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34話 第三試練『脱出せよ! 屋敷ダンジョン』

「第三試練『脱出せよ! 屋敷ダンジョン』の開幕です!」


 床からシャンデリアが生え、壁や天井には妙な家具、通路は複雑に入り組んだ、ダンジョンと化した屋敷の中。


 私とマルはバルコニーらしき場所に立ち、次の試練について説明を始めた。


「と、いうわけで! 第三試練『脱出せよ! 屋敷ダンジョン』の開幕です! これから皆さんには、このダンジョン内を探索し、出口を開ける為に必要なドアの鍵を発見していただきます!」


「鍵一つにつき一人外に出られるよ! 鍵は挑戦者の人数分ちゃーんとあるから安心して探してねぇ!」


「人数分……?」


 マルの発言に挑戦者数名はざわつく。人数分ある鍵に、何やら裏があると察したらしい。


「出口は皆さんの前にある大きな扉です! 分かりやすいでしょう?」


「後は鍵だけだね! でも、ただ鍵を探して回るだけじゃつまらないよねぇ? だから、ダンジョンに素敵なお友達を追加しようと思うんだ!」


 私の隣に立つマルは、満面の笑みでそう発言しながら私の肩をポンと叩いた。


「ねえジギちゃん! このダンジョンでかくれんぼもしたらもっと楽しくなると思わない?」


「いいね! すっごく楽しそう!」


 挑戦者六名は、私達が織りなすバカバカしい茶番を恨めしそうに見つめている。


「と、いうわけで……ルールをもう一つ追加しちゃうよ〜!」


 マルが指をパチンと鳴らすと、私は一瞬でバルコニーからダンジョンの内部へと移動した。

 私の移動した先には、巨大な鳥籠のようなものが設置されている。


「追加するのはズバリ、かくれんぼ! 皆んなは幼い頃に遊んだことはあるかな? すっごく懐かしいよねぇ〜!」


 恐らく挑戦者達の前にモニターが現れ、私と巨大鳥籠が映し出されていることだろう。


 私は真正面にある、挑戦者達を映し出す大きな鏡を眺める。


「このダンジョン内をジギタリスさんが歩き回るよ! 彼女は発見した挑戦者を速やかに確保しに向かうよ! 捕まったらあの大きなカゴに放り込まれてゲームから脱落しちゃうよ!」


 マルの説明に表情を強張らせる挑戦者達。そんな彼らを安心させるかのように、マルは笑顔で更に説明を続けた。


「でも大丈夫! 捕まった挑戦者は救出できるよ! 1人につき鍵一つでね!」


 そう。捕まった挑戦者を救出する為には、外に出る為の鍵を一つ消費しなければならない。


「やっぱり……!」

「簡単すぎた訳だ……」


 挑戦者達はある程度予測できていたらしい。それでも挑戦者達の中に緊張か走ったのが分かった。


「じゃ、長々と説明を聞くのも飽きてきただろうし、もう始めよっか! よーい……スタート!」


 マルは再び指を鳴らす。バルコニーにいたマルの姿が消え、ダンジョンの奥にいた私の前に姿を現す。


「ガンバッ!」


 マルは私に励ましの一言を告げると、私の前から姿を消した。


「さーて、とりあえず歩くとしますか」


 私は独り言を呟きながら、めちゃくちゃなダンジョン内をゆっくり歩き始めた。ダンジョン散策メインで、挑戦者達の確保は二の次だ。

 私が手加減しなければ、あっという間にゲームは終了してしまう。それだけは避けなければ。


─────────────────────


「救済処置はあるが、誰かを助ける為には別の誰かを犠牲にしなければならない……というわけか……」


「捕獲されたらそれまでとしよう。自己責任だ」


「しかし、仮にリーダーが捕獲されたら……」


「リーダーの実力がそれまでだったということだ」


「とにかく自分が助かることだけ考えるんだ。捕獲についてはこれ以上は議論しないぞ」


 ダンジョン内に残された挑戦者達は、輪になって静かに話し合いをしていた。

 いつ悪魔が出てくるか分からないので、手短に済まそうとしているようだ。


「相手は悪魔だ、真っ向勝負を仕掛けたら確実に負ける。ダンジョン内は悪魔と出会わないように隠れながら進むんだ」


「分かりました」


「で、出口となる扉はあれだな……」


 リーダーのアッシュは前方にある大きな扉を見つめる。大きな錠のついた豪華な扉だ。


「もし鍵を二つ以上発見したら、余った鍵をこのチェストに入れておくんだ」


 アッシュは壁から生えたチェストの一つを引き出しながら説明する。


「これで鍵を持たない人にも渡せる。では解散だ、各自慎重に行動するように」


 アッシュが締めの言葉を告げると、挑戦者達は四方に散らばり探索を始めた。



(それにしても……ここ、色々あるな……)


 弓使いのエレキは、辺りを警戒しながらダンジョン内を探索する。


(これって……もしかして、光水晶か?)


 光水晶は僅かな魔力で光を放つ、非常に高価な宝石だ。


(こんなデカい水晶なら、地上で売れば……いや、そんなこと考えてる暇はないな。まずは鍵を……)


「エレキ」


「うわっ!?」


 唐突に名前を呼ばれたエレキはその場で飛び上がった。驚くエレキに謎の声は「騒ぐな」と一言告げながら、動揺するエレキの前に姿を現した。


「フ、フォレス……」


「騒ぎすぎだ馬鹿者。それより、いいものが見つかった」


「いい物……?」


 フォレスは密集する家具の隙間に身を隠しながら話を続ける。エレキも家具に身を潜め、フォレスの話に静かに耳を傾ける。


「単刀直入に言う。魔神を拘束できる素材が手に入った」


「はぁ?」


 話の真意が分からず困惑するエレキに、フォレスは改めて本題を口にした。


「これで悪魔を拘束する『拘束弾』を作成する。奴らのゲームを壊して此処から脱出するぞ」

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