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4-7


「娘さん?」


 モデルのように整った顔の男性が私を見ています。男の人にしては少し長めの黒い髪に、ガラス玉のように綺麗な瞳でした。じっと見られていたら吸い込まれてしまうんじゃないかと怖くなり、思わずお母さんの後ろに隠れてしまいました。


「驚かせちゃったかな? ごめんね」


 困った顔も綺麗でした。テレビや広告ポスターとかでしか見ないような人が目の前に居ます。しかもお母さんの知り合いのようです。誰なのでしょうか? どういう関係なのでしょうか? 頭がグルグルして、どうしたらいいのか分かりません。


「あれ?」


 凄く聞き覚えのある声がしました。山田さんです。棒の付いたキャンディーを口にくわえたまま店に入ってきます。


「こら、服売り場に食べながら入ってこない」


 男性が山田さんを叱ります。


「食べてない。舐めてる」

「同じでしょう」


 親しそうに男性と山田さんが話をしています。もしかしてお父さんでしょうか?


「そういえば同じ学校でしたね。うちの姪、どうせ学校で迷惑かけてるでしょ? ごめんね」

「うるさいな。迷惑かけられてんのはこっちの方だ」


 男性は山田さんを無視して私の近くまで来て、手を差し出してきました。


「私はこの子の叔母の山田アミラ。宜しくね」

「はい、おば……おば?」


 女の人でした。


 その後は何故か山田さん達と一緒に服を探しました。やたらと試着させられたり何故か山田さんとお揃いにさせられそうになったり、気が付くと靴まで買うことになってました。


「この店私の友達がやっててクーポンいっぱいあるから先輩もどうぞ」

「そんな悪いわよ」

「いいんですよ。先輩は私の恩人なんだから」


 アミラさんは、お母さんに大量のクーポンを押し付けると山田さんの首根っこを掴んで、去って行きました。嵐のような人でした。


 会計を済ませて、私とお母さんはファミレスに向かいました。席に案内されてカラフルなメニューを眺めます。広告やCMでよく見た料理の写真が並んでいます。ここへ来たらあれを注文する、これを注文するとよく想像していましたが、いざ本当に食べられると思ったら何を選べばいいのか分かりません。

 ハンバーグ、オムライス、ドリア、スパゲッティ……どれも美味しそうです。悩んでも決められないので、食べたいものの中で一番安いドリアを注文しました。


 料理はびっくりするほど早く運ばれてきました。チーズたっぷりの熱々のドリアでした。家や給食では出てこない濃厚な味に私は感動しました。


「お母さんのスパゲッティも食べる?」

「じゃあ私のドリアと交換ね」


 幸せです。誕生日でもないのに、こんなに幸せでいいのでしょうか? 何かばちでも当たってしまわないでしょうか?


 金曜日、登校して教室に入るとハルちゃんが走り寄ってきました。


「お祓いの話聞いた?」


 初耳だったので私は「ううん」と言いながら首を振りました。ハルちゃんの話では、クラスの希望者で集まって日曜日にお祓いを受けに行こうということらしいです。詳しく訊くと集合場所は家から遠くて、お金もかかるみたいです。


「私は行けないと思う」

「そっか。みやちゃんは?」

「うちも用事があるからなー」

「分かった、伝えてくるね」


 そう言ってハルちゃんは他の女子の所へと行ってしまいました。


「ずっと学校で語り継がれてるお化けって、お祓い一回くらいで何とかなるのかな」


 みやちゃんが呟きました。確かにそれで済むのなら、もっと早くに何とかなっていそうです。そもそも私には、今の状況が黒姫さんや他の怪異的なもののせいではない気がしています。


「でも、それでみんなが安心するならそれでいいのかな」

「そうだね」


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