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聖女巡礼録 追放された聖女は敵国を旅することにした  作者: 深雪
序章 祈りの果て、旅の始まり
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序章 第一幕:見捨てられた聖女 第8話 後編

「さすが、ボンパドゥール伯爵家ですね。自前で馬車を用意するとは」

そう言って、リュカはマリーの手を軽く引き、窓辺へと導いた。 マリーが窓を覗くと、ボンパドゥール伯爵家の家紋が入った馬車が神殿の前に止まっている。深い藍色の車体に銀の紋章が浮かび上がり、陽の光を受けて静かに輝いていた。


「マリー、そろそろ、作戦会議しない?」

クララが勢いよく部屋に飛び込んできた。手には紙束、瞳は期待に輝いている。だが、次の瞬間、彼女の足が止まった。

「……えっ、リュカさん?!」

クララの声が少し高くなる。驚きと警戒が混じった視線が、部屋の隅に立つ青年に注がれる。続いて入ってきたカミーユも、扉の前で立ち止まり、眉をひそめた。

「どういうことですか、マリー様。なぜ彼がここに?」

マリーは少し気まずそうに笑いながら、二人に向き直る。

「昨日、正式にお願いしたの。旅の護衛として、リュカさんに同行してもらうことになったの」

「護衛って……リュカ・ドゥ・ロレーヌが?」

クララは半ば信じられないような顔でマリーを見つめる。その視線には、驚きと戸惑い、そしてほんの少しの不安が混じっていた。


「まさか、あのリュカ様が私たちと一緒に旅を……」

カミーユはリボンを結びなおしながら、小声で呟いた。彼女の声には、貴族としての警戒心と、予期せぬ展開への困惑が滲んでいる。

リュカは肩をすくめて、穏やかに微笑んだ。

「ご安心を。あくまで護衛として、皆様の安全を第一に行動します」

クララはマリーの腕をそっと引き寄せて、耳打ちするように言った。

「ねえ、マリー……本当に大丈夫なの? この人、冷静すぎて何考えてるかわかんないよ」

マリーは小さく笑って答えた。

「でも、すごく誠実な人だよ。私、信頼してる」

クララはしばらく黙っていたが、やがてふっと息を吐いた。

「……なら、信じてみる。でも、作戦会議ではちゃんと話し合うからね。役割も、方針も、全部」

「ええ、それなら、お父様に別荘をお借りしましたので、そちらでゆっくりと話しましょう」

その声は落ち着いていたが、リュカに向けられた視線は、まだ完全には氷解していなかった。


第9話で第一幕は終了です。第二幕でヴェルナーラ皇国に行くための作戦会議をします!

第二幕でリュカとアンリの関係が明かされる……かも?

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