表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/65

第22章:新たなる使者

【第22章:新たなる使者】


東京湾を見下ろす新埠頭の高層マンション。

その一室に、東京大学政治学部4年の女子学生・**絢音あやね**は静かに暮らしていた。

表向きは優秀な大学生。だが、その裏で彼女は、政府が抱える“静かな工作員”の一人だった。

ある夜、0時をまわった頃。

窓の外に、ヘッドライトが瞬く。黒いアウディが建物前に停車した。

運転席から降りてきたのは、民間調査機関「ファントム」に所属する男――東條玲司。

部屋をノックすると、絢音はすでにコートを羽織って玄関に立っていた。

「準備はできてる。施工図面、霞ヶ関のラインから受け取ったわ」

「そうか。ありがとう、絢音」

彼女は鞄を手に、アウディの助手席に乗り込む。

エンジン音が夜の静寂を破る。

「ところで……」

東條がルームミラー越しに、後部座席の少年たちに目をやる。

「腹、減ってるだろ。何か食べたいものあるか?」

一瞬の静寂のあと――

「マクドナルドが食べてみたい!!」

そう叫んだのは、少年のひとり、アキラだった。

続いて、他の少年たちが次々に反応する。

「外の世界で話に聞いてた通りだな」

「これがマクドナルドか!」

「美味しいなぁ……!」

それぞれの言葉に、どこか無邪気な喜びがあふれていた。

東條は笑みを浮かべると、車をマックのドライブスルーへと走らせた。


ファントムは、アメリカ合衆国が組織する外部調査機関。

東條は、国内の極秘実験――“能力による人間選別プログラム”の存在を突き止めていた。

その調査の中で得た情報は、彼をさらに深く、国家の闇へと導いていく。

パッパー!!

急に車の前方で、ヘッドライトが何度もパッシングされる。

続けて――クラクションが激しく鳴った。

「――危ない!!」

交差点を横断しようとした絢音の身体に、一台の車が迫っていた。

東條は即座にハンドルを切り、アウディで進路を塞ぐ。

ギィッ!!

タイヤが路面を鳴らし、わずかに車体がスライドする。

寸前で衝突を免れた。

「……間一髪だったな」

「ありがとう、東條さん」

肩で息をする絢音が、小さく礼を言った。


そのまま一行は再び走り出す。

東條はスマートフォンを取り出し、暗号化通信に切り替えると、アメリカ海軍所属の協力者――

黒人の大佐・マイケルに連絡を入れた。

「こちら東條。少年たちは、保護しています」

「了解。次の地点で合流しよう」

闇夜の中、東京の南方へ、彼らの車列は静かに動いていった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ