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6-6


 目を覚まして、そのままスマホで地図を見ます。あの公園はありましたが、遊具がだいぶ違っていました。あれは昔の公園だったようです。


「起きてるかー、朝メシだぞー」


 ふすまの外から山田さんの声がしました。


「今起きたところ。ちょっと待って」


 朝ご飯を食べて、その後どうしようかと考えます。他人の家は緊張してしまいます。


「お見舞いって行っても良いのかな」

「確か午後だった気が、ちょっと調べるわ」


 お見舞いに行っていいのは午後の二時から五時までの間でした。それも長居はできないみたいです。


「じゃ、それまでゲームしようぜ」

「宿題もちゃんとやるんだよ」

「何言ってんだよ、夏休みは始まったばっかだぞ。今から焦る必要ねぇだろ」


 八月三十日過ぎに焦る山田さんの姿が目に浮かびます。


 午後になって、アミラさんに送ってもらってお母さんのお見舞いに行きました。山田さんはお留守番です。


「お母さん、スマホ壊れちゃったって聞いたから、前に使ってたやつ持ってこようか? アプリは使えるみたいだし」

「ありがとう。でも、この部屋じゃ使えないから。もう少ししたら使える部屋に移動できるみたいだけど」


 短い時間はあっという間に過ぎて、帰る時間です。バイバイをしてお母さんと別れます。また明日も会いたいですが、流石に毎日アミラさんに送ってもらう訳にもいきません。


「ちょっとトイレ行ってくるね」


 アミラさんがトイレマークの矢印の先へと行って、姿が見えなくなりました。迂闊に動くと迷子になってしまいそうなので、じっとしています。


「あれ、佐倉ちゃん」


 振り返ると、お化け屋敷の管理をしているおばさんが居ました。


「どうしたの? 具合が悪いとか?」

「いえ、お見舞いに来たんです。おばさんは?」

「私はぎっくり腰の付き添いよ。それより聞いてるかしら、キーホルダーちょっと捜せなくなっちゃったのよ。警察の人が見つけてくれるかもしれないんだけど、戻ってくるまで時間がかかっちゃうみたいで。ごめんね」

「あ」


 ドキッとしました。きっとこのまま誤魔化すこともできると思います。でも、それは嫌でした。あの自分勝手な大人みたいになりたくありません。

 震えます。息を、強く吸います。


「ごめんなさい、実はあれ、あれは嘘……嘘じゃないけど、怒られてる山田さんから気を逸らせようとわざとやって、まさか捜してもらえるなんて思ってなくて、ごめんなさい」


 深く頭を下げました。怖くておばさんの顔が見れなくて、頭を上げられません。人の歩く音、病院のアナウンス、うるさいくらい頭に響きます。


「……良かった」


 びっくりして顔を上げてしまいました。おばさんは、笑っていました。


「宝物見つからなかったらどうしようかと思ってたのよ……あら、どうしたのよ。おばさん怒ってないから泣かないで」


 私にも分かりませんが、涙が、止まりませんでした。泣いたら困らせてしまうのに、止まりません。おばさんがくしゃくしゃって頭を撫でます。


「じゃあ、これからは悪いことはしない。もし、してもちゃんと謝る。ね」

「はい」


 時報の音がします。少し落ち着いてきました。


「もう大丈夫かな。そろそろ行かないと」

「はい。あ、あの、一つ訊いてもいいですか」

「何かな」

「……秘密基地、写真で見たんですけど、芝原さんとかが遊んでた秘密基地ってどこにあったんですか?」


 記憶をたぐり寄せるように、おばさんは目を閉じました。


「懐かしいわね……私も詳しくは知らないんだけど『やすらぎの村』ってあるでしょ。ギャラリーとか陶芸教室とかがある。あの近くにある誰かの家の土地にあったらしいのよね。道路側からは子供しか通れない木のトンネルがあったとか……流石にもうないと思うけどね」

「ありがとうございます」


 おばさんと別れました。そして、凄く丁度いいタイミングでアミラさんが戻ってきました。


「おまたせー」

「……見てました?」

「なっ、何のことかなー」


 車に乗ると急に眠くなってきて、山田さんの家に着いた頃にはもう眠たくて眠たくて、今日は早々に寝てしまいました。


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