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6-15


 ────


 衣料品店にやって来ました。ここはとても広い店舗に安い服が大量に売られているお店です。服だけではなく、サンダル、傘、布団にちょっとした雑貨や化粧品まで大体のものは揃っていました。


「この服かわいー」

「しぃちゃん動き回るからズボンの方がいいんじゃない?」

「駄目?」

「動きに気を付けるんなら」

「分かった」


 私としぃちゃんは新しい服に着替えました。しぃちゃんはマリン風なワンピース、私は動きやすいようにTシャツにショートパンツです。


「一応帽子被っておいた方がいいよね。どれにする?」

「しぃ、これにする」

「じゃあ私も同じ麦わら帽子で」

「じゃあ僕はこれ。何て言うんだろ、ハンチングキャップ?」


 着替えも終わり帽子も被ったので、いざ外へ出ます。


「あれ?」


 店の前の広い駐車場の向こうを、誰かが歩いていました。五、六年生くらいの年の女の子です。髪は肩くらいまでで、水色に大きなヒマワリ柄のワンピースを着ています。顔は、大きなツバの白い帽子に隠れて良く見えません。一瞬こちらをチラッと見たようですが、足を止めることなく歩き去ってしまいました。


「あの子が前に言った、いつもいる子だよ。人と会うのあんまり好きじゃないみたい」


 その子が居た所まで行って辺りを見回しますが、もう姿は見えませんでした。


「これからどうする?」


 どうしましょう。私の家へ戻って卒業アルバムを確認するか、和兎くんに関係者っぽい人の家を知ってる限り教えてもらうか……。


「きゃあ」


 少し離れた所をうろついていたしぃちゃんが叫び声を上げて戻ってきました。


「どうしたの?」

「あっつい、あっちあっつい」

「あつい?」


 さっきまでしぃちゃんが居た場所に行ってみます。特に何もありません。が、一歩進んだ瞬間、強烈な暑さに襲われました。


「暑い!」


 近くで何かが燃えているのかと思うほどの熱気です。でも周りには燃えているものなんてなく、景色自体はいたって普通です。


「本当に暑い。こんなこと今までなかったのに」

「こっちに進めないよ」


 しぃちゃんと和兎くんは混乱していましたが、私には覚えのある暑さです。熱中症警戒アラートが出ていた今日の気温と同じくらいです。


「嘘でしょ! 未来の夏ってこんなに暑いの? 死んじゃうよ」

「死んじゃうかもしれないから気を付けてっていうのが熱中症警戒アラートらしいよ」

「えぇぇ……何でそんなんになっちゃったの?」


 本当に何ででしょうか?


「あれ、じゃあさじゃあさ、あの辺りは芽生ちゃんの夢じゃない世界の今ってこと? じゃああの辺りは芽生ちゃんの思い出の場所ってこと?」

「え、いや、これといったものはないけど」


 三人で首を傾げます。


「取り敢えず、この辺り見て回ろうか」


 私達は衣料品店の近くを歩き回りました。元々この世界はそれなりに気温が高くて、主にしぃちゃんと初めて会った時の五月の終わりくらいの気温と、和兎くんの時代の夏の気温の二つでした。そこに滅茶苦茶暑い現実の気温が混じり込んで、何だか変な感じです。


「駄目だ、ちょっと休憩しよう」

「何か肌ヒリヒリする」


 私達は近くにあったドラッグストアに逃げ込みました。スポーツドリンクを一気飲みして、しぃちゃんの赤くなった肌を冷えたペットボトルで冷やします。


「暑くなってるのは狭い範囲にぽつぽつとだけだね。芽生ちゃんは心当たりある?」

「ううん、初めて行った場所とかもあったし」

「あっ、あれ、あれ見て!」


 しぃちゃんが慌てた様子で店の外を指差します。女の子です。さっきのヒマワリのワンピースの子ではありません。キラッとヘアアクセサリーが反射して光りました。とても、見覚えがあります。


「追いかけよう」

「おーい!」


 慌てて店の外に出ましたが見えた時点でかなり遠く、さらに離れて行く方向に歩いていたため見失ってしまいました。


「行っちゃったね」

「初めて見る子だ。また人が増えたのかな」


 二人が話をしている間、私は動揺していて頭が真っ白になっていました。これは、つまり、どういうことなのでしょうか?


「どうしたの?」


 しぃちゃんが訊きます。


「……私、あの子知ってる。三日月さん。中川三日月さん。葉月小百合さんの義理の娘」


 ────


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