語る前に
ここに話すのは僕の今まで体験した様々な物語だ。都合上不思議な国々を回って数週間程度滞在し、またどこか他の国へと渡り歩く。そんな生活の中で遭遇した物語を粛々と綴りたいと思う。
手始めに簡単な自己紹介をしておこう。僕の名前は都右京。そう、あの相棒の杉下右京と同じ名前だ。年齢は───ここでは伏せておくことにしよう。きっと驚かれるからね。まぁ、強いて言うならば君たちの誰よりも年上だ、というのが適切だろう。趣味はなんにもない道をただ周りを見ながら歩くこと、散歩だね。散歩といっても花々が美しく咲いているところを歩くのは僕にとっては散歩じゃない。その話は追々、ね。そんな感じであてのない旅とかが好きなのさ。不思議な国にいるときは決まっていつも同じ服を持って行って来ているんだ。真っ白なTシャツと真っ黒なズボン。時期によるかもしれないけれど必ずそれを着ているんだ。一種のポリシーみたいなものかな。
さて、自己紹介はこんなものでいいかな。そろそろこんな僕のことなんてどうでもいいと思ってくる頃だ。僕だって思うさ、世界は面白いのになんで僕はこんなにつまらないんだろうってね。