表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/59

5-9


 今日は久し振りにみやちゃんとハルちゃんと遊ぶ日です。遊ぶといってもショッピングモールの中のお店をうろうろ巡るだけですが、それでも楽しいのです。


「このメモ帳ハルちゃん使ってるやつだ」

「芽生ちゃんから貰ったの」

「お守りのお返しに」

「あ、私何も返してないじゃん。何欲しい?」


 可愛いキャラクターグッズを扱う雑貨店は、来るたびに何かしらが変わっていて飽きません。値段も高くないので、私も何か買おうかなと商品を見て回ります。


「あ、そうそう。堂本くんから訊いたんだけど、あの鍵に付いてたキャラクターさ、親戚の作ったオリジナルなんだってー。去年のクリスマスに習い事の教室の子供に配ったやつなんだって。画像アップロードするだけで結構簡単に作れるみたい」

「じゃあその習い事の子しか持ってないんだ」

「レアだよ、レア」


 ならば、あのお化け屋敷にあったキーホルダーの持ち主も分かるかもしれません。後で堂本くんにキーホルダーのことを伝えておきましょう。


 みやちゃんが可愛いポーチを買って、ラッピングを店員さんに頼んでいます。多分ハルちゃんに渡すものだと思うので何となく見ない方がいい気がして、さり気なくハルちゃんと店の外に出ます。


「あれ?」


 ハルちゃんが何かを気にしています。視線の先を見ると、一瞬お化けかと思ってしまうほど異様な女の人が立っていました。


 髪はボサボサで、服もそこにあったものを適当に着たという感じでしわしわです。そして何より顔が怖いのです。無表情で、目だけがグワッと見開いています。

 きょろきょろと辺りを見回していた女性がこちらを見ました。


「お前が苛めてるのかぁ!」


 唐突に女性が絶叫します。何のことだかさっぱり分かりませんが、女性ははっきりと私達を見ています。「何? 何?」とお店からみやちゃんも出てきます。


「うわっ、にいなママじゃん」


 え? と思って改めて女性を見ると、顔色や髪型などは違いますが確かに校庭で大暴れしていたにいなちゃんのお母さんです。


「貴様! 私に暴力しただけじゃ飽き足らずにいなまで苛めやがって!」

「ぼっ、暴力?」


 身に覚えがありません。


「もしかして集団下校でこの子とぶつかったこと? ぶつかってきたのそっちじゃん!」


 みやちゃんが怒っています。危ないです。おかしい人は刺激しちゃいけないって防犯動画で言ってました。


「ふざけるな、私は被害者なのよ! 土下座しろ! 私とにいなに一生尽くして償え! 逆ギレするんじゃねぇ!」

「逆ギレしてんのはそっちじゃん!」

「うるせえぇぇぇ!!」


 鬼婆と化した女性が突進してきました。至る所から悲鳴が上がります。私も無意識に悲鳴を上げていました。


「止めて下さい!」


 誰かがにいなママを掴んで止めました。島倉先生でした。


「お母さん止めて! 止めて!」


 にいなちゃんが、にいなママに抱きついて止めようとしています。


「にいな、こいつらに怖いことされたのか? おいテメェ、にいなに何させてんた! 死ね、クソ野郎!」

「違うのお母さん」

「大丈夫よ、お母さんが全部やっつけるから。にいなは私の言う通りにしてれば何の心配もないからね」

「お母さん話を聞いて!」


 話しが全然合っていません。そうこうしているうちに警備員が何人も集まってきました。二年生の担任の先生も居ます。


「君達は危ないから帰ってくれないかな」


 未だに暴れているにいなママと格闘しながら、島倉先生が言います。


「は……はいっ」


 震えて動けなくなっていたハルちゃんの手を引いて私達はその場から逃げました。ハルちゃんの手は物凄く冷えていて、震えが止まりませんでした。

 取り敢えずショッピングモールの建物の外に出ました。


「なんか……ヤバかったね」

「みやちゃん、危ないから危ない人刺激しちゃ駄目だよ……危ないよ」

「ごめん、ついカッとして。ハルちゃんも大丈夫?」

「……うん」


 モール内からは流石にもう、にいなママの叫び声は聞こえませんが、とてもざわついています。


「これからどうする?」

「取り敢えずみやの家に来る? 今日は店お休みにしてるから大丈夫なはずだよ」


 みやちゃんの家は、飲食店をやっているお店とくっついていました。みやちゃんのお父さんとお母さんがやっているお店ですが、去年お父さんが入院してからは、みやちゃんと中学生のきょうだいも手伝っています。


「お店の手伝い大変じゃない?」

「大丈夫、大丈夫。もうすぐお父さん退院してくるし、働いた分のお小遣いどっさり貰うから」


 久し振りに入ったみやちゃんの部屋は、前よりもフィギュアやぬいぐるみが増えていました。


「いらっしゃい。飲み物と杏仁豆腐持ってきたわよ」


 前に見た時は疲れて痩せていたみやちゃんのお母さんですが、今はすっかり元通りの明るい人に戻っていました。


「あれっ、ハルちゃん顔色が悪いけどどうしたの? 熱中症?」

「実はさ」


 みやちゃんがショッピングモールであったことを話します。


「ええっ、にいなママって多分、土井さんよね。確かに前から気難しい人ではあったけど、そこまでする人じゃなかったんだけど」

「お母さん、にいなママのこと知ってるの?」

「あの人、昔から何かとトラブル起こしてたから。でも手まで上げるなんて、何かあったのかしら。まぁ、何にせよ気をつけてね。暗くなる前に帰るのよ」


 その後はゲームなどをして遊びましたがそれほど盛り上がらず、私達は早々に解散してしまいました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ