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「あー、いたいた」
アミラさんの声がしました。慌てて涙を拭きます。
「なっ、泣いちゃった? 大丈夫よ、命に別状とかないみたいだから。これから一応検査はするみたいだけど、そこまで心配なことはないみたいだから、ね」
ふっと力が抜けて、立っていられなくなりました。山田さんに支えられて、何とか床に倒れずにすんでいます。
「お母さんが待ってるから、戻ろうか」
お母さんは私の姿を見ると無理に起き上がろうとして、お医者さんに注意されていました。お医者さんの話によると検査と怪我の治療で、経過にもよるけど二週間くらいの入院になるそうです。
「入院中はアミラちゃんの家にお世話になることになったんだけど、いいかな」
「うん」
「アミラちゃん、お願いね」
「分かりました」
話が終わって、病院から帰ることになりました。もう少しお母さんと一緒に居たかったけど、私が近くに居るとお母さんは無理してしまいそうなので、もう帰ります。
一度家に寄って必要なものを集めます。といっても何がどれくらい必要なのか分からないので、取り敢えず服と下着ばかりを鞄に詰め込みます。後は歯磨きセットと学校の宿題と、スマホの充電器も要ります。
「サボテンも持っていかないと」
「ブレーカーも下げといたほうが良いんじゃね? あ、冷蔵庫の中身どうする?」
「悪くなるから全部使って良いって。クーラーボックス要るねぇ。ちょっと取ってくる」
アミラさんが家から出ていき、二人きりになりました。
「……何かごめんね」
「何が?」
「さっき変なこと言った」
「別に……仏壇閉めとくか」
アミラさんが戻ってきて、手早く冷蔵庫の中身を整理します。最後にガス栓を閉め、ブレーカーを下げて家を出ました。
ガチャッと鍵をかけます。大丈夫、二週間後にはまた元通りの生活に戻れるはずです。
外はすっかり暗くなっていました。車から見える夜の町は、何だか別の世界のようです。
山田さんの家に着きました。まさか、また山田さんの家に泊まることがあるとは思ってもみませんでした。しばらくは、あの和室が私の部屋です。汚したりしないよう気を付けなければいけません。




