状況確認
【ステータス】
名称 : ゼブル
年齢 : 20歳
累積レベル : 9950
レベル : 1
ライフ : 678/679
マナ : 455/455
スタミナ : 597/660
STR : 634
DEX : 927
INT : 455
SPD : 8
WILL : 629
LUCK : 154
スキルポイント : 1537
「これは…ノスタルジアオンラインのステータス?」
もう一度見てみるがやはりこれは見覚えがあるVRMMOのノスタルジアオンラインの俺のキャラのステータスだ。
SPDという見慣れないステータスもあるがこれはノスタルジアオンラインステータスであることには間違いないだろう。
ノスタルジアオンラインとは俺がやっている有名なVRMMOの一つであり、職業が存在しなくスキルを上げることによりステータスを上がっていくという一風変わったゲームである。要はスキル制のゲームということだ。例えば近接系のスキルを上げるとそれに関連するステータスであるライフやSTR、スタミナなどが上がる、魔法ならINTやマナなどが上がる。そうやってスキルを上げていき自分好みのスタイルで戦うゲームである。またスキルは上げるためには熟練度を100まで貯めて、レベルが1上がるごとに1ポイント貰えるスキルポイントを使用しないと上げられない。そしてそのスキルポイントを貯めるために必要なのは転生だ、レベル100~199で転生石を2つ使用すること、もしくはレベル200(上限)で転生石を1つ使用することで転生が可能になり効率よくスキルポイントを貯めることができる。また転生石はモンスターを倒すことで超低確率で得ることができる。
これがノスタルジアオンラインの簡単な概要だ、俺はノスタルジアオンラインの中では古参に属しているプレイヤーだ、断じて廃人と呼ばれるプレイヤーではない、廃人の最高峰くらいで累積レベルは16000くらいらしいのでレベルが約10000の私は普通だと思われる。
まあ、俺も魔法系スキル以外近接・格闘・弓・錬金・生活系など全部1まで上げているんだけどね、説明し忘れていたけどスキルは練習>9>8>7>6>5>4>3>2>1と順々に強くなっていく、かかるスキルポイントも順々に上がっていくんだけどね…これでノスタルジアオンラインの説明は終わりだ。
「さてステータスの確認もできたということはスキルも使えるのかな?」
そう言いながら私はスキル欄を表示させて確かめていく、近接・格闘・錬金・弓など一通り見てみたが全部スキルはあるみたいだ。
そこでスキルの未収得欄を押してみる
ピッピピピピピピピピピピピピピピ…
ずっと音が鳴り続け次々と未収得スキルが表示されている。
「おいおい、スキルいくつ増えているんだよ…」
刀スキル・棒術スキル・掃除スキル・妄想スキル・陰陽術スキル・泳ぎスキルなどそこには数えるのも馬鹿らしくなるほどの数のスキルが表示されていた、というか掃除スキルとか妄想スキルとか変なスキルもたくさん増えているな…とりあえず音がうるさいのでスキル欄を消しておく。
俺はため息を吐き状況を確認する。
これだけのスキルがあるということはどう考えてもおかしい、いくらアップデートがあったといっても千個以上も増えているのはどう考えてもないだろう。
しかしこれだけのスキル増えているのは事実だ。
どうしてこれだけスキルが増えているのか頭を悩ましているとふと一つの仮説を思いついた。
「まさかスキル作成のアップデートが来たのか?」
それはユーザーの中でこれがあればと言われていた妄想の産物である。
スキル作成は文字通り今までにない新しいスキルを作ることができるというものだ。
そう簡単にはそんなアップデートすることは不可能と思われていたが実現したのだろうか?
そう考えればこれだけの数のスキルも納得がいくだろう
というか明らかにおかしいと思われるスキルがあったんだよな、なんだよこの山田焼却術スキルとか田中長弓術スキルとか邪王神龍眼スキルとかI’ll be backスキルとか幻想殴りスキルとか明らかにユーザーが作ったと思われるスキルだ
というかそれしか考えられないな、うん。
というかユーザー達よ…もっとマシな名前を付けろよ!
主人公は知らない余談ではあるが、スキル作成のアップデートがあった後、変なスキル名を作っちゃったお(^ω^)スレがなぜか予測不可能なほど人気となり如何に変な名前を付けるかユーザーが凌ぎを削っていたというのが原因であった。
悪ノリって怖いわ~。
さて今までのことを総合するとこの世界はノスタルジアオンラインのゲームの中の世界なのだろう、しかもおそらくは私がやっていた時から相当時間が経ったではあろうが。
それはSPDという見慣れないステータス(おそらくはスピードに関するステータスだろうが)に数えるのも嫌になるほどのスキルの数がそれを証明しているだろう。
「つーか、それが分かってもこの森で遭難状態なのは何も解決しないよな」
口に出してみると情けなくなる事実である
俺はため息を吐き、よっこいしょと木の根っこに座り込む。
あー、空が青いな、今何時頃なんだろうな、夜まで歩いてまだ遭難していたらどうしよう…とりあえず狼とかは殴り飛ばせば問題ないけど、さすがにこんな森の中で野宿はしたくないなぁ、リュックサックの中に入っていたエロゲーまだやってないのになぁ…
現実逃避と言ってくれるな、これは冷静になるためには絶対必要なことなのだ。
「ん?そういえばMAPとかインベントリとか試してないな」
存在自体忘れていたわ テヘペロ(・ω≦)
さっそく試してみることにしようか。
「MAP」
…反応がないな、MAPは使えないのか、仕方ないのでもう一つの方を試してみよう。
「インベントリ」
ウィンドウが開かれアイテムが次々表示されていくがちょっと数がおかしい…
「おいおい、これ銀行内に預けていたアイテムまであるのか…」
おそらく数万のアイテムが表示されているであろう…し・か・も全く整理されていない状態でだ!
「うわ~、我ながら超カオスなインべしてるな…自分のインベントリも整理できてないのに銀行内のカオスなアイテムまであるからどこに何があるか分けわからんわ」
表示されているアイテムは冷たいシルク、細い糸、丈夫な木材、深海魚、トゥーハンドソード、つるはし、裁縫キット、ネコミミ、生ゴミなど我ながら節操無いな、俺は整理とか得意でない方というのに加えて、物が捨てられない性格が災いしてこんなことになっているのだ。
「これは整理したくないなあ、整理するとしたら何時間かかることやら…」
激しくめんどくさいのでとりあえず整理することは放棄して適当に改造もエンチャントも何もしてないただのショートソードを二振りほどインベントリから取りだして腰に差す。
さっきの狼は冷静になって良く見ればノスタルジアオンラインにおいて最下級モンスターだったのでここら辺には大したモンスターはいないと思われるのでこれで十分だろう。
「しかしこれからどうするかなあ、転送用アイテムは普段使わないから手元にないしなぁ」
どうしようかと悩んでいると手前の草むらからガサガサと音がした。
素早く俺は草むらから距離を取りショートソードの柄に手を掛けて戦闘態勢に入る。
さっきは現実世界と思っていて体が動かなかったがゲーム世界と分かったゆえか長年のネトゲーユーザーとしての癖での対応である。
草むらから何が出てくるか俺はじっと見つめる。
そして、草むらを抜けだし現れたのは質素な杖にだぼだぼのローブ、大きなリュックを背負ったおっさんだった。
これが俺の師匠となる現代魔法使いの超変態糞じじいとの出会いである。
つか出会いはけっこう普通だったな。