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4-3


 学校が終わり、いつも通り集団下校のために校庭に向かいます。最初のうちは時間のかかった集団下校ですが、何日も繰り返していると慣れてきて、すぐに集まってさっさと下校が始まります。どんどん家に到着する時間が早くなって、暇な時間が増えていきました。


 今日は雨は降っていません。でも空は墨で塗ったかのように真っ黒です。それなのに木や家は明るくはっきり見えて、こんな日は大体凄い雨になるのです。

 お化け屋敷の前を通りかかります。黒くなった空のせいで一層不気味になったお化け屋敷の前では、目を閉じたり、何故か息を止めたりして走り抜ける子供ばかりでした。私もあまり見たくありませんでしたが、目の端にお化け屋敷の庭が映りました。

 雑草がありません。


 驚いてじっと見てしまいました。雑草は短く切り揃えられていて、元々あったらしい植木鉢を置く棚や空っぽのプランターなどがよく見えました。


「佐倉ちゃん!」


 お化け屋敷の鍵を持っていたおばさんの声がします。振り向くと家の玄関から顔を覗かせていました。


「キーホルダー見つかったわよ。草刈りをしてくれた人が見つけてくれたの」


 おばさんが手に持っていたキーホルダーは、愛らしい青い猫のアクリルキーホルダーでした。


「あの、えっと、私のじゃないです」


 私が放り投げたのは、おじさんのイラストのキーホルダーです。


「あら、そうなの? 他にもキーホルダー落とした子が居たのかしら? ごめんなさいね。もう少し捜してみるわ」


 もう大丈夫ですと言いたかったのですが、大切なキーホルダーと説明してしまっていたので、なかなか言い出せません。嘘をついてはいけないのは、こうやってどんどん大変なことになってしまうからかもしれません。


 アパート近くまで帰り、地区のみんなと別れます。家に向かうと、大家さんと灰色の髪のお兄さんが話をしていました。


「あ、学校帰り? おかえりー」


 お兄さんが親しげに手を振ってます。


「何か、防犯カメラ付けるんだってー」

「防犯カメラはもう付いてるんだけどね、ほらあそこ」


 指差された一階一番奥の所に、確かにそれらしいものが付いていました。全然気がつきませんでした。


「でも死角が多いから増やすか場所を変えるか」

「あのカメラ、二階映んないっすよねー」

「一応階段は映ってるから」

「でも、あそこの柱をよじ登ったらさ」

「そこまでアクティブな犯人なら、どのみちカメラも壊すよね」


 お兄さんと、絡まれてる大家さんにサヨナラを言って家に入ります。


 テレビでは相変わらず暗い気持ちになるようなことばかり言っています。点けたばかりのテレビをすぐ消して本を読みます。でも集中できなくて本も読めません。何だかずっとモヤモヤします。どうしてこんなことになったのでしょう。


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