第6章:帰国――リムジン銃撃戦と、逃走
【第6章:帰国――リムジン銃撃戦と、逃走】
東京――羽田空港。
霧雨に濡れるターミナルビル。 到着ゲートを抜けた東條玲司は、 無言で周囲を見渡した。
誰かが―― こちらを監視している気配がある。
スーツケースを手に、 小走りに外へ出る。
そのとき。 路肩に停まっていた巨大な黒いリムジンのドアが、スッと開いた。
中から、無線イヤホンをつけた黒服が顔を出す。
「東條玲司さんですね? こちらへ!」
迷う暇はなかった。
直感が、叫んでいた。
(今は、乗れ)
東條はリムジンに飛び乗った。 すぐにドアが閉まる。
リムジンが発進した直後だった。
後方から、異様な車列が現れた。
黒塗りのSUV。 ボディには軍用車のような改造が施され、 搭乗者たちは全員、黒い赤外線ゴーグルを装着していた。
異形のソルジャーたち。
手にしているのは、 明らかに民間規格を超えた自動火器だった。
「来るぞ!!」
運転席から叫ぶ黒服。
銃撃音。 車体をかすめる弾丸。
「ガンガンガンガンッ!!」
リムジンの装甲ガラスにヒビが走る。
「ぐあっ!!」
助手席の黒服が撃たれ、シートにもたれかかる。
血の匂いが漂った。
東條は思わず拳を握る。
(クソッ! これが歓迎の挨拶か!)
運転手は、即座にギアをリバースに叩き込んだ。
「下がるぞ!!」
リムジンは驚異的なテクニックでバックをかけ、 旋回、急発進。
ブロロロロロ――!!
車体をきしませながら、空港敷地を突っ切る。
黒いSUVたちが、狂ったように追いすがる。
「ギャリギャリギャリギャリ!!」
リムジンがフェンスを突き破り、一般道へと飛び出す。
深夜の東京。 濡れたアスファルトに、タイヤの焼ける臭いが立ちこめる。
後方では、まだ銃撃音が続いていた。
リムジンは、 旧港湾地区の倉庫街へ滑り込んだ。
巨大なコンテナの陰に、エンジンを切り、 静かに身を潜める。
重苦しい沈黙。
運転手はハンドルを握ったまま、低く呟いた。
「これ以上は無理だ。あとは――自力で逃げてくれ」
後部ドアが開かれる。
冷たい雨が吹き込んだ。
東條はコートの襟を立て、 夜の闇へと歩き出した。
ポケットには、 サンフランシスコで手に入れた、ルシファー計画の証拠ファイル。
そして、 今はまだ知らない―― 少年たち(第七区域)の存在への道。




