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5-7


 それからは松岡くんに私の知ってる限りの芝原さんのことを伝えたり、山田さんの家にあったプリンター複合機で松岡くんが持ってきたものの一部をコピーしてもらったりしました。


「そうだ、松岡これ分かる?」


 山田さんが持ってきたのは、お化け屋敷の郵便受けに入っていた手紙のコピーでした。松岡くんに大雑把に説明します。


「大胆なことするね」

「お前に言われたくねぇよ」

「流石に難しいよ。この手紙を見つけたのって何日頃?」

「えーっと、どうだっけ?」


 小首を傾げた山田さんがこちらを向きます。

 記憶を辿たどります。あの日は学校帰りだったので平日です。次の日が休みで、山田さんが家に押しかけてきて警察を呼んだり山田さんがお化け屋敷で蛇に襲われて、家に帰ってテレビを点けて……。


「そうだ、ニュースで山本沙那さんのこと知った日……の前の日。金曜日」

「なるほど。その手紙のコピー欲しいんだけどいいかな」

「あ、私も一応欲しいかも」


 コピーされた手紙を受け取ります。やっぱり文字というよりも書き慣れない記号を並べているような拙さがあります。


「これ昔、芝原さん達と仲の良かった人がまだ解読表持ってたりしないかな」


 私が呟くと、山田さんと松岡くんがきょとんとした顔になりました。そうでした、芝原さん達が子供の頃に「しれいしょ」を作って暗号遊びをしていたのを知ったのは夢の中ででした。そもそもあの夢が現実と同じかどうかも分からないのに、迂闊なことを言ってしまいました。


「あー確かに暗号作りは子供にありがちか」

「そうだね。良く見たら切手の消印が凄く古いし、料金も違うね。彼らが子供の頃の手紙なのかも知れない。それが何で今郵便受けに入ってたのかっていう新しい謎が出てきちゃったけど」

「時空超えたか?」

「うーん……佐倉さんのお父さんの持ちものって、まだあったりするかな」

「え、どうだろう」


 ぱっと思い付くものはありません。あるとしたら、危ないから開けちゃ駄目と言われている天井近くの戸棚でしょうか。


「じゃあお前んち行って探してみようぜ」

「もう夕方だからお母さん帰ってくるよ」

「じゃあ明日」

「明日はみやちゃんとハルちゃんと遊ぶ約束なの」


 山田さんが分かりやすく不貞腐れています。


 帰る時間になり、私は松岡くんに送ってもらうことになりました。


「家近くないのにごめんね」

「そっちの方向の店に行くついでだから気にしないで」


 外はもう日が傾いているのに、むわっと暑いです。夏はもうすぐそこまで近づいているようです。


「佐倉さんはお父さんがどんな人だったのか聞いてるのかな」

「ううん。お母さん、お父さんのこと全然話してくれないから」

「そっか」


 アパートまで来ると、そこには作業服を着た人が作業をしていました。そういえば防犯カメラの工事をするといっていた気がします。


「防犯カメラつけるんだ」

「最近物騒だからだって」

「このアパートの大家って、もしかしたら山本っていう名字?」

「え、違うと思うけど。えーっと何だっけ……でも山本ではなかったはずだよ」


 松岡くんが考えています。何でしょうか、とても不安になってきます。すると松岡くんがとても小さな声で話してきました。


「実はね、山本沙那さんの山本家って大地主っていうか旧家っていうか凄い権力を持ってる家らしくって、この町の大半の不動産は山本家絡みって噂があるんだよね。大袈裟に言われてるだけだと思うけど、山本沙那さんも家の恨みで拐われたっていってる人がいるんだ」


 ゾッとしました。そんなミステリー作品みたいなことが私の住んでいる町にあるなんて信じられません。権力とか大地主とかって、ずーっと昔のことじゃなかったのでしょうか。


「何か、お金持ちも大変だね」

「そうだね」


 松岡くんと別れて家に入ります。鞄を置いて、貰ったコピー達を整理します。間違ってもお母さんに見つからないように気をつけなくてはいけません。


 一段落して休憩していると、天井近くにある戸棚が目に入りました。いつもなら気にもならなかったのに……気になります。


「ただいまー」


 お母さんが帰ってきて心臓がドキンとしました。コピーはちゃんと隠しました。他に変なところはないはずです。深呼吸してからお母さんの元へと向かいます。


「おかえり」


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