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11話 凶龍ビーハイブ

 闇に覆われた荒地にそびえ立つビーハイブの城。


 その城の前には、髭の生えた王様のような姿をした巨大なゴーレムが仁王立ちしていた。


「…………」


 巨大ゴーレムは城を睨むだけで、城に一切攻撃してこない。


(悪魔ルート……一体、何を企んでいるんだ……?)


「ビーハイブ様! 凶龍を呼び起こしてきました!」


 ビーハイブが目の前のゴーレムを睨みつけていると、秘書のリザードマンが慌ててこの場に現れた。


「凶龍を呼び覚ます準備が整いました! いつでもこの場に呼び出せます! ……ビーハイブ様、如何なさいました?」

「……あのゴーレム、先程から何もしてこない」

「えっ?」


 ビーハイブの言葉に、秘書は慌てて前方の巨大ゴーレムを見つめる。


「なっ、何もしてこない……のですか? 何の動作もしないと?」

「あのゴーレムは囮かと思ったが、この場の何処かにルートの気配がする……援軍らしき、高魔力反応も複数ある。明らかに、我々を狙って攻めて来たとしか思えない……」

「で、では何故……」

「考えられることは幾つかあるが、思い当たる事としては……奴は恐らく、我々を一瞬で灰燼に帰すつもりだ」


 ビーハイブがそう結論付けたその時、巨大ゴーレムの口から凄まじい閃光が発生した。


「うわっ!? 巨大ゴーレムから高魔力反応! あのゴーレム、高威力な魔法を放とうとしています!」

「ただ睨みつけていただけではなかったということだ。大人しかったのではなく、魔法の準備動作をしていた……と、いうわけか」


 巨大ゴーレムの高魔力に、秘書は驚き慌てる。対するビーハイブは平常心のまま、巨大ゴーレムを睨みつけている。


「恐らくルートは、メラゴのように我々を跡形もなく消し飛ばそうと準備をしていたんだ。全く、悪趣味な奴だ……」

「どっ、どうしましょう……!」

「大丈夫だ、この場から脱出はいつでもできる。俺が本気を出せば奴を仕留められるだろうが……」

「それは最後の手段、ですね……」

「そうだ。だからここは、凶龍で奴ごと全てを潰す」


 そう述べると、ビーハイブは水晶に魔力を込めた。



「来い、凶龍ビーハイブ」



 荒れた大地から地響きが発生し、遥か遠くで大きな裂け目が発生した。


「おぉ……!」


 巨大ゴーレムの後方に見える大地が盛り上がり、裂け目がより一層深くなっていく。


 

 やがて裂け目から凄まじいエネルギーが発生。途方もない高魔力と共に、巨大ゴーレムを超える大きさの化け物が現れた。



『オオオオオ……!』



 荒々しい外骨格を身に纏う、黒く輝く巨大な龍の発生に、ビーハイブと秘書は胸を高鳴らせる。


「まさか、この龍を使役する日が来るとは……!」


「あの伝説の龍こそがビーハイブ様の名前の由来であり、ご先祖様……!」


『ギャォオオオオオオオオオ!!』


 凶龍の叫びは世界を振動させ、周囲の環境を呆気なく破壊していく。


「うわっ!?」

「凄まじいな……」


 魔法壁で守られた城ですら、その余波によりボロボロと外装が崩れていく。


「…………」


 王様型の巨大ゴーレムは凶龍の発生に気付き、魔法を準備したまま凶龍へと全身を向けた。



 刹那。巨大ゴーレムの顔面から凄まじい光線が放たれた。



 城すら飲み込めるほどに巨大な光線は、視線の先にいる巨大な龍を的確に捉えている。龍は光線に向かって大口を開ける。



 光線は龍にぶつかった。衝突音が鳴り響き、衝撃が周囲に広がる。



「おぉ……! 凶龍ビーハイブが……!」

「光線を飲み込んでいる……」


 凶龍ビーハイブは、巨大ゴーレムから放たれた光線に喰らい付いていた。まるで光線を食べ物として捕食しているような、そんな姿だった。


「とんでもないな……」

「かつて世界に君臨していた伝説の龍だけあって、その実力は想像を遥かに超えています……!」


 凶龍ビーハイブは光線に喰らいつき、飲み込んでいき、やがて光線を全て腹の中に納めてしまった。


「あの高魔力砲を全て……!」


「飲み込んでしまったな……」


 凶龍の全身には、巨大ゴーレムが放った魔力が蓄えられている。全身が紫色に輝き、今にも放出されそうだ。


「これで終わりではない……凶龍ビーハイブの本領は、ここから発揮される……!」


 ビーハイブ達が見守る中、凶龍は一層輝きを増し、身体を大きく膨らませていく。


「凶龍ビーハイブはマナも魔力も全て喰らい、体内で増幅させて力に変換する……」


 凶龍は巨大ゴーレムの背丈を遥かに超えていた。


「もはやあのゴーレムなぞ、我々の敵ではない……」

「ビーハイブ様が凶龍を自在に操れるようになるまで封印を施していましたが……まさか、ついにその時が訪れるとは……!」

「フフフ……! これで俺は大魔将の中で最強……いや、魔王様の側に立てる……!」


『オオオ……』


 凶龍は大口を開け、轟音を轟かせながら巨大ゴーレムに向かって歩いていく。もはや凶龍にとって、巨大ゴーレムは敵ではない。


「フハハハハ……! 行け、凶龍ビーハイブよ! 悪魔ルートの最終兵器をその力で破壊し尽くせ!」


 勝ちを確信したビーハイブがそう叫んだ瞬間。



 ド ォ ン !



 猛威を奮っていた凶龍ビーハイブは、天から果てしなく巨大な柱のような物によって呆気なく押しつぶされてしまった。

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