第46章:渋谷、交差する未来
【第46章:渋谷、交差する未来】
時は、Xデーの数日前――
渋谷スクランブル交差点。四方八方から人が流れ込み、行き交う群衆の波が交差しては散っていく。レンはスクランブルのど真ん中で立ち止まり、周囲を見渡した。
「ここが……“人間の巣”ってやつか」
その横を、ユウマが歩く。彼は駅前の大型ビルに視線を向けながら、タブレットを操作していた。
「監視塔が多い。あのタワー……通信拠点を兼ねてる。ファントムの目も、ここに届いてる」
「オレの能力じゃ、ビルごと吹き飛ばすのは無理だな……チッ」
「違うよ、レン。今回は“壊す”んじゃなくて、“潜る”んだ」
ユウマは、銀座線のホームへと向かう階段を指差した。現在の渋谷駅――波打つデザインの銀座線改札から、深く地下へと降りていく。
駅構内は、白く曲線の効いたデザインで未来的な雰囲気が漂っている。その静寂の中で、ユウマはドローンの中枢回路を確認しながら言った。
「Xデー当日。ここを通って、ドローンを駅上空から放つ。起点は――あの交差点上空。人波の中に紛れて、見えなくする」
アキラが首を傾げる。
「……でも、あれだけの人がいたら、巻き込まれるんじゃ?」
東條が横から答えた。
「だからこそ、人の目がある。政府も下手に動けない。それが唯一の“盾”になる――“市民”という存在がな」
一同が見上げたのは、ビルの巨大スクリーン。そこには「選挙まであと4日」と書かれた民正党のデジタル広告が流れていた。
レンが、静かにつぶやく。
「“この街を守る”ってのが、正義ってやつか……へっ、悪くねぇな」
その時、巨大スクリーンのCMが切り替わり、一瞬だけ“Clone No.05 ミライ”の顔が映った。
東條は瞬きもせず、画面を見つめた。
「……時間がない。動くぞ」




