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第35話 結局はお酒だよね

部屋に入ると、里奈、綾ちゃん、さくらが席についていた。あとボコボコの一太郎と海も。


テーブルにはすでに豪勢な夕食が並んでいる。海鮮が豊富な和食だ。


「うおおっ!すげー豪華じゃん!すごいねハルちゃん!」


ギュッ


「そうだね」


バキッ


友基もすでにボコボコだ。


「ほら、政人が主役なんだから音頭とって」


里奈がそう言いながら俺にビールの入ったコップを渡してくる。


って、ビール!?



……ま、30話記念だしね。


みんながそれぞれ席に着いた事を確認して、俺はテーブルの上座に移動する。


「えー、皆さん。今回は30話記念パーティーということで旅館に宿泊したワケですが、私達はこれによって体を休め、さらにハードなコメディーに挑戦すると共に……」

「「「「「「「「「「かんぱーい!」」」」」」」」」」


結局シカトかよ!?てかカッコ多っ!


みんな飲んだり食ったりし始めたので、俺は諦めて自分の席に着いた。


うん、最悪の席だ。


俺の左には海。海の左にいる綾ちゃんとイチャイチャイチャイチャ……。


俺の右には友基。友基の右にいるハルにバキバキバキバキ……。


へへ……もういい。テメー等がイチャイチャバキバキすんだったら俺はメチャクチャにしてやる……。


「かーつやっ!」


俺は自分の席を立ち、里奈と話している克也に満面の笑みで話し掛ける。


「ん、なんだ?」


「おまえちょっとこれ持ってみ?」


俺は日本酒がなみなみ入ったジョッキを克也に無理矢理持たす。


「え……これがどうし……」

「あれ?克也君?何持ってんの?」


俺の意図に気付いたワル乗り好きの里奈が俺にニヤリと笑い掛ける。


「「なーに持ってんの?なーに持ってんの?飲みたいーかーら持ってんの!はい、一気!一気!一気!一気!」」


俺と里奈の一気コールによって、克也は強制的に一気した。


このコールはかなり不思議な力を持っている。酒を持っている時にこのコールがかかったら、是が否でも飲まなくてはいけないのだ。


ジョッキに入った日本酒を一気した克也は俯いている。


「……うぃ〜」


そして顔を上げた克也は、目が座っていた。


よし、まずは一人。


「よっしゃ克也!すべてをメチャクチャにすんぞ!」


「うぃ〜」


フフ……もうすべてを破壊やる。フハ、フハハ、フハハハハハハハ……



―――――。



……まずい、やりすぎたかも。


みんなに一気コールしたから、もうホントにメチャクチャだ。俺も何回か一気コールされたから、少し酔っ払ってきた。


俺は今座って大人しく飲んでいたが、正気なのは俺だけかもしんない。


俺はなんとなく前に座るハルと友基を観察する。


「ハルちゃ〜ん、俺酔っ払っちゃったよ〜」


ギュッ


「ボクも〜」


バキッ


「ん〜?これ、ハルちゃんの足〜?」


むにゅ


「胸だよ〜」


バキッ


もう、さっきからこの状況だ。友基もめげないな。


「政人さ〜ん……」


その声に振り向くと、満が真っ赤な顔をしながら、定まらない視線でなんとか俺を見ていた。


「体が熱いですぅ……」


そう言って満は俺に寄り掛かってきた。


……うひゃ!


「そうかそうか。じゃあおぢさんと向こうの部屋に行こうか。おぢさん頑張っちゃうぞ!」


「は〜い、私も頑張りま〜す……」


「そうだな、一緒に頑張ろうじゃないか」


俺は満を抱えて、部屋から出ようとした。


「とうっ!」


背後からそんな声が聞こえ、嫌な予感がして振り返る。



充が、飛んでいた。



ドゴッ



「くぴゃ」


俺は充の飛び蹴りをモロに受けて、為す術もなく吹っ飛んだ。


充は見事に着地して、満を抱き抱えた。


「満は渡しませんよ!」


く、くそ……。変な所で姉弟愛見せやがって……。


「ちょっと、大丈夫!?」


そう言って駆け付けてきたのは里奈だった。


ホッ、こいつはまだシラフみたいだ。


「ああ、大丈夫だから、ちょっと手貸して……」


その声が聞こえていないのか、里奈が俺に馬乗りになる。


「ちょっとぉ……さっきミチに何しようとしたのよ〜」


里奈は顔を近付けてくる。……ってクサッ!酒クサッ!


「ね〜え〜、聞いてんの〜?何しようとしたのよ〜?」


むにゅ


「ちょっ!近い!里奈近いから!しかもアレが当たってる!当たってますよ!」


「とうっ!」


俺はその声のした方に振り向く。



今度は克也が飛んでいた。


「おっ、おい!それはおかしいだろ!俺はなんも……!おい、里奈どけ!動けな……」



ドゴッ



「くぴゃ」


里奈が上に乗っていて動けない無防備な俺を、克也は容赦なく飛び蹴り。


「里奈は渡さない」


……え?それ告白じゃん。


「オイ、政人」


海の声に振り向くと、海は日本酒の一升瓶を持って笑っていた。どうやらこいつはまだまだシラフらしい。


「……さっきの続きだ。コレでケリつけるぞ」


「あ?テメー『クロガネの肝臓』と言われたこの俺に勝てると思ってんの?」


「フッ……俺は『シロガネーゼ肝臓』と言われてる」


「なんかセレブな肝臓じゃん!上等!飲み比べだ!」



―――――。



「ヒック……へっ、海……テメーはもう降参か?」


海はコップを持ったまま固まってしまっている。


「……フッ……」


ゴクッゴクッゴク……


海はコップに注がれた日本酒を飲み干した。


「フッ……テメーの番……だ……」


海はコップを持ったままテーブルに突っ伏した。


はっ、俺に勝とうなんざ100年早いわ!


俺は周りの状況を確認する。


海との勝負に熱中して気付かなかったが、みんな酔い潰れていたようだ。


……ふう、ちょっと外に出て酔いを覚ますか……。



縁側に出ると、夜の森林の匂いが鼻を掠め、酔いが少し覚めてきた。


タバコに火を付けて、一息ついてから空を見上げる。空は小さな光が無数にちりばめられ、幻想的な光景だった。


「なーにやってんのっ」


その声に少しドキリとしたが、振り向かずに無視してみる。

するとその人物は遠慮も無しに俺の隣に座った。


そこでやっと横を見ると、さくらが頬を少し赤らめた顔で空を見上げている。



手には一升瓶とコップ二つ。


「おまえ……」


「ふふ、まだまだ飲み足りないでしょ」


そうだ……こいつ、俺より酒強いんだった……。


「……はぁ、しょうがねぇな」


俺はさくらからコップを受け取り、さくらはそれに日本酒を注ぐ。


一口飲んで、また空を見上げる。


周りは静かで、俺とさくらの二人きりの様だ。



さくらに告白する。



その言葉に不動脈を起こす。


告白……。


「……さくら」


コップを両手で持って、ゆっくり飲んでいるさくらに、俺は呼び掛ける。さくらは一口飲んでからゆっくりと振り向いた。


「ん、なに?」


長い髪がまだ濡れていて、それを上げている。

そして艶やかに覗かせるうなじ。うなじ……


「……うなじ」


「……うなじ?」


……うなじ?


俺は視線を前に戻す。


無理だろ。ていうか無理だろ。


俺は視線を感じて後ろを見る。




……後ろには、みんなが俺達を覗いていた。


「テメーら!」


「おまえ意気地がねーなぁ」


「フッ……意気地なし」


「うるせー!」


「あっ、政人さん!もう終わりらしいですっ!」


「え、そなの?えーと、ゴホン。読者の皆さん。30話も読んでくれてありがとうございます。30話に行くまでは長い道程でした……しかし!私は思うのです!この30話があったからこそ……」

「「「「「「「「「「これからもよろしくお願いしま〜す!」」」」」」」」」」


結局かい!!



翌日、さくら以外、みんな青い顔をしていたとさ。



30話記念パーティー。読んでいただきありがとうございます!いかがでしたでしょうか?まあ、これからも連載していくので、読者さん、どうか愛想を尽かさずに最後までお付き合いお願いします!では!あ、今回のキャラ設定はお休みです……。ではでは!

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