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町の境にある大きな川の土手の上にいます。
「どうかしたの?」
女の子が不思議そうに顔を覗き込みます。
「……ちょっと待ってて」
私は、二階建ての家くらいある土手を川に向かって下りました。河川敷には好き勝手に生えた木や雑草がひしめき合っています。人一人が通れる獣道らしき道を通って川に出ます。
とても大きな川です。危ないから近寄るなと、何度も何度も言われてきた川です。水の流れは緩やかですが、落ちたら助からないと分かる力強さを感じます。ゴォォと響く音は、川の流れの音なのでしょうか? 思っていた以上の迫力に、ちょっと気が引けました。
でも私は、空気を思いっ切り吸い込みました。
「ふざけるなぁ!」
川に向かって思いっ切り叫びます。
「バーカ、バーカ」
近くにあった石を、川に向かって投げます。小石、中っくらいの石、ずしっと重たい大きめの石、最後に人の顔ぐらいある石を掴みます。
物凄く重いです。それでも怒りに任せていると意外と持ち上がるものです。地面から数センチ持ち上げた石を、全身を使って放り投げます。
ドボンと大きな音を立てて、激しい水しぶきが上がりました。
「……大丈夫?」
気づかないうちに、女の子が近くに来てました。不安そうにこちらを見ています。私は深呼吸をして、荒れた息を整えます。
「大丈夫。すっきりしたから、もう行こっか」
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