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14話 ダンジョン作成準備

 前回のあらすじ【大魔将ビーハイブの部下は根こそぎ調理された】


「さて、これからダンジョンを作成しましょう」


 よく晴れた翌日。元の土地に戻った私達は、街の中にある工房のような場所に集合していた。作業場ではゴーレムが宝石を加工して何かを作成している。


 私とマルは大きなテーブルの席につき、ルートの説明を真面目に聞いていた。


「これから我々が作成するのは、モンスターダンジョンです」

「モンスターダンジョン……」


 昨日街の下から姿を現したダンジョンゴーレムも恐らく、ルートの言うモンスターダンジョンなのだろう。


「名前は単純ですが、ダンジョンのクラスは最高位。地上に存在するダンジョンの中でも最高位の魔物です」

「その魔物ってダンジョンなのに動ける奴なんだよね? 昨日見たあのダンジョンゴーレムみたいな」

「その通りです。ゴーレム工場もまた、私が作成したモンスターダンジョンです」


 ルートはテーブルの上に置かれた材料を前に説明を続ける。

 私の隣にいる作業服姿のマルは、いつもより真面目な様子でルートを見つめる。


「モンスターダンジョンを作成するには、それなりに強力な魔力核が必要となってきます。大魔将クラスの核と、上質な材料さえあればモンスターダンジョンは完成します」

「で、素材は既に揃っているんだね?」

「はい。今ここの場に、ダンジョンの素がございます」


 ルートはテーブルの上に置かれた材料をまとめる。


「この素材を使えば、モンスターダンジョンが生まれるんだね」

「はい。ですが、ただ単純にダンジョンを生み出せばいいというわけではございません」


 ルートは材料をまとめて箱に戻しながら話を続ける。


「我々の目的は魔神の保護。魔神を守れるほどの知能と力を持つ魔物を生成できるダンジョンを作らなくてはなりません」

「あ、そっか。例え生まれた魔物が強くても、魔物がちゃんと言う事聞いてくれないと意味ないよね」


 魔物が従順だったとしても、それを理解し臨機応変に動けないと護衛は務まらない。


「……まあ、モンスターダンジョンなら下手に精製しても実力の高い魔物は誕生することでしょう。今の一言は忘れてください」

「さっきの時間返してくれる?」


 ルートは私の発言を無視し、テーブルの側に置かれていた大きな宝箱を持ち上げた。


「この箱の内容物によって、ダンジョンの中身が変化します。植物を入れれば大自然ダンジョン、魚介類を入れれば海底ダンジョン、箱の中身次第で多種多様なダンジョンを作成できます」

「えっ、かなり責任重大な感じ? 箱の中身はしっかり考えないとじゃん」


 だが、箱次第でダンジョンの中身が決まるのは楽しそうだ。


「ねえルート、その箱の中に何を入れるの?」

「いえ、今回は別の方にダンジョン作成を依頼したいのです。私では考えつかないようなアイディアを生み出せる方を……」


 そう言うとルートは、手に持っていた大きな箱をマルに差し出した。


「今回作成するダンジョンの中身は、マル様に決めていただきます」

「ええっ!? いいの!?」

「はい。好きな物を放り込んでください」

「いやいやいや! そんなこと言われても!」


 ダンジョンの中身を任された方は責任重大だ。マルは慌ててルートに言葉を返す。


「ルートくんとは出会ってからまだ数日しか経過してないんだよ!? いいの!?」

「大丈夫です。この世界の冥界王から、貴方の話はよく聞いています。仕事をきっちりこなす真面目な方だと」

「いやいや……」


 マルは、不満そうにしながら目の前の材料を見つめる。


「ルートくん、簡単に言うけどさぁ……もし僕がダンジョン生成に失敗したら、その時はどうするの?」

「大丈夫です、箱に入れる素材は私も確認するので。もし失敗したらこの星を貴方に差し上げます」

「ちょっとやめてよ! そう簡単に星の所有権を手放さないでってば!」


 冗談か本気か分からないトーンで言われ、マルは分かりやすく動揺する。


「ダンジョンの中身を作るのは楽しそうだけども……うん、分かった。とりあえずやってみるよ!」

「ありがとうございます」

「ルートくん、僕はダンジョン作成初心者だからね! もしダメな所があったらしっかり教えてね!」

「はい、勿論」



 と、いうわけで……



「作りたいダンジョンの中身になりそうな物を持って来たよ!」


 マルは大急ぎでダンジョンの素材を集めに飛び出し、頑丈そうな鞄を手に再び工房へと戻って来た。


「マル様、ありがとうございます」

「マル、何持って来たの?」


 私とルートはマルの元へと歩いていく。


「とりあえず楽しそうな物持って来たよ!」


 マルは大きな鞄を開け、大きなテーブルに材料を置いていく。


「えーと……ボール、クラブ、派手な衣装……何だか、全体的にサーカスを彷彿とさせる物が多いね!」

「うんっ! 僕、楽しい場所が大好きなんだ! サーカスっぽいダンジョンを作ってみたかったから、素材もこんな派手になったんだ!」


 マルが持って来た道具はどれも派手だった。しかし道具の一つ一つをよく見ると、魔法がかかっていたり、上質そうな素材が使われていたりと、ダンジョンの質を高めてくれそうな物ばかりだった。


「素晴らしい素材ばかりですね……おや、こちらには魔導書、杖、マジックボールなどの魔法道具も揃っております。サーカス道具が拒否された時の代替品でしょうか、やはり真面目な方ですね」

「あっ! 勝手に出さないでよ!」


 ルートが鞄から勝手に取り出した質の高い魔法道具を、マルは奪い取るように取り戻しては恥ずかしそうに鞄に戻していく。


 楽しい事が好きなハイテンション悪魔かと思いきや、しっかり予備まで準備していたとは。彼はルートの言う通り、意外と真面目な性格らしい。


「……で、ルートくん。この素材はどうかな? 大丈夫そう?」

「合格です」


 ルートはマルの出したサーカス道具に触れ、満足そうに頷いた。


「この素材があれば、私でも予想だにしないトリッキーな魔物が生まれる予感がします」

「やったー!」


 ルートから合格を言い渡されたマルは嬉しそうにはしゃぐ。


「では、早速ダンジョンを作りに行きましょう。荷物をまとめたら広い土地まで移動しましょう」

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