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第35章:再会編「静香と瑞穂」
【第35章:再会編「静香と瑞穂」】
瑞穂の保護から3日後――
平八とベインズは、東京郊外のレンタカーショップで白いコンパクトSUVを借りていた。
ベインズ「マニュアル車しか残ってなかったか……まあ、平八のクラッチさばきに期待しよう」
平八「運転は任しとけ。こちとら昭和のオッサンやぞ。マニュアルが青春なんや」
助手席では瑞穂が、風景に目を奪われていた。
「こんなに、緑がある世界だったんだ……」
ベインズ「奥多摩。君の母親、静香さんが今、そこに身を寄せてる」
瑞穂「……“おかあさん”。会ったら、私……泣くかもしれない」
平八「泣いてええ。大人でも、泣いてええんやで」
午後2時15分。到着したのは、山間の奥、杉林に囲まれた一軒家。小さな畑と、縁側と、白い暖簾。
瑞穂がゆっくりと玄関に立つ。
戸が開いた。
出てきたのは、優しく微笑む女性――静香。
瑞穂と目が合った瞬間、空気が止まる。
ふたりは、まるで引き寄せられるように歩み寄り――
「……あなた……」「……おかあさん……?」
「瑞穂……!!」
次の瞬間、二人はしっかりと抱き合っていた。
「ごめんね……ずっと、会いたかった……」「私……思い出した。おかあさんの匂い。声。ぬくもり」
ベインズは遠くから、そっと帽子を外した。
平八「ええもんやな……」




