第0章:都市の鼓動―サイコバスターズ始動
サイコバスターズ2
【第0章:都市の鼓動―サイコバスターズ始動】
背の上にある、デジタルモニターに、路線図が浮かんでいた。
LEDが流れるように点滅し、マップ上の、次の駅を告げる。CMは、そこはかとなく、流れている。
窓の外では、都市の風景が流れていく。
高層ビルのガラスが朝の光を反射し、車両の側面を淡く照らしていた。
車内では、スマートフォンを見つめる女子高生。
隣には、外国人観光客。その向こうに、ネクタイを緩めたビジネスマン。
誰もが黙って画面を見つめ、誰もが疲れた目をしている。
アキラがぽつりとつぶやいた。 「……綺麗な車両だね」
レンがニッと笑う。 「ウケケケケケ! なんか、ワクワクするなあ!」
ユウマは手のひらでスマートウォッチを操作しながら言った。
「でもさ、なんかみんな……ちょっと疲れてるみたいだね。 あんまり喋らないし」
レンは肩をすくめる。
「都会だからじゃねえか? この街は、生きてるだけで戦いだろ」
列車は高架を走り抜け、眼下に無数の道路と人波が交錯する。
ビルの合間を抜けるたび、反射光が車内を流れた。
――ピロリロリン。
アナウンスが鳴り、電子音声が告げる。
《次は、品川ゲートウェイ。しながわげーとうぇい。》
レンが立ち上がる。 「よし! もうすぐだ!!」
アキラはスマートフォンを握りしめた。
「ネットに、政府に向けた“コメント”を投げておいた。
あとは、世間のフィードバックか?――すれば、成功だ」
ユウマがタブレットを閉じる。 「“エックスデイ”。もうすぐだね」
車両の外では、街のビル風が唸りを上げていた。
そして、その“風”は確実に、何かを動かし始めていた。
◇
都立高校――午後の授業。
窓際の席で、一人の高校生がこっそりスマートフォンを覗き込む。
画面に浮かび上がったトレンドワード。
《#サイコバスターズ》《#政府実験》《#第17セクター》
「……なに、これ?」
小さくつぶやいた声が、教室の静けさに溶ける。
次の瞬間、情報は一気に拡散を始めた。
ネットの海を渡り、コメントが、共有が、連鎖していく。
――世界は、気づき始めていた。 “彼ら”が動き出したことを。
話は、過去に戻る。




