の味は、頼華ちゃんに受け入れられたようだ。


「出汁は出来合いなんだよね。味噌は母方の田舎で手作りされている物らしいけど」


 使われている麦と大豆と麹の配合による物なのだと思うが、定期的に母方の田舎から送られてくる赤いというよりは煉瓦色の味噌は、頼華ちゃんの感想通りに少し独特な風味がする。


(やっぱわかるんだな。でも、出汁の問題かもな……)


 向こうの世界では、ほぼ毎朝鰹節を削って味噌汁や吸い物の出汁を取っていたのだが、最近のインスタントの出汁の素は、ちょっと馬鹿に出来ないくらいに風味がいいので、今日のように手早く作る場合などには重宝するのだ。


(こっちの滞在中くらいは、ちゃんと出汁を取るかな)


 自宅に鰹節の削り器は無いが、削ってある袋入の物を使うだけでも大分違うので、明日以降の買い物リストに加えておこう。



「この食洗機ってのは、便利だねぇ」


 シンクの脇に鎮座している食洗機の作動する様を見ながら、おりょうさんが関心半分、呆れ半分といった感想を漏らした。


「働きながら家事をする母親がこれだけはって、父親と話し合って買ったみたいです」


 俺もそうだが母親も、洗い物が残っていると落ち着かない性分なので、片付けと食器洗いが終わるまでは食後の時間が始まらないのだ。


 その辺で楽が出来る食洗機は非常に有り難いのだが、両親が出掛けているので、ここ一週間程は手洗いをしていた。


「あたしも家事は嫌いじゃないけど、確かに洗い物は面倒だからねぇ」


 あっちの世界では洗い物をする為に、井戸からの水汲みだけでも面倒なので、母親とおりょうさんの言う面倒は大分違うと思うのだが、煩わしいという点では一致しているのだろう。


「それじゃ、食後のお茶にしましょうね」

「いいねぇ。何か手伝うかい?」

「そうですね。じゃあこれを……」


 お茶受けにと買っておいた物を冷蔵庫から取り出して、おりょうさんに手渡した。



「どうぞ」

「ありがとう。こいつはいい香りだねぇ……ブルムの旦那から貰ったっていうお茶に近い感じがするけど、渋味が無いんだねぇ」


 母親がお茶好きだと知っている知り合いがくれた、中国の紅茶を一口味わって、色も風味も濃い目なのに渋味が無いので、おりょうさんが驚いている。


「俺も詳しくは知らないんですが、紅茶は大きく分けると二種類に分かれるらしくって、これはアッサムっていう種類の茶葉を使用しているので、まろやかで渋味が少ないみたいです」


(でもアッサム種にしたって、このお茶は渋味が少ないっていうか、殆ど無いんだよな)


 以前に飲んだインド産などのアッサムの葉は少し渋味を感じたのだが、この中国の紅茶はどういう訳か、葉を多めにい入れても蒸らし時間を長く取っても、香りは増しても渋くならないのだ。


「ふぅん……向こうで飲んだのには、渋くて砂糖や牛の乳を入れたら丁度良かったけど、こいつならそのままでもおいしく感じるねぇ」

「姉上の仰る通りです! でも、余は砂糖と牛の乳が欲しいです!」

「それじゃ、おりょうさんにはこれを。頼華ちゃんは砂糖と牛乳を入れる前に、こっちをどうぞ」


 テレビと並んで壁面沿いに置いてあるサイドボードから取り出してあった父親のブランデーの瓶から、中身をおりょうさんのカップにスプーン一杯垂らした。


 頼華ちゃんにはスーパーで買ってきた、プラスチック容器入りのメロン、パイナップルなどのカットフルーツと、小皿とフォークを示した。


「ああ、なんて深く芳醇な香り……お茶の香りと調和して、旨いもんだねぇ」


 恐らくだが初めて味わうのだろう蒸留酒の風味に、おりょうさんがうっとりしながら呟く。


「おお! こちらはスイカに似た風味ですが、柔らかな甘味で……むぅ! こちらはなんとも鮮烈な甘酸っぱさ! そして食べた後でこのお茶を飲むと……ぷっはーっ! なんとも爽やかな!」


 向こうの世界の日本では一般的ではないフルーツの、菓子とは違う甘さと酸っぱさを味わってから紅茶を飲んで、頼華ちゃんは実に満足そうだ。


「兄上! こっちの世界ではこういう果物が、いつでも食べられるのですか!?」

「種類にもよるけど、そうだね」

「はぁー……凄いものですねぇ」


 頼華ちゃんは感心しながら、新たにフォークで刺したフルーツを口に運んだ。


「お茶のお代わりを淹れましょうね」


 おりょうさんも頼華ちゃんも口に合ったようで、ハイペースで紅茶を口に運んだからすぐにカップが空になった。


 一度キッチンに行ってティーポットの出涸らしを捨ててから、新たな茶葉を入れてリビングに戻った。


「……ああっと。おりょうさん、間違ってお茶の前に香り付けを入れちゃったから、飲んじゃって下さい」

「えっ!? あ……」


 順番を間違うなんて、そんな訳は無いのだが、カップの中に香り付けのブランデーだけが入っているのを見てから、俺の意図を悟ったおりょうさんは、微かに頬を染めながら花が咲くように微笑んだ。


「ん……はぁぁ……濃厚だけど、喉から鼻まで豊かな味わいと香りが……良太、大好き」

「っと。おりょうさん、危ないですよ」


 ローソファーの右側に座っていたおりょうさんが、俺に身体を預けてピタッと寄り添ってきた。


 カップに紅茶を注いでいる最中だったから少しだけ危なかったので、おりょうさんに心にも無い注意をした。


「ん。ごめんねぇ」


 俺に謝りながらも、おりょうさんは身体を離そうとはしなかった。


(う……艶っぽいなぁ)


 お茶とブランデーで体温が上がったのか、おりょうさんからはなんとも言えない色気が醸し出されるのと同時に、甘い芳香が感じられる。


「む! とうっ!」

「ぐぅっ!? ら、頼華ちゃん、張り合わなくてもいいからね?」

「駄目ですか?」

「駄目じゃないけど……」


 おりょうさんの様子を見て、頼華ちゃんは負けじと俺の膝の上に腰を下ろしてきた。


「では、余にもお茶のお代わりをお願いします!」

「はいはい……」


 特に反省をしている様子も無く、頼華ちゃんは俺の膝の上で、いつの間にか引っ張り出した菓子のアソートを開けている。


「おお! カレー味と書いてあったので買って貰いましたが、本当にカレー味ですね!」

「そりゃまあね」


 頼華ちゃんがセレクトしたアソートの一つは、様々なフレーバーのうまいスナックの棒が 入っている物だった。


「食後だから、三つくらいにしておくんだよ?」

「はい! では次は、納豆味を……」


(やれやれ……)


 買い物の時にアメリカンドッグを食べて、夕食も大人の一人前くらいは軽々と平らげて、デザートのフルーツの後でスナック菓子までお腹に入れている頼華ちゃんには苦笑するしか無い。


「えっと、明日以降の予定なんですけど」


 頼華ちゃんの身体越しになんとかお茶を淹れ終わったので、予定していた話を二人に切り出した。


「先ずは二人にスマートフォンを買いましょうね」

「持ってた方がいいんだろうけど、高いんじゃないのかい?」


 俺に身体を預けて腕を絡めたまま顔を上げて、おりょうさんが訊いてきた。


「安くは無いんですけど、いざって時の連絡を考えますとね」


 明日からの土日の二日間は俺が一緒にいられるが、学校のある日のもしもを考えると、持っていて貰った方が精神衛生上有り難い。


「メーカーと機種が限られちゃいますけど、一ヶ月ですからプリペイドにしようと思います」


 プリペイドのSIMカードを買って、端末を別に選んで購入するという手もあるのだが、おりょうさんと頼華ちゃんに特に拘りがあるとは思えないので、手続きが簡単で一度に済んでしまう方式を選んだ。


(本音を言えば、俺とお揃いの機種にって思うんだけど……)


 液晶の表示の綺麗さや操作の応答性の高さなどが気に入って、リンゴのマークの端末を愛用しているのだが、古い機種でもあまり値崩れをしていないので今回は候補から除外した。


 一ヶ月しか使わないスマートフォンに高い金をかけるくらいならば、その分で二人に色々な物を食べて貰ったり、買い物に使って貰った方が有意義だろう。


「その辺は、良太に任せるよ」

「自分の専用ですか。嬉しいですね!」

「後は着替えなんかの衣類と、両親が帰ってくるまでは家に滞在すればいいですけど、その後の事を考えると……スーツケースなんかも必要かな?」


 こっちの世界に来てから、ドラウプニールがそのまま手首に嵌っているのを確認したので、少しくらいは買い過ぎても心配は無いのだが、向こうの世界に戻ってから使えなくなる物も多いと思うので、そういう物を一纏めに出来るスーツケースがあった方がいいだろう。


 両親が帰ってきてから一週間弱は、おりょうさんと頼華ちゃんはホテル等に宿泊する形にもなるので、その際に手ぶらというのも不自然だから、カモフラージュの意味でも買っておいていいだろう。


「兄上! こっちの世界ではどういう服装が流行っているのですか!?」

「それはあたしも気になるねぇ」

「うーん……俺はそういうのに疎いんですよね」


 全くファッションに無頓着という訳でも無いのだが、それ程は拘りも無いので、特に流行とかは気にしていないというのが本当のところだ。


 その上で女性用のファッションとなると、完全にお手上げ状態である。


「寝る前に、少し下調べしましょうか」

「そうだねぇ」

「そうしましょう!」


 頼華ちゃんがお菓子を食べ終わり、全員がお茶を飲み干したところで、リビングから俺の部屋に場所を移した。



「りょ、良太っ。良太もこういう、短いスカートをが好きなのかい!?」

「兄上が御所望なのなら……」

「いやいやいや。動き易いのはいいと思いますけど、極端に短いのは……」


 女性のファッション、特にギャル系と呼ばれるジャンルの物に頼華ちゃんが興味を示したので、そういうサイトを中心にネットで調べていたのだが、その中にやたらと丈の短い、デニムやフリルが多めのスカートが出てきたので、二人して俺に感想を求めてきたのだ。


「こっちの世界では、女性が脚を見せるのにはそれ程抵抗は無くなってるんですけど、それでも下着を積極的に見せようって事は無いので……」

「そ、そうかい……」


 郷に入っては郷に従おうとしていたのか、俺の言葉を聞いておりょうさんが目に見えて安堵している。


「兄上がお望みならと思ったのですが……」

「俺がお望みって……何にせよ、おりょうさんと頼華ちゃんの下着姿を、他の男に見せたくは無いよ」

「っ! そ、そうかい?」

「っ! そ、そうですか!」


 独占欲が強過ぎると思われるかもと考えたが、おりょうさんも頼華ちゃんも俺の言葉を聞いて、嬉しそうな笑顔になってくれた。


「おりょうさんにはこういうジャケットっとブラウスと、膝丈くらいのタイトスカートなんか似合うんじゃないかと……後は細身のパンツとか」


 向こうの世界にいる時から、こういうのが似合いそうだなと思っていたファッションを、おりょうさんに提案した。


「ふむ……色々と上下で組み合わせも出来そうだし、悪くないねぇ。さすがは良太。あたしの事をわかってるねぇ」

「ありがとうございます」


 どうやら合格点を頂けたようで、おりょうさんに頭をポンポンされた。


「頼華ちゃんは、Tシャツにデニムの上下とか似合いそうだね。下はショートパンツでもスカートでも。それに帽子なんか合わせても良さそうだな」

「帽子ですか!?」

「うん。こんなの」


 キャップやキャスケットをサーチしサイトを開くと、頼華ちゃんが興味を惹かれたのか瞳を輝かせた。


「おお! なんとも色とりどりで、形も種類も豊富ですね!」

「へぇ。いっぱい種類があるんだねぇ」


 おりょうさんも帽子に興味を持ったようで、ディスプレイ代わりのテレビの画面に見入っている。

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