父の秘密
私の父はサラリーマンだ。
平日は朝から出勤して夜や日が変わる前には帰ってくる。
いたって普通の父親だと思っていた。
そう、あの日までは!!
私は週2回塾に通っている。
帰り道友人と明日の学校の部活動の話をしていたら、ラーメン屋の前を掃除している男性とぶつかりそうになり、思わず「すいません!」と言うと向こうも「すみません!」と言って目が合った。
ミホ「え!!お父さん?!何してるん?」
朝普通に出勤した父がなぜかラーメン屋で働いている。
父「ミホ、このことは母さんには黙っててくれ!!」
ミホ「お母さんに言ってないの?何で?」
もう訳が分からないが、とりあえず父から口止め料として、お小遣いを少しとラーメンを一杯ご馳走してくれた。もちろん友達の分もだ。
それからと言うもの私は毎週塾帰りに父の働いているラーメン屋に通うようになった。
父の秘密を知ってからもうかれこれ3ヶ月になるが家ではいつも通りの様子だ。仕事にも普通に朝からスーツを着て出掛けていく。
今日こそ何故ラーメン屋で働いているのか理由を聞いてみたくなったので、(口止め料とラーメンは惜しいが)塾帰り父が働くラーメン屋で聞こうと決意して向かった。
ガラガラ(ラーメンの戸を開ける音)
ミホ「お父さん。今日も来たでー!あのさぁー何でお父さんはラーメン屋で働いてるん?」
父「それわなー。実はラーメン屋を開きたいって言うのがお父さんの小さい頃からの夢なんや。」
ミホ「へー!そうやったんやー!そんなん知らんかったわ。」
私はお父さんのお小遣いがめっちゃ少ないから、遊ぶお金欲しさにバイトしているのかと思っていた。
ミホ「でも仕事終わってからバイトしてって大変ちゃう?」
父「ラーメンにはお父さんのロマンが詰まってるからな!半年後には脱サラして、屋台ラーメンしようと思ってるから手伝ってくれよ!」
ミホ「脱サラって、お母さんは知ってんの?!」
雲行きが怪しくなって来た。
父「とりあえず母さんには反対するに決まってるから辞表出して、キッチンカー買ってから言うわ。」
めちゃめちゃやん!!強行突破すぎるやろ!
この平和な日も後半年だけかぁー。。。
あかんあかん!そんなんあかん!このアホみたいな父の計画を何としてでも止めなあかん!
止めることが出来るのはこの秘密を知っている私だけ!!
明日母に言います!!
でも口止め料後半年もらえるしなぁー。
あと美味しいラーメンも。。。
もう後3ヶ月くらいは乗っかっとくかぁ!