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第56章:Xデー(政府との最終交渉)

【第56章:Xデー(政府との最終交渉)】


午前6時45分。灰色の曇り空が、渋谷の空を静かに覆っていた。

スクランブル交差点の上空を、ユウマが組み上げた制御ドローンが静かに旋回している。少年たちは、交差点から少し離れた高層ビルの屋上で、東京全体の動きを見守っていた。

「……始まるな」

東條がつぶやいた。

その手には、オハラ重工と政府との間で取り交わされた極秘契約書のコピーが握られている。通信チャンネルは開かれ、音声録音はオン。すべてが“公開される準備”に入っていた。

―前7時00分――政府側の“公式代表”として、内閣官房特務担当補佐・加地宗典が国会記者会館の一室に姿を見せた。

その場には、オンライン中継を通じて、東條、住友理仁、ユウマ、ミライ(瑞穂)がアクセスしている。

加地は硬い表情で口を開いた。

「一連の騒動に関し、君たちの要求を確認した。だが、政府はこれを“対話”とは認識しない。君たちは国家機密の漏洩、及び社会秩序の混乱を招いた存在だ」

東條が冷静に反論した。

「“国家機密”という名のもとで、子どもたちを“実験体”として閉じ込めていたのは誰だ。 君たちは“未来を管理”しようとしたんだ。今ここで、責任を取れ」

ユウマが続ける。

「今、私たちの制御下にあるドローンが、都心のあらゆる送電・通信ノードを把握しています。 武力には屈しない。“声”だけで世界を動かす」

瑞穂が、マイクの前に立った。

「お願いです。これ以上、“特別な人間”だけで世界を回すのはやめてください。 “普通の子”が安心して生きられる未来を、選ばせてください」

――静寂。

それは、政府側が“揺れている”証拠だった。Xプランに関わる複数の議員が、東條側に水面下で接触している。

そして、住友理仁が最終通告を発した。

「H&Bリバティは本日、政府とのすべての財務契約を一時停止し、保有する報道ネットワークに“Xプランの全記録”を送信します。この瞬間から、君たちは“国民の目”にさらされる」

加地の額に、汗が滲む。

「……君たちは、覚悟の上でやっているのか?」

東條は最後に言った。

「覚悟ではない。これは、“決意”だ」

―前7時45分――NHKを含む大手報道局にて、Xプランに関する政府と企業の癒着記録が一斉報道され始める。

ファントムは退却。政府の緊急会議が開始され、市民の声がSNSで爆発的に拡散していく。

Xデー、発動。






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