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Moon Stardust  作者: 楓耶
第一章
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出会い

 空太(そらた)は、仕事で出前の皿回収をしていた。空太は、中華料理屋で見習いコックをしていた。今日は出前のバイトが1人休んでしまったので、空太も出前の手伝いをしていた。中華料理屋で働いて、3年経った。初めは、空太も皿洗いや出前、注文取りばかりしていた。3年して、やっと厨房に入り、料理らしいことをさせてもらえるようになった。

 そんなことを考えながら、時間は夜の22時を回っていただろうか。そろそろ、店の片づけを始めなければならない時間だった。空太は、急いで皿を回収し、自分のバイクへと向かった。

 すると、突然、空が明るくなったのを感じた。空太が空を見上げると、空一面には流れ星のような光の光線が何万、何億と降り注いでいた。

 「うぉ。すげぇ!!何だよ、これ!!流星群ってやつかな?よしっ!とりあえず、お願いしとこう。」

 空太はそう言うと、両手を合わせて目を瞑った。

 「一人前の料理人になれますように…。」

 そうつぶやいた瞬間―

 

 ぱぁーーーーーん!!!!


 空太の目の前を大きな光が横切ったと思った瞬間、後ろから誰かに何かを刺されるような痛みが体を突きぬけ、その場に倒れしまった。



 「大丈夫ですか?」

 空太の耳元で誰かの声がする。

 (誰?女の人?)

 「ごめんなさい!私のせいで…大丈夫ですか?怪我とかないですか?本当に、本当にごめんなさい。」

泣きそうな声の女性は、空太の体を揺さぶりながら、必死に謝り続けている。

 そんなことはお構い無しに、空太は、むくりと体を起こし、自分の時計を見た。

 「あぁぁぁぁーーーーーー。もう、こんな時間!!!やばい…店長に怒られる…。うわぁぁぁ。急がなくちゃ!!」

空太はそう言いながら頭を掻きむしった。

 「あの…。」

女が声をかけようとしたが、空太はさえぎるように

 「あ、俺なら大丈夫だから。そんなに謝らないで。別に、俺を襲ったわけじゃないよね?ちょっと痛かったけど、血も出てないし…。ほらっ。」

そう言いながら、自分の背中をさすって見せた。

 「それに、こんな夜遅くに1人じゃ危ないよ。早く帰ったほうがいいよ。じゃあな。」

 よほど、店長が怖いのか、空太はあわてるように、置いてあったバイクの方へと走り出した。

 「待って!!私、行くところないから、あなたの所に行ってもいいですか!?」

女は大きな声で叫んだ。

 大きな声すぎて、急いでいた空太の耳にも聞こえたのか、空太は足を止めた。そして、振り返り、女の方へと向かってくる。その足取りは力強くて、怒りさえ感じた。

 「あんた!!頭おかしいんじゃないのか?いきなり初対面の男にそんなこと言うなんて!!どうかしてるよ。俺が、おかしなやつなら、今頃あんた、あんなことやこんなことされてるぜ。」

 「あんなことやこんなことってなんですか?」

 「そこ聞く?」

 そう言うと、呆れたような顔をして、ため息をついた。

 「ごめんなさい…。本当に行くところがなくて…。今日ここに来たばかりで。たぶん、この世界にもお金とか必要なのですよね?この世界のお金は持っていないし…。それに、あなたは光を吸収したから、あなたなら守ってくれると思うから…。」

 空太は、馬鹿げたことを言っているなと思いながら、キラキラした大きな目でまっすぐに見つめる女は、意味不明なことを言いながら、どこか嘘をついているようには思えない気にもなっていた。

 「わかったよ。俺、住み込みだから、店長に頼んでみるから。一緒に来なよ。」

 「はい、ありがとうございます。」

そう言って、ニコリと女は微笑んだ。

 「ところで、名前なんて言うんだ?名前はあるだろう?」

 「はい、エラと言います。」

 「外国の人?日本人ではない名前だよなぁ。」

 「はい、私、地球人ではないですから。」

 「はぁ???」

 空太は、この奇妙なことを言うエラを連れて来てしまったことを、正直、後悔していた。言っていることがあまりにも珍妙過ぎて、全く信じれなかったからだった。しかし、深く追求してしまうと怖い気がして、それ以外のことをエラに聞こうとはしなかった。

 それから、空太は店に電話して事情を説明し始めた。そして、二人乗りできないバイクを引きずりながら、店までの道のりを2人で歩き出した。




 その頃、地球の上空には、原因不明の黒い雲が広がっていた。どこかの気象予報士が黒い雲の存在に気づいたようだったが、原因がわからず、何もできなかった。雨が降るわけでもなく、雷が起こるわけでもなかった。しかし、時間が経つごとに雲は地球に近づき、何かを狙っているかのように暗い影を落としていた。

 「ズーヘック様、あと四つの光はこの星に堕ちたことがわかっています。私は、ラビルのように失敗はしません。必ずや光の力を奪って参りますわ。」

 「ミアは相変わらずだな。まぁ、あれも失敗ではなかった。ラビルが得た力を見よ。ただの人だったラビルが私たちと同じような力を手に入れたのだからな。ほかの力も我らが取り込めば、もっと強大な力を手に入れることができる。そして、宇宙全土を我が物としよう。手始めに、地球もろとも奪おうではないか…。ぐわぁはははは。ミア、ノロスを呼べ!手始めに、あいつに何かやらせてみよう。」

 「はい、かしこまりました、ズーヘック様。」

真っ赤な唇の女は、今から起こる恐怖のシーンを想像し、舌なめずりしながら、部屋を後にした。


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