第51章:覚醒
【第51章:覚醒】
ミライの体が光に包まれていく。白銀の髪が揺れ、瞳が深い蒼に変わる。
「能力覚醒レベル:リミッター解除」「全世界システム接続、拒否」「演算中断」
ミライ「私は――もう、道具じゃない」「私は、生きてる。私は、“未来そのもの”」
その瞬間、世界中の演算が強制中止された。
株式市場、軍事衛星、中央銀行ネットワーク……一時的に“未来が未定義”の状態に入る。
AIが混乱し、未来制御が“ゼロ”になったのだ。
場所、永田町・霞ヶ関合同庁舎 地下会議室
曇天の東京。午後2時。東條たちは政府側との交渉の場に赴いていた。背広に身を包んだ東條、その背後には少年たち、そしてミライがいた。
重い扉が開き、地下会議室へと通される。長テーブルの奥には、政府の特別機関【内閣危機管理室 特務局】の面々が座っている。
中央に座るのは、白髪の老紳士――如月官房長官。
東條「東條玲司、及び保護対象“第五非検体”、ならびにNo.1~4を伴い、協議に参りました」
如月「……よく来てくれた。話し合おう。“未来”の話をね」
如月「まず確認する。第五被験体“ミライ”を含む少年たちは、国家的極秘研究の成果だ」
東條「その“研究”に、彼らの人格は考慮されていたのか?」
如月「生き延びるためだよ。日本は今や年間10兆円の財政赤字。国債は限界、人口は減り、社会は沈みつつある」
ミライ「だから……人を道具にしたの?」
如月「“道具”ではない。“鍵”だ。未来を開くための」
ハヤト「だったら! 鍵にされた俺たちの意思はどうなる!」
アキラ「黙って死ねとでも言うのか!」
如月「――君たちは知らない。“Xデー”が何を意味するか」
大佐(通信)「東條、こちら本部。Xデー計画書のリークに成功。転送する」
レン「映像出すよ!」
会議室のスクリーンに映し出されるのは、“人類の淘汰計画”。
・AIによる社会最適化 ・出生管理とクラス分断 ・“超能力因子”を持つ者だけを残し、他は――“選別”
東條「つまりこれは、“未来のための大量間引き”か?」
如月「我々は……人類を、最適化しようとしただけだ」
ミライ「あなたたちの未来に、私は居場所がなかった」
如月「――君は、生き続ける“器”だ。“人間”ではない」
(沈黙)
東條「それが国家の選んだ“倫理”なら、私は――反旗を翻す」
如月「ならば仕方ない。我々は君たちを“敵”と見なすことになるぞ」
ミライ「いいよ。私、初めて“生きたい”って思えたの」
少年たちが前に出る。4人の瞳に、確かな意志が宿っていた。
ハヤト「お前たちの未来は、古すぎる」
レン「もう、俺たちの時代だよ」
ユウマ「自分たちの道を、自分で決める」
アキラ「君たちは、止まってていい」
如月「……愚か者め」
ミライ「“愛”がなければ、未来なんて意味がない」
東條「如月長官。今日をもって、私はこの国の諜報員を辞す」
大佐(通信)「アメリカ政府も、ファントムの日本支部を解体する。諸君は孤立した」
如月「……そうか。これが、選んだ答えか」
東條「はい。これは――“命の交渉”です」
ミライ「ありがとう、私を“人間”として見てくれて」
如月「……神よ、我を赦したまえ……」
扉が閉じる。
外に出ると、春の光が差していた。
ミライ「未来って、温かいんだね」
ハヤト「ああ、これから、きっともっと」




