一話
「あべしっ!」
異世界転生後、俺は思いっきり地面に顔を擦り付けた。幸いにもけがはなかったもののとても痛かった。異世界にきていきなりこの仕打ちである。
「くそっ、あいつめわざとやりやがったな・・・。ええと、ここは?」
俺は痛みに顔をしかめながら周りを見渡した。辺りには木々が生い茂り、鳥の鳴き声も聞こえる。どうやら森の中のようだ。
「確かここがミューズ森林か。さすがに場所までは間違っていなかったか。」
俺はとりあえず安心した。もし適当な場所に飛ばされていたらどうなっていたことか。そしてふと自分の体と服装が気になり確認し始めた。ブライの言った通り身長や髪の色といった特徴は生前と変わっていないようだ。まぁ、鏡がないので瞳の色とか詳しいことは分からないが。服装は革のようなもので作られた簡易鎧のようなものを着ている。ズボンはぽっけとの付いているジーパンで、中にはハンカチと財布が入っていた。財布にはスリ対策のためにチェーンが付いていた。中身は銀貨らしきもの2枚、銅貨らしきものが10枚であった。靴は普通の運動靴である。あと、手には軍手らしきものを着けている。・・・これで身に付けているものは全部だ。
「そうだ、ギフトボックスも確認しないと・・・Gift Box Open! 」
俺が呪文を唱えると目の前によくある市販品のリュックサックが現れた。
「これがギフトボックス?ただのリュックサックじゃね?まぁ中身を見てみるか・・・」
俺はチャックを開けて中身を確認した。中には携帯食料、水筒、ナイフ、そして着替え2着分が入っていた。最悪2日ぐらい遭難しても大丈夫そうだ。
「ん〜、魔法も唱えてみたいがとりあえずはヘルプを確認してからだ、Status Open!」
俺はステータス表記からヘルプを選択し、各魔法について調べてみた。
<ヘルプ>
・各魔法について
{Ice Ball(s)}
硬い氷の球を作り出す。放物線を描いて飛ばすことができる。
{Ice Arrow(s)}
鋭い氷の矢を生み出す。直線上にしか打てないが矢の速度は速い。
{Ice Javelin}
重い氷の槍を作り出す。直線状にして打てず、遠くまで飛ばすにはコントロールが難しいという欠点もあるが威力は中々なもの。
{Ice Sword}
氷の剣を作り出す。
{Ice wall(s)}
氷の壁を作り出す。
{Wind Help}
そよ風程度の弱い風を起こせる。消費魔力が少ない。
{Water Gun(s)}
いわば水鉄砲。直線状にしか打てない上に威力は無いに等しい。
{Mini Heal}
ちょっとした傷、例えば深爪や虫刺され程度なら直せないこともない。
{Heal}
Mini Healの強化版。簡単な怪我や病、例えば出血や風邪程度なら治療出来る。
使用者の習熟度合や使用魔力量、医学知識によっては骨折や感染症等も直せる。
{Navigation}
Target is ~~と続けて言うことで指定した物の方角、場所を探知できる。有効範囲は発動者を中心に全方位へ30メートル。
・(s)表記のものは複数行使可能。
・魔法は強化されることがある。
・LVは使える魔法等級の目安。
・???は条件を達成しないと名前すら分からない。
・人によって魔法属性の適正は異なる。
こんなことも知らないんですかwww?
<ヘルプ>
「何だろう・・・凄く助かったのに、凄くイラッとする・・・。」
何でヘルプにまでおちょくられなくてはいけないのか。そもそも分からないから聞いているのだ。といった突っ込みを心の中でしつつ俺は近くの町についても調べてみた。
「確か、サイドリバーだったかな?」
<ヘルプ>
・行ったことのある場所の解説しか表示されません。
当然でしょ?まぁ今回は特別に。
・サイドリバー
その名の通りミューズ川中流付近に町が出来たことからこの名前が付いた。主な産業は林業とそれに付随する加工業である。主に木材はミューズ森林で伐採される木々を筏で町へ運ばれている。筏は船を川上に戻す必要がなく、メンテナンスも必要ないため重宝されている。運送された木材は家具や建材、装飾品に加工され各地へ供給されている。その他の産業は同心円状のモデルを示している。つまり河川沿いには重く陸上では輸送しにくい木材、建材を運送するために簡易港や木こり小屋が整備されている。そして周辺は町を中心に1層目は鮮度が重視されたり、運送が困難であったりする物が生産されている(野菜や建材といったもの)。そして第2層以降はより運送費が安い物、日持ちする物の順に物資が生産されている(チーズや小麦といった物)。一番遠方に位置するのは匂い、騒音、そしてモンスターの襲撃といった問題があるが、運送費は安い畜産業である。・・・(以下無駄に長い説明が続く)・・・。
総評として科学があまり発展していない割に農業は進んだ状態であると考えられる。この辺りはモンスターも弱く数も少ないため、比較的自由に開拓できたからではないかと推測される。
感謝すれば?
<ヘルプ>
「やっぱり煽ってくるのか・・・無駄に説明は詳しく丁寧なのがどうも・・・よし、こいつは当分封印しよう。それより魔法だ魔法。」
俺はステータス表記を消して魔法を使うことにした。今は使う必要のないMini Heal / Healを除いた各魔法の感想は以下の通りである。
{Ice Ball(s)}
4個まで氷の球を作りだして放てたが、数が多くなればその分だけコントロールが難しくなった。威力はまあまあ。準主力魔法になりそう。
{Ice Arrow(s)}
7本までなら宙に浮かべて一斉発射できた。まっすぐ飛ぶので照準はとても楽。主力魔法になりそう。
{Ice Javelin}
威力は木を削れるほどだが、とにかくコントロールが難しく要練習。
{Ice Sword}
軍手をしていても冷たくて持っていられない\(^o^)/。宙に浮かべることも出来ないので使用には厚い防水手袋が必要かな。
{Ice wall(s)}
身長よりやや高い程度(2メートル位?)の高さの氷の壁を作り出すことが出来た。しゃがんだ状態で四方と上部をこれで覆えばかまくらみたいな状況で無敵かと思われたが、びっくりするほど寒かった。そして氷自体も厚くないので耐久力もそこまでではなさそう。
{Wind Help}
扇風機の弱設定ぐらいの強さの風が吹く。涼しい。
{Water Gun(s)}
どう考えても水鉄砲。頑張ればウォ−ターカッターみたいに出来るかも・・・?飲み水にもなりそうだが味は微妙。
{Navigation}
凄く便利。薬草探しとか捗りそう。町の方角も判明した。
「魔法に関してはこれ位でいいだろう。そろそろ町に向かおう!」
俺はサイドリバーへ向かって歩き出した。
テスト投稿3です。ひとまずお話はここで終わりです。以降は書き溜めが終わってからの投稿となります。8月までには週一回のペースで投稿できるよう努力します。また夏休み頃にお会いしましょう。