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31話 第二試練『駆け抜けろ! フォレストロード』

「さて、罰ゲームも済んだ事ですし、次のゲームに進みましょう! ……と言っても、既に始まってるんですけどね」


「……は?」


 私の発言に顔を上げる挑戦者達。それと同時に、挑戦者達の立つ床が一人でに動き出した。


 挑戦者達は棒立ちのまま、私達から少しずつ離れていく。第二試練開始の合図だ。


「な、何だコレ……!? 床が勝手に……!」

「キャーッ! 後ろ! 後ろ!」


 攻撃特化魔法使いが甲高い叫び声を上げ、しきりに後方を指差す。第一試練をクリアした挑戦者が先程出てきた出口だ。


「うわあっ!?」


「何も……ない……!?」


「大穴が空いたんだ……!」


 第一試練の会場だったものは、突如発生した巨大な大穴に吸い込まれてしまった。木製の建物が重力に従い落下していく。


 そして挑戦者達を乗せて動く床は、真新しい奈落に向かってじわじわと移動していた。



「走れーーーーっ!!」



 アッシュは大声でそう叫ぶと、仲間と共に全力で駆け出して奈落から離れ始めた。

 その間にも床はどんどん速度を上げていく。両隣に置かれていた木のオブジェも動く床に巻き込まれ、奈落へと転がり落ちていく。


「皆んなもっと走って! このまま立ち往生してたらみんなあの奈落に放り込まれる!」


 ミリアの鋭い指示に、その場にいた挑戦者全員は更に脚の速度を早める。


「やばいやばい! あれどれくらい深いんだよ!」

「あの建物が地面にぶつかる音が聞こえませんでした! あれ相当深いと思います!」


 弓使いと治療系魔法使いは全力で走りながら大穴の考察をしている。


「このシチュエーションの簡単なご説明をしましょう! ファントムスケルトン巣食う恐ろしいダンジョンから命辛々抜け出した挑戦者達は、穏やかな森へと戻って来ました」


「だけどさっき入ったダンジョンは突如として崩壊、その影響で周囲にとんでもない大穴が空いたみたいだねぇ!」


「と、いうわけで……第二試練開始です! これから皆さんには、あの大穴から全力逃走していただきます!」


「何だよそれ!?」


 私とマルはこの現場の簡単な説明をしてから再び現場から姿を消し、MCのいるメインスタジオに戻った。

 その辺りで再びMCバレンの実況が始まった。


『さあ始まりました第二試練! 『駆け抜けろ! フォレストロード!』の開幕です!』


『今回のルールはこの私、バランが解説させていただきます!』


(名前バランだった……)


『ルールは簡単! ベルトコンベアの上を走り続け、何とかして挑戦者の皆様の目の前にあるゴールに辿り着かなければなりません!』


 挑戦者達が全力疾走する先には豪華な門。門の前の床は一切動いていないことから、そこだけは安全地帯だということが分かる。


『しかし、誰もゲームをクリアできなかった場合は、挑戦者の中から二名が脱落した時点でこのゲームは終了となります!』


「くっ……!」


「あそこまで行かないと助からないの……!?」


 頑張れば全員助かるが、魔力が殆ど無い上に体格も職業もバラバラ。全員が助かる確率は低いだろう。

 だが、二名ほど犠牲にすれば、残った挑戦者達は全員助かる。


「待って……! これかなりキツいっ……」


 攻撃特化魔法使いは既に息が荒く、弱音を吐いている。


「頑張れ! とにかく向こうまで全速力で……うわっ!?」


 そんな挑戦者達をあざ笑うかのように、前から大きな倒木が流れてきた。


「うおっ!?」


「障害物まであるのかよ……!」


 挑戦者達は障害物をなんとか飛び越えて走り続ける。倒木はそのままベルトコンベアで後方へと移動し、そのまま奈落へと落下していった。

 段の上にゴールがあり、下の段の排出口から障害物が次々と飛び出している。


「距離はさほど遠くはない! とにかく向こう側まで走るんだ!」


 全員が驚き戸惑う中、アッシュは一切弱音を吐かずに仲間を励ます。


「はぁ、はぁ……」


 仲間達は全力でベルトコンベアの向こう側を見つめ、一心不乱に走り続ける。


「…………」


 だが、治療特化魔法使いの女性は何か思いついたのか、途端に冷静になり周囲に目を光らせ始めた。


 両側の壁は既に崩壊済み、前方からは横に倒れた大木、天井の高所にはまだ枝葉のセットがぶら下がっている。

 天井にぶら下がる枝はそこそこの強度がありそうで、足がかりがあれば届きそうだ。


「……やるなら今しかない! やあっ!」

「うわっ!?」


 治療特化魔法使いの女性は突然飛び上がり、前方から流れてくる倒木を踏みつけ、一際大きな大ジャンプを見せた。


 おおっとメインスタジオで歓声が上がる中、治療特化魔法使いは天井にぶら下がる太い枝に捕まり、勢いを利用して前方にある枝に次々と飛び移っていく。


「それっ!」


 お猿のように器用に枝から枝へと移動した治療特化魔法使いは、ついに出口である豪華な扉の前へと到着したのだった。


「レフ!」


「な、何とかなりましたぁ……!」


 レフと呼ばれた治療特化魔法使いは息を整えながらも、仲間達に笑顔を見せた。


『なんと! 挑戦者の一人が天井のセットを利用し、あっという間にゴールに辿り着きました! まさかの一番乗りです!』


 真下のベルトコンベアとは違い、天井のセットは一切動かない。


 なので身体能力に自信のある人間は、ベルトコンベアで流れてくる障害物を利用して天井の枝に捕まり、枝から枝へと移動する。これも一つの正解ルートだ。


『さて、残る挑戦者は六名! この中から次にゴールするのは一体誰なのでしょうか!』

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