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第29話 友基……おまえセリフ噛みすぎ……。

昼休み。

俺様は屋上で、失敗した自分の弁当を食っていた。

その味をごまかし、胃に送るために豆乳をめいっぱい飲む。もちろん豆乳は1リットルサイズだ。


あ、みんな。俺は友基!

俺様視点になったって事は、俺の身に何かが起こるって事だよな。チョー恐い。


俺は空になった弁当を、ビニール袋の中に適当に放って仰向けに倒れ、体を大の字にした。

食後の一服はこの体勢に限るぜ。


俺はタバコの箱とライターをポケットから取り出して、慣れた手つきで一本に火を付けた。

煙を吐くときにメンソールが喉に心地いい。


あー……ビバ不健康!


昨日とは打って変わって曇った空を見ながら、俺はさっきの出来事を思い出した。


氷室、ウゼーなぁ……。

政人のボディブロー、痛かったなぁ……。朝の豆乳がちこっと出てきたよ。

……なんで政人は、氷室と仲が良いんだろ?ま、あいつらなんだかんだ似たもの同士だしな。

……でも、俺は……



ガチャン


扉の開く、金属が擦れ合う音によって、俺の思考は扉に移った。


扉には無表情でこちらを見つめる氷室の姿があった。

氷室は踵を返して扉を閉めようとする。


「待てよ」


俺の言葉に氷室の動きが止まった。俺は立ち上がり、扉まで行く。


「氷室、テメーが何考えてんのか知らねーけどな。俺はテメーがウゼェ。次会ったら……やっちまうぞ」


氷室は俺に背中を向けていたので表情は掴めない。だが、顔は俯き、なにやら笑っている気がした。


「意見が合うな。俺もテメーが嫌いだ」


そう言って振り返った氷室の表情は、確実に俺をバカにしたものだった。


「てめぇ……!」


前言撤回だ、今ここでやっちまおう。


俺は氷室の胸ぐらを掴み、そして拳を振り上げた。


「何やっとる!!」


その大声に反射的に動きが止まり、声のした方向を見る。

そこには運悪く男の教師が立っていた。



―――――。



「あー……暇!」


陽が沈みかける頃。まだ段ボールが片付いていない部屋で、俺は段ボールを背もたれにしてタバコをふかす。横にある灰皿はすでに吸い殻が山の様に積まれていたが眼中にねぇな!はっ!


あの男の教師は、更に運悪く生徒指導担当の奴だった。


俺と氷室は3日間の停学、自宅謹慎処分を受けた。

ま、あん時殴ってたら終わってたな。うん。


……こんな所でうだうだしててもしょうがねぇ。せっかく学校公認の休みをもらったんだ、旅に出るか!


そう思うが早いか、俺は速攻で着替え、玄関の扉を開けた。



―――――。



俺のアパートは地元から少し離れていたが、少し歩けばすぐに見慣れた町並みになる。

夜になっても人通りの絶えない駅前に着き、いつもの溜り場、ゲームセンターの自動ドアを開けた。


「……変わってねぇな」


全く様変わりしていない店内に、思わず笑みがこぼれてしまう。


お、これ最新の格ゲーじゃん。


俺は財布から硬貨を取出し、そのゲーム機の硬貨入れに入れて、ドカッと椅子に腰を降ろした。


「ぬあっ!敵つえーじゃねーか!格ゲーのカリスマ友基様なめやがって!」


俺がしばらくゲームに熱中していると、突然、後ろから肩を叩かれた。


「ああっ?だりぇだ!?」


……噛んじゃった。


俺が振り返った先には3人の不良がいた。

ダッセー。中坊みてーな服装してんな。俺を見習いやがれ!


「まちがいねぇ。こいつ、内田友基だよ」


「オイ、内田テメー。俺等の顔見てなんか思い出さねぇか?」


不良の一人、このグループのリーダー的存在が、俺の胸ぐらを掴み、顔を、凄みを効かせて近付けてくる。。


……近いっ。何コイツ、俺とチュウしたいの?


「えーと……あっ。アレだ、アレだべ?うん、アレだ」


「テメーわかんねーんだったら最初から言え!」


「あっ、今思い出した!佐々木君だ!そうだ、誕生日おめでとう!」


「俺の名前は近藤だそして誕生日でもないだけれどありがとう!」


俺の胸ぐらを掴む奴はそう言うと、拳を振り上げてきた。

その拳を、後ろにいた奴が掴む。


「ここでやんのはマジィだろ。外に出ようぜ」


拳を振り上げてきた男は、しばらくそいつと睨み合っていたが、やがて怒りを吐き出すように息をつき、再び俺に振り返った。


「そうだな。オイ内田。俺等、今クロス狩りっつーのやってんだけどよ、テメーには色々と恨みがあんだよ?俺等の遊びに付き合ってくれよ」


俺はそれを鼻で笑って返した。


「テメー何笑ってんだよ!」


胸ぐらを掴む奴の力が強くなる。

いい加減ウゼーな……。よしっ、俺様の握力を見せちゃるっ!


俺は近藤とか言う奴の腕を掴む。


へっ、奴はきっと『ぐあぁぁ!腕がぁぁっ!』とか言って手を放すぜ。


俺は力の限り近藤の腕を握った。


「ふぬおぉぉぉぉ……」


「…………は?」


「ぐあぁぁ!腕がつったぁぁぁ!」


「「「…………」」」


「……ふっ、クロス狩りだかパンティー狩りだか知らねーがな。上等だよ、やってやんじぇ!!あっ噛んじゃった」


「「「…………」」」


うん、我ながらグダグダ。



―――――。



自然公園。そこに昏倒している奴等に蹴りを入れる。


「はっ、クソだな。近藤さん、残るはオメーだけだな」


地面に腰を付き、顔面修羅場の近藤さん。しかし、俺の気はこんなもんじゃ済まない。


「ひ、ひぃっ」


「あ?なんだそりゃ?馬の鳴き真似か?」


俺は近藤ににじみ寄る。


その時、バイクの音が近づいてくる事に、俺は気を取られた。

その音源の方を見ると、5台ぐらいのバイクに、全員2ケツしてやがる。コイツの仲間だろう。角材やらなにやら色々持っている。


じゅ、10人!?むりむりむりむり絶対に無理!どれくらい無理があるかっつーと、公衆便所でビックな方をしてる時に、ドリフのコントみたいに壁が倒れて女の子の目撃者がきゃあぁぁぁって、もうきゃあぁぁぁって、んでその女の子が手で顔を覆うんだけど、手の隙間からチラッチラッて、そういう緊迫したシチュエーションより無理がある!



その時、俺の頭に衝撃が走った。


耳鳴りと、頭の痺れる感覚、それが痛みに変わる頃に、原因がわかった。


「へへ、へ……」


近藤が、鉄パイプを持って怪しくニヤついていた。

近藤の仲間が続々と集まり、俺を囲んでいく。


血がとめどなく溢れてくる、生暖かい感覚が伝わる。俺の視界が、赤と白に包まれていく。


「マジ……か」


完全に視界が白になった時、地面に倒れる衝撃が体に響く。


意識が薄れていく中、バイクの排気音と共に、聞き慣れた声が聞こえた気がした……



―――――。



ぼんやりと視界が戻ってくる。

……長い間眠ってたような……眠ってないような……


俺は何故かベンチに寝ていた。場所は……さっきの自然公園みたいだ。


「そうだっ、奴らは……」


俺は飛び起きて、周りを見渡す。


「……おねんねの時間?」


奴等は全員、地面に突っ伏していた。誰一人動かずに。


俺は奴等の近くまで行ってみる。一体誰が……。


奴等はボッコボコにはなっていなかった。こいつらをやった奴は、相手を気遣って倒したみたいだ。


ふと、地面に落ちている物に気付く。それを拾ってみる。


「……デュポン……?」


うーん、こいつらのかな?……いただきます!


俺はタバコを取出し、デュポンで火を付けて、地面に突っ伏す奴等を見た。


クロス狩り……とか言ってたな。クロスは散々暴れたからなぁ。ツケが回ってきたな。ってか、政人も危ないんじゃね?うーん、どうすれば……。



…………。



よしっ!帰って寝よう!


俺は帰路に着くことにした。


自然公園から出る頃、急に頭が痛みだす。俺は思わず頭を抱えた。


……ん?


頭に何かを巻かれていたようだ。取ってみると、俺の血が滲んだ包帯だった。


あいつらぶっ飛ばしてくれた奴が、やってくれたんかな?……ん?


何かが俺の顔に、ツー、と流れてきた。俺はそれを手で拭き取り、手を確認する。


……血じゃん!やべー、傷口開いた!?


病院に行くか……?いや、こんな傷、確実に学校に連絡される。もし、謹慎中なのにケンカした事がバレたら……。


タイ……ガク……?


ノンノン、タイガクダメネ。タイガクダッタラトーフノカドニアタマブツケテシンダホウガマシ。ウンウン、トーフノカドニアタマブツケテしねぇぇぇぇ!!


……どうしよう。政人の家に行ったら絶対理由聞かれるし……。

……よし、あいつんちに行こう。


俺は流れる血を、手で乱暴に止めながら、あいつの家への長い道程を歩きだした。



とまぁ、微妙に伏線を引いて今回はおしまい!あいつって誰なのか気になるよね?うんうん。

次回も俺視点かな?俺視点だよね?俺視点だな、うん。じゃ、みなさん、今回はこのへんで!俺様の今後の活躍を祈れよな!ふっ、あびゃよ!



…………うぅ……。


ヨー!おれの名前はMCおもむろヨーヨーヨウッ!……はい、作者紹介終了。読者様、今回も読んでいただき、ありがとうございます!さて、自分はこの頃思うわけです。この後書きを有意義に使えないものか?この前なんかは、へんな会話文を後書きに掲載して、読者様に多大な失望を与えたワケですが……ですが!自分なりに色々考えた結果、次回の後書きから、メインキャラたちの設定と、自分のぶっちゃけトークを織り交ぜた後書き。題して『爆笑必死!?こうこうせってい〜ポロリもあるよ〜』をお送りしたいと思います!文字数が!でっでは、お楽しみに〜!

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