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第39話 カレーにはドレッシングでしょっ♪

「……本当にやるんですか?」


最後まで不安顔の充。


「……今更だろ」


壁にもたれて腕を組み、目を伏せたままの海。


「もー行くっきゃないって!」


にやけ面のままグイグイと充の背中を押す里奈。


「つーわけだ。行ってこい!」


ここは一太郎との待ち合わせ場所――駅前の噴水がよく見える少し離れた裏路地だ。一太郎は既に噴水の前にいて、そわそわと落ち着きがない。


みんなに言い伏せられようやく諦めたのか、充は大きなため息を一つ吐いて、わかりましたよ……と呟きながらとぼとぼと歩いて行った。


「……あいつ、大丈夫なのか」


もうそわそわしすぎて小動物と化した一太郎へ、ためらいながらも歩いていく充の後ろ姿を見ながら、海はため息混じりに言った。


「うーん……。一応デートの内容は一太郎から聞いてるし、充にも伝えたから、ハプニングが起きない限り大丈夫じゃね?」


もしハプニングが起きたとしても俺等が対処すりゃいいんだしな。……でも声ぐらい聞けたらなぁ。おもしれーのに。


「ん?なにやってんだ、里奈」


妙に静かだと思ったら、里奈はしゃがんで自分のバックからゴソゴソと何かを取り出そうとしている。


「えーっと……あった!これこれっ」


俺と海の前に突き出した無機質な黒い物。これは……


「……盗聴器?」


「ピンポ〜ン!通称盗る盗るく〜ん!みつにマイクを持たせておいたのよっ」


青いタヌキよろしく、里奈は自慢げに盗聴器を掲げる。


「ふーん、ありがちな名前だね、青いタヌキくん」


「違う!僕はネコ型ロボットだ!」


ちげぇお前は里奈だ。


「てかなんでんなもん持ってんだよ!?はっ、まさか俺の事も盗聴とか盗撮とかしてねーだろうな!?」


「なんで政人を?そんな利用価値の無いことするわけないじゃん。存在価値さえないんだから」


はいキター。利用価値はまだいいとして存在価値これキター。


「まっ、海ッチは人気だからよく激写させてもらってるけどねー」


はいキター。人気ってどうせ女子にだろこれキター。


「なっ……!」


海は狼狽して、とっさに自分の体にも盗撮器がついてないかを確認しだす。


「まっ、それはおいといて。この盗聴器は安物だから10メートル先までしかできないの。だから上手く尾行しなきゃバレるよ。いい?ここからは私のテリトリーよ?いうとーりに動きなさいよ」


それだけ言うと、里奈は一太郎達の尾行を開始した。


……かっけぇ。かっこよすぎてなんか背筋がゾクゾクするってか普通にこえーし引くわ。


「海、早く行くぞ」


まだ自分に盗聴器の類がついてないか必死で確認している海。


「なぁ!俺になんか付いてるか!?」


「付いてねーっつーの!付いてるとしたら背中に張り付いてる盗聴器ぐらいだよ!ほら、行くぞ!」


「そ、そうか。なら良かったいや良くねぇぇぇぇ!」



―――――。



駅前から少し離れたカフェ。そこで軽食を取る一太郎と充。俺達は少し離れたテーブルで一太郎達を観察している。


「いや〜、意外とバレないもんねぇ〜。あ、私はレアチーズケーキ」


里奈は二人を見ながらも注文はしっかりしている。


「かしこまりました」


「まあ……一太郎だからだろ。俺はこれ。ああ、あとアイスコーヒー」


海は二人の様子にあまり興味がないのか、二人の方には見向きもせずに注文をする。


「かしこまりました。他にご注文は?」


あ、俺も飲み物くらい頼んどくか。


「あとコーラ一つ」


「いやむり」



……やっぱりかぁぁぁ!!


もういいや……。二人の様子見るか……。



一太郎は充の正体に全く気づく様子がない。


俺は里奈から受け取ったイヤホンを片耳に付けて、二人の会話をきいてみる事にした。


おおっ、スゲー。ノイズが全く無いぞ。


『み、みち子さんは好きな食べ物とかありますか?』


メニューを眺めながら緊張した面持ちで喋る一太郎。ちなみにみち子とは充の事だ。


『べつに』


そっけなさすぎんぞみち子!!


『そ、そうですか……。あっ、みち子さんって好きな食べ物とかあります?』


おんなじ事聞いてるよ!今別にって言ったじゃねーか!


『ピーマン』


あるのかよ!!



「大丈夫か……?あの二人……」


海はさっきと同じ事を、しかしさっきよりも更に心配そうに聞いてくる。


うーん、これはちっとマズイかもな……。


俺は携帯を取り出し、充にメールを打つ。


えーっと……『おまえそっけなさすぎるぞ。カレーにはドレッシングでしょ張りにいってやれよ。』と。よし、送信。


充は携帯を取り出し、内容を確認している。そして文字をうちはじめた。


しばらくすると、俺の携帯に充からのメールが届く。


「おっ、来たか。なになに……『わかったよくそやろう』……」


タメ語!?うぜぇ!人にくそやろうなんて言っちゃいけないんだぞくそやろう!


……まぁいい。これで少しはちゃんと会話してくれるだろ。


俺は再びイヤホンの音に耳を傾ける。


『あっ、僕ピラフにしようかな』


『カレーにはドレッシングだろうが。カレー頼め』


意味わかんねぇ!しかもなんか命令口調!


「た、たしかに」


こいつ無理矢理話合わせちゃったよ!


その後一太郎は注文したカレーにドレッシングをかけていた。もうなんかかけすぎてスープカレーになってる。


「まあ何とか大丈夫そうだな。一太郎は充の言いなりだし」


「う〜ん。でもいつまでもつかなぁ……」


里奈はかなり不安げな表情で二人をみつめている。


二人は丁度食事を終え、デザートを頼むようだ。


『僕あんみつが好きなんですよ。よし、あんみつにしよう!』


『よし、じゃあパフェを食え』


充話聞いてねぇ!


『パフェにもドレッシングだ。できるだろ?』


できねーだろ!ていうか充なんかキャラ違くない!?


『た、たしかに』


おまえはノーと言え!


充は呼び出しボタンを押す。


もう早く終わってくれ……。


もう見るのも疲れた。俺は疲労感を紛らわすためにテーブルに突っ伏す。


「お、おい。充の様子がおかしいぞ」


海の焦った声。俺は体勢はそのまま、首だけ動かして充の状態を見た。


「んだよ。充はいつだって様子おかし……」


俺はそのまま固まった。


俺の見る先、一太郎達のテーブルにはウェイトレスが来ている。


ウェイトレスは充を、充もまたウェイトレスを見たまま固まっていた。


そのウェイトレスは……。


『せ……セツナちゃん……』


充のクラスメート。そう、充が気になっている女の子だった。


『え?セツナちゃんってあの……』


一太郎は言葉を濁す。充の気になる女の子は一太郎に調べてもらったんだから、当然一太郎は知っているはずだ。


『え……あの……もしかして……』


セツナちゃんは口に手を当て、困ったような表情をしている。そして……


『みつる……くん……?』


言っちゃった……。


セツナちゃんは自分が発した言葉でやっと確信したのか、さっきの表情から一変、驚愕の表情になる。


『な……なんで……どうして……!』


『え?充君って……え?』


一太郎もようやく今の状況のに気付き始める。

充はうつ向き、肩を震わせていた。


ヤバイヤバイヤバイ!今物凄い修羅場なんですけど!


充!おまえの言葉次第ですべてが決まるぞ!


『みつるくんどうして女装なんてしてるの!?』


『充君!君は僕を騙そうとしていたのか!でもギザ萌ユルス!』


『ねぇ、なんか喋ってよ!』


『ギザモユルス!テラカワユス!』


一太郎テメーは黙れ!


『みつるくんっ!』

『充君!』



俺達は充が口を開くのを、固唾を飲んで見守る。



『ぼ……僕……は……』









『僕は女の子になりたかったんだよっ♪ばーかわーい!』


壊れたーーーっ!!


その言葉を残し、爆笑しながら走り去る充。


魂が抜けたように脱力する一太郎。


床にへたりこみ、嗚咽を漏らすセツナちゃん。


あーあ、もうなにもかも充の頭もパァになっちゃったっ♪



……その後、充にフルパワー正拳突きを喰らい、一太郎からは当然報酬金なんか貰えず、更にこいつも俺を殴ろうとしたので、むかつくから里奈と海との三人で袋叩きにした。


うーん、なんていうか……やっぱりカレーにはドレッシングでしょっ♪あっ、サブタイトルはこれで決まりだね!



おしまいっ♪


みなさんこんにちは!本編はいかかでしたか?楽しんで頂けましたか?まあ、本編なんかは置いといて。読者の方々は後書きはみてくれているのか……。作者は後書きでしか自己主張できないので見てやって下さい。僕もまあ言いたい放題してますしね。うふぅっ!綾ちゃんは俺のもの!綾ちゃんは俺のもの!まあ、それも置いといて……。みなさん、30話の後書きからキャラのプロフィールを公開しています。そして前話はガッツリ忘れてました俺のばーかわーい!……と、いうわけで次話からプロフィール再開!次は一太郎!こいつの名字は赤木です!田中じゃないよ!でわでわ!

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