表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/59

6-7


 ────


 やすらぎの村は学校の行事で何度か行ったことがありますが、個人では行ったことがないので道はうろ覚えでした。

 地図を頼りに進みます。一面田んぼと畑だらけで、他は何もない一本道をひたすら歩いています。


「木、ないね」

「もうすぐ着くと思うんだけど。多分あれ」


 時代劇に出てきそうな大きな門が見えます。やすらぎの村の正門です。門の中は綺麗に整えられた芝と、歩きやすい歩道がシンプルな建物に続いています。


「ここに秘密基地があるの?」

「ここじゃなくて、ここの周りの何処かにあるらしいよ」


 やすらぎの村の反対側には、確かに広い雑木林がありました。おばさんの記憶と、この場所の時代が違ってなければここにあるはずです。


 車一台分の幅しかない道路の片側が、見える限りずっと鬱蒼うっそうとしています。覗いてみても草と木しか見えなくて、たとえ中に建物があっても見えないかもしれません。


「これ、どうやって探す?」

「確か、子供しか通れないトンネルがあるって言ってたから、低い位置に何かあるのかな」


 下側を見ながら道を進みます。太陽は真上のままで強い日差しを降り注いでいるのに、道路まで覆う木のせいか、ずっと薄暗いままです。


「あ、これ怪しくない?」


 低木が、わしゃっと生えている場所の一部に、穴が空いているような隙間がありました。覗き込むと、トンネルのように奥まで続いています。


「ここかな?」

「そうだね、行く?」

「行く!」


 女の子は草まみれ泥まみれになることも気にせず、中に入って行ってしまいました。


「大丈夫? 進める?」

「大丈夫ー。あ、あった! あったよ秘密基地!」

「本当! あ、ちょっと待って」


 ガサガサと女の子が進んで行ってしまいました。意を決して私もトンネルの中に入ります。体中を枝や葉っぱが撫でます。ほこりっぽい臭いが鼻をくすぐり、くしゃみがでてしまいそうです。我慢しながら進むと、広い場所に出ました。


 雑木林の中に、ぽかんと空いた空間がありました。真ん中に、写真にあったボロボロの小屋が建っています。本当にありました。

 強い風が吹いたら倒れてしまいそうな木造の小屋は、カラフルなビニールシートやおもちゃ、良く分からないガラクタで飾り付けられています。入り口はどこでしょうか?


「わぁ」


 小屋を回り込もうとした女の子が、急に立ち止まります。何だろうと私も行ってみると人が居ました。


「人が来るなんて久し振りだ」


 男の子でした。私達よりも小さい、秘密基地の写真に写っていた男の子です。


「万里ちゃん?」


 男の子が女の子を見ながら呟きました。


「?」

「ごめん、間違えた。僕は和兎って言うんだけど、君達は?」

「えーっとね、こっちが芽生? だよね、芽生ちゃん。で私が、私が……」


 女の子が私の方へ振り返りました。


「私、名前なかった」


 そういえばそうでした。和兎くんが不思議そうにしています。


「良く分かんないけど、中入る? 麦茶ならあるよ」

「あ、お菓子持ってきたよー」

「本当!」


 和兎くんが、今にも取れそうなドアを開けました。


 ────


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ