第4話 俺の原付の名前は……あ、文字数足りねぇ。
ガタン…ゴトン…
この季節の電車は気持ちいいな……。
俺は電車に揺られながら、そんなことを考えていた。
いつもなら学校まで原付で行くのだか、今日の朝、それはただの鉄クズになってしまった。
…ああ、俺の原付……。
説明しよう。俺の原付の悲しい末路を…。
―――――。
チュン…チュン…
小鳥のさえずりが聞こえてくる……。
眠たい目を擦りながら、ベットからゆっくり起きて、窓を開けた。………ん?なんかデジャヴ………。
まさか……。
俺は壁掛時計を恐る恐るみた。
時計の短針は12を指していた。
「はい。遅刻だね☆……………あぁぁっ!!ちくしょー!!」
俺は急いで制服に着替え、牛乳を1リットル飲んで、お腹が痛くなり、速攻で用を足し、ヨーグルトをバカ食いして、お腹が痛くなり、速攻で用を足した。
「よし!準備OK!」
何がOKなんだかわからなかったが、取り敢えず、OKだ。
「行ってくるぜ!亀吉さん!」
亀吉さんはエサをくれるのかと思ったのか、興奮している。
俺は取り敢えず牛乳を1リットル入れてやった。
外にでて、階段を駆け降り、アパートの駐輪場まで走る。そして俺の愛車、“スーパーディオにライブディオのエンブレ付けて、しったかぶり野郎に恥をかかせてやる……号”に飛び乗り、キーを差し込んだ。
「フッ、男節なブルース奏でるぜ!!」
キュルルルル……
キュルルルル……
あれ…?
キュルルルル……
キュルルボン!
ボン?
いや、ルボン?
そんなことはいい。
壊れたんかい?
「フッ、何がしたい?いや、何がしてぇ?…うう…ウオォォ!!」
俺は原付に喝を入れるため飛び蹴りをかました。
するとどうでしょう?
原付はバランスを崩し、まるでドミノ倒しの様に自転車やらバイクやらを巻き込んでいくじゃあ、あーりませんか。
「……よし!準備OK!」
見なかったことにしよう。うん、そうだ。それがいい。でも俺の原付は起こしておこう。
俺は原付を起こすため、原付の横に立ち、ハンドルを掴んで起こそうとした。
うお、中々重たいな…。
ここは一気に……
グイッ
その時、俺はバランスを崩し、後ろにつんのめった。
ドンッ
…ん?今ケツで何かを押したような…。
ガシャンガシャンガシャンガシャンガシャンッ!
……ああ、今日は天気がいいな…。そうだ、学校に行かなくちゃ…。電車で行こう。それがいい。
―――――。
と言うわけだ。
ちなみに、俺のアパートの駐輪場には、自転車とバイク合わせて50台近くある。まあ、そんな事俺には関係ないけどね。うふふ…。
『次はー、体駅ー。体駅でーす。』
ふう、まだまだだな。
しかし、電車ってのは暇なもんだ。やる事が無いな。
俺は面白い事はないか、まわりの様子を見ることにした。
今は昼過ぎなので、電車の中は空いている。
乗っている人は、ヨボヨボのお婆ちゃん。チョコレートを食べてる子供とその母親。ふんぞり返っているおっさん。あと不良が一人。
まあ、特に変わった奴はいなかった。つまんねぇな…。
「もう!お菓子食べちゃだめでしょっ!!」
うおっ!びっくりした…。
どうやら母親が、子供に怒鳴ったらしい。
「だって…だって!」
子供が涙目になってきた。泣くのか?泣くのか!?
「ウオォォォォッ!!」
すげぇ泣き声だ!!
「ウオォォォォッ!!………はぁ、くだらねぇ。」
泣き真似かよ!!
「ちっ!うるせぇぞ!!今電話してんだよ!」
お、不良がキレたぞ。
て言うかおまえの方がマナー悪いぞ。
「若造が……」
お婆ちゃんご立腹だ!
おっ、指を鳴らし始めたぞ。首も鳴らして…立った!腰を鳴らして、準備万端だ!行くのか!?
「どっこいしょ」
座ったーーーっっ!!
すると、お婆ちゃんは目にもとまらぬ速さで、隣の子供のチョコを奪った。
「このおまんじゅうおいしいねぇ」
勘違い!
「饅頭じゃねぇ!」
子供がキレた!
「なんだと?このシャバ増がぁっ!」
お婆ちゃんマジ切れだ!
辺りに険悪なムードが流れる。
「うるせぇっつってんだろ!!」
不良がまたキレた!
「それにガキ。これは饅頭だぜ?」
勘違い野郎が増えた!
「違うもん!違うもん!」
子供がまた泣き始めたぞ。
「やめて!私の息子をいじめないで!」
母親が子供をかばったぞ。
「でもそれは饅頭よ?」
母親まで勘違いしてる!
「うう…うう…っ」
子供!堪えろ!おまえが正しいぞ!
「やっぱりね!ボクもそうだと思ってたんだ!」
しったかぶりだ!
全員の意見が一致して、電車の中は元の和やかな雰囲気になった。
すると、いきなりふんぞり返っているおっさんが立ち上がった。
「じゃあ、みんなで仲良くお饅頭食べましょうか!」
最後はおっさんが締めたーーーっっ!!
「次はー、政人が降りる駅ー。政人が降りる駅でーす。」
あ、俺が降りる駅だ。
俺は電車を降りた。
電車を振り返るとさっきの奴等が微笑みながら饅頭を食べていた。
しかし、饅頭を食べた瞬間、みんなが顔色を変えた。
「「「「これチョコじゃんっ!!」」」」
気付くの遅っ!
「はあ、なんかつっこみ過ぎて疲れた…」
俺は学校の階段を上りながらため息を吐いた。
電車で学校に行くのはもうやめよう……
ガラガラ…
「はあ…やっとつい」
「HR終わりー!気を付けて帰れー!」
さっ、気を付けてかえろ☆