第42話 番外編だよ!うん、番外編番外編。(番外編)
「天気いいね〜」
「そうだな」
俺とさくらは他愛もない話をしながら、電車の中で揺られている。
結局、俺達は公衆電話から克也(怒られなさそうだから)に電話して、新幹線に乗り換える前に合流する事となった。
合流する駅までは各駅止まりの電車で30分ほど。もう電車の中で急いだってしょうがないので、まったりと行くことにした。
人もまばらな電車の中、俺とさくらはのんびりと外を眺めていた。
「おまんじゅうおいしいねぇ〜」
その声にふと前を見る。
藤色のしっとりとした着物。腰は歳からか少し曲がり、短めの白髪と、シワの刻まれた顔はなんとも平和を感じる。
そしてこれまたシワの刻まれた手には……しっかりとおまんじゅうが握られていた。
「おっ、おま……」
そう、そのおばあちゃんを人はこう呼ぶ。
「おまんじゅうおばあちゃん(16話参照)!!」
と。
「え?」
外の風景に気を取られていたさくらは、俺の上げた声に前を向く。
「……政人、あのおばあちゃんとお知り合い?」
「えっ?ああ、いや、人違いだったわ」
「……?そう」
さくらはどもった俺を怪訝そうな表情で見つめながらも、それ以上は何も言ってこなかった。
俺の中で警告のサイレンが鳴り響く。
ダメだ。このおばあちゃんに関わってはいけない。
過去の出来事で俺に多大なトラウマを残したおばあちゃん。救急車で病院に突っ込み、爆弾で俺の原チャリを再起不能にまでした、おまんじゅう信者だ。
俺は関わらないよう必死で下を向く。が……。
気になる……。
あんだけ濃い〜おばあちゃんだ。今回も何かやらかすに違いない。
俺はバレないようにおばあちゃんの様子を伺うことにした。
「おまんじゅうおいしいねぇ〜」
相変わらずおまんじゅうに舌鼓を打つおばあちゃん。
やがて、そのおまんじゅうも食べきる。
「ふう、さてと」
膝に抱えていた袋から何かを取り出す。
「そろそろおまんじゅうでも食べようかねぇ」
そろそろじゃねぇし!さっきずっとモグモグやってたじゃねぇか!……ってあれ?
……あれおまんじゅうじゃねぇ!プリンだ!なんで間違えちゃった!?
その瞬間、隣にいた若いサラリーマンがそわそわし始める。どうやらおばあちゃんに突っ込みたいようだ。
「あ、あの。おばあちゃん?」
お!ついに話しかけた!
「それおまんじゅうじゃなくて、プリンだよ?」
「ん……?ああ、違うんだよ。これはねぇ、プリン風おまんじゅうなの」
それはプリンって言うんだよおばあちゃん。
「間違えちゃダメですよ?ふふ、そんな子にはお仕置きです」
ぷるぷると手をサラリーマンに近付けるおばあちゃん。どうやら頭を叩きたいようだ。
サラリーマンも敢えて避ける気も突っ込む気もないらしく、おばあちゃんの手が届くまでそのままの体制でいる。
そして、おばあちゃんの手がサラリーマンの頭に当たるか当たらないかの時……。
「セイッ!!」
「ごひゅ」
垂直に下ろされた手。あまりの威力にサラリーマンは電車の椅子に尻からめりこんで……って……。
おかしいよね?あのほとんどゼロ距離からあの威力おかしいよね?ていうかサラリーマンちょっと間違いを指摘しただけなのにめりこんじゃったよ?
この事態にさすがのさくらも気付いたのか、口をパクパクさせながらおばあちゃんを見ている。
「あ、あのおばあちゃん……プリンをおまんじゅうと間違えてる」
遅いよ!もうそこはツッコミ済みだよ!
さくらはすっと立ち上がり、おばあちゃんに向かっていく。
こ、こいつまさかおばあちゃんに言うつもりか!?
「おばあちゃん、それおまんじゅうじゃなくてプリンだよ?」
うわぁ……。言っちゃった……。いや、逝っちゃった。
「ん……?あらあら、ホントだ、気付かなかったよ」
ええー!?
「えー。それさっき僕も言ったのにー。めり込み損じゃないですかー」
サラリーマン起きてたの!?てかケツめりこみながら普通に喋ってる!
おばあちゃんはサラリーマンの方を向くと……。
「黙っとれ若造がぁっ!!セイッ」
「きゅ」
更にめりこんだ!!
「お、おばあちゃん!?暴力はダメだよっ!」
さくらもめり込みリーマンにようやく気付いたみたいだ。というかそのセリフはいつもの君に言いたい。
サラリーマンもおばあちゃんに口を開く。
「そうだよ。僕をめりこませるのはだめりこ。……あ、いまのはめり込みとだめりこをかけてみごふぅっっ!」
うん今のはしょうがない。
ついにサラリーマンはめり込みすぎて首だけになってしまった。
もうこうなるとおばあちゃんよりサラリーマンのほうが気になるぞ……。
「おばあちゃん!やった!あともう少しだよっ!」
あれ!?さくらおまえさっきと言ってる事違うよ!?
「そうだねぇ。ここまできたらもう……ヤっちまうしかないねぇ!!」
おばあちゃんノリノリだよ!
「セイッッ」
ズムッ
「ちょっ」
「ムンッッ」
ズムズムッ
「まっ」
「トリャァァァ!!」
テュルン
埋まったぁぁぁ!!でもちょっと待って最後の効果音おかしくない!?ものすごくなめらかにいったよね!?
「私のおまんじゅうを食べるからこうなるの」
一口も食ってなかったしね!
「あれ?おばあちゃん、それおまんじゅうじゃなくてプリンだよ?」
おまえまだ言ってるの!?
その時、俺の肩にポンッと何かが乗る。見ると、そこには人の手。そしてその人物は……。
「な、なんでここに!?」
サラリーマンだった。
サラリーマンは白い歯を見せ、親指を立てて、口を開く。
「これが、僕の実力さ、わ・か・ぞ・う・くん。あ、おばあちゃん。それまんじゅうじゃないプリン。あとさくらくん、君ちょっとバカじゃない?」
「「「…………」」」
―――――。
「お、いたいた。おーい!」
目的の駅に着いた俺達は、すぐに皆を見つけた。目立つ連中だなー。
声をかけると、真っ先に友基が食って掛かる。
「おっせぇんだよ政人!テメーちくわの中心になりてぇのか!?」
それ無の存在じゃん!
そこへ一太郎が仲裁に入る。
「まあまあ、これで皆そろったんだし、よしとしましょうよ。……チッ」
あれ?おまえ今チッて言った?
「まぁ今は新幹線乗り遅れちゃうから早く行くわよ〜!」
里奈が皆を促す。まぁ今はって言うのが気になるな。
まあ、とりあえずそんなこんなで無事に皆と合流することが出来た。
え?サラリーマンはどうしたって?……まあ言うまでもないだろう。
あれ?てかバーベキューしてなくね?……番外編ってことでいいか!
どうも!MCエモドントです!違いますね、エドモントです違いますね、おもむろです。さて、今回はなんの話をしましょうか。いや、本編の話なんてしませんよ?めんどいもん。でも話す事無いなぁ……。あっ、僕最近身長が175から176に伸びたっぽいんですよ〜!どうでもいいか。ああ、体重は65で変わらないんですけどね〜。どうでもいいか。そうだ、今後のこうこうせいは新たなギャ……どうでもいいか。新キャラの敵……どうでもいいか。友基が死に……どうでもいいか。