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やすらぎの村は学校の行事で何度か行ったことがありますが、個人では行ったことがないので道はうろ覚えでした。
地図を頼りに進みます。一面田んぼと畑だらけで、他は何もない一本道をひたすら歩いています。
「木、ないね」
「もうすぐ着くと思うんだけど。多分あれ」
時代劇に出てきそうな大きな門が見えます。やすらぎの村の正門です。門の中は綺麗に整えられた芝と、歩きやすい歩道がシンプルな建物に続いています。
「ここに秘密基地があるの?」
「ここじゃなくて、ここの周りの何処かにあるらしいよ」
やすらぎの村の反対側には、確かに広い雑木林がありました。おばさんの記憶と、この場所の時代が違ってなければここにあるはずです。
車一台分の幅しかない道路の片側が、見える限りずっと鬱蒼としています。覗いてみても草と木しか見えなくて、たとえ中に建物があっても見えないかもしれません。
「これ、どうやって探す?」
「確か、子供しか通れないトンネルがあるって言ってたから、低い位置に何かあるのかな」
下側を見ながら道を進みます。太陽は真上のままで強い日差しを降り注いでいるのに、道路まで覆う木のせいか、ずっと薄暗いままです。
「あ、これ怪しくない?」
低木が、わしゃっと生えている場所の一部に、穴が空いているような隙間がありました。覗き込むと、トンネルのように奥まで続いています。
「ここかな?」
「そうだね、行く?」
「行く!」
女の子は草まみれ泥まみれになることも気にせず、中に入って行ってしまいました。
「大丈夫? 進める?」
「大丈夫ー。あ、あった! あったよ秘密基地!」
「本当! あ、ちょっと待って」
ガサガサと女の子が進んで行ってしまいました。意を決して私もトンネルの中に入ります。体中を枝や葉っぱが撫でます。ほこりっぽい臭いが鼻をくすぐり、くしゃみがでてしまいそうです。我慢しながら進むと、広い場所に出ました。
雑木林の中に、ぽかんと空いた空間がありました。真ん中に、写真にあったボロボロの小屋が建っています。本当にありました。
強い風が吹いたら倒れてしまいそうな木造の小屋は、カラフルなビニールシートやおもちゃ、良く分からないガラクタで飾り付けられています。入り口はどこでしょうか?
「わぁ」
小屋を回り込もうとした女の子が、急に立ち止まります。何だろうと私も行ってみると人が居ました。
「人が来るなんて久し振りだ」
男の子でした。私達よりも小さい、秘密基地の写真に写っていた男の子です。
「万里ちゃん?」
男の子が女の子を見ながら呟きました。
「?」
「ごめん、間違えた。僕は和兎って言うんだけど、君達は?」
「えーっとね、こっちが芽生? だよね、芽生ちゃん。で私が、私が……」
女の子が私の方へ振り返りました。
「私、名前なかった」
そういえばそうでした。和兎くんが不思議そうにしています。
「良く分かんないけど、中入る? 麦茶ならあるよ」
「あ、お菓子持ってきたよー」
「本当!」
和兎くんが、今にも取れそうなドアを開けました。
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