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22話 新しい姿

 私の育てたゴーレムはまん丸の可愛い容姿から、全体的にシュッとした、どこかウサギを彷彿とさせる人型フォルムに変化した。


「カッコいい〜!」


 長い耳、細い腕、エネルギーを感じる大きな脚。私のゴーレムはとてもカッコいい姿に進化したようだ。


「思っていた進化とは違うけど、これはこれで中々いい感じじゃない?」


 本当はタイヤゴーレムを仲間にしてバイクのような姿に進化したかったが、タイヤゴーレムは一体も仲間にならなかった。


 唯一仲間になったのは、目玉のような見た目の小さなゴーレム「アイゴーレム」のみ。


 アイゴーレムは辺りをキョロキョロと見回して辺りを警戒してくれるが、共に戦える力は無い。


 時折ビームを出しているようだが、大した威力は出ない。育てなければまともな戦力にはならないだろう。

 なので、巨大ゴーレムとの戦いには参加させず、安全な場所にアイゴーレムを隠していたのだった。


 そんなアイゴーレムはつい先程、成長を終えたウサギ型ゴーレムの前に姿を現し、ウサギ型ゴーレムの肩にピョンと飛び乗った。


「アイゴーレム! 無事だったんだね、良かった良かった」

「♪」


 私はアイゴーレムの頭を指で軽く撫でる。アイゴーレムは嬉しそうに目を閉じ、私に静かに撫でられている。


「……それにしても、最初に思い浮かべた進化とは違う姿になったなぁ。ま、これはこれで速そうでいい感じだけど!」


 ゴーレムの全身を眺める三人称視点からゴーレム視点に戻ったところで、私はゴーレムの性能を確かめるべく、その場で軽く飛び跳ねてみることにした。


 大きな脚で地面を軽く蹴っただけで軽々と木を飛び越えた。金属質の身体は軽くて動きやすい。

 アイアンゴーレムだった時より遥かに強化されているだろう。


「凄っ! これならさっきの巨大ゴーレムが三体来ても余裕で返り討ちにできるでしょ!」

『ジギさん、無事に移動に適したゴーレムを作成出来たようですね』

「あ、ルートの声だ」


 少し前から姿を消していたルートの声のみ聞こえてきた。


「ルート、ようやく進化出来たよ!」

『フルプレートラビットですか、中々素晴らしいゴーレムに変化したようですね。パワフルなジギさんらしい移動用ゴーレムです』


 どうやら私のゴーレムはフルプレートラビットという名のゴーレムに変化したらしい。


「そんな名前なんだ……で、ルートはさっきまで何処に行ってたの? と言うかルートは今どこに居るの?」

『此処です』

「?」


 私は声のする方を向くが、ルートの姿は一切見えない。


「!」


 が、唐突に私の肩に停まっていたアイゴーレムが飛び跳ね、複雑な電子音でルートの居場所を知らせてくれた。


「真下の草陰……?」


 私はアイゴーレムが教えてくれた位置を凝視する。


「…………あっ!」


 しゃがんで目を凝らした所でようやくルートのゴーレムらしき物体を発見した。


「ルート!? 私の見てないところで何があったの!?」

 

 ルート操るゴーレムは、飴玉より小さな極小サイズに縮んでいた。


『その辺で軽く転倒しただけです』

「鉄製のボディが剥がれるほどの大転倒でもしたの!? 大丈夫!?」

『かすり傷です』

「嘘つけ!」


 私は慌ててルートゴーレムの元に駆け寄る。


『大丈夫です。これは私が狙った進化なので……』

「ええっ!? 何言ってんの!?」


 私は更に身を屈めてルートに詰め寄る。


「ルート話してたじゃん! 地獄で使う乗り物を作りましょうって! それじゃあ人を乗せるどころか何も持てないでしょ!?」

『物理でなら魂一つくらいギリいけます』

「無理だよ! そのゴーレムじゃ角砂糖一つ程度しか運べないよ!」

『見習い死神並の力はあると自負してます』

「多分その姿クワガタよりギリ上の性能だよ! あと見習い死神馬鹿にすんな!」


 私は小さなゴーレムに向かって全力で叫ぶ。

 

『まあまあ、そんなことより……皆さんがどのようなゴーレムを作成したか、ジギさんは気になりませんか』

「えっ? ええと、まあ……気にはなるけど……」


 唐突に別の話題に変えられ、私は呆気に取られながらも返事をする。


「乗り物に適したゴーレムと一言で言っても、一人一人で育成方針も違うだろうし、ゴーレムの個性もすごく出そうだよね」

『では、皆さんの様子を覗きに行ってみますか?』

「行けるの?」

『勿論、この私を誰だと思っているのですか』

「洒落た弾丸……かな」


(まあ、このダンジョンを作ったルートならダンジョン内の移動も簡単だよね。ルートが育てたゴーレムはすごく小さいけど……)


『とりあえず唯一生き残っているリリさんのゴーレムの元へと行きましょう』

「はーい……って、唯一生き残ってる?」

『はい。死神のブレット様とマル様のゴーレムは破壊されました』


 死神はともかく、割と戦えるマルまでやられるとは思ってもいなかった。


「リリさんは割と頑張ってるんだね。このダンジョンで生き残れるなんて……」

『死神も頑張ってますよ。私も頑張りました』

「そうなんだ……」


(ルートも真面目に育てたのかな……こんな小さなゴーレムでも、きっととんでもない強さを持ってるんだろうな)


『ではそろそろ移動しましょうか。準備は宜しいでしょうか』

「うん、大丈夫だよ。で、どうやって……」


 私が台詞を言い終える寸前、ルートは唐突に宙に浮かび上がった。


 そして次の瞬間、私達のいる場所が草原から溶岩地帯へと変化した。


「うわっ!? これってまさか……瞬間移動!?」

『その通り』


 ルートのゴーレムは宙に浮かんだまま答えた。


『私のゴーレムは超能力が使えます。空中浮遊は勿論のこと、瞬間移動で自分だけでなく様々な物体も運搬できます』

「ええっ!? そのゴーレム超能力使えるの!?」

『この力さえあれば、力が無くとも大量の物資を運べます。私のこと、見直しましたか?』

「お、おみそれしました……」


 ルートの育て上げたゴーレムは、私の思ってる以上に強力なゴーレムだった。恐らく……いや、私のゴーレムでは確実に勝てない相手だ。

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