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【書籍発売中】追放騎士は冒険者に転職する 〜元騎士隊長のおっさん、実力隠して異国の田舎で自由気ままなスローライフを送りたい〜  作者: 犬斗
第八章 真夏の大冒険

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第257話 見つけに行こう4

 翌日の早朝、俺たちは飛空船に乗り込んだ。

 フェルリートとアリーシャが見送ってくれる中、朝焼けを迎えた夏空に向かって離陸。

 操縦桿を握るのはラミトワだ。


「なあ、ラミトワ。この島に着陸できる場所はあるのか?」


 離陸して船体が安定したところで、俺は操縦室のテーブルに広げた宝の地図を指差した。


「最新の地図で確認したよ。森に覆われてる島だけど、岬の近くに砂浜があったから着陸できるかもしれない。でも、実際に行ってみないと分からないかな」

「じゃあ、現地で探す感じか」

「そうだね」


 しばらくの間、海上を飛行。

 西へ向かう俺たちの背後から、徐々に昇ってきた太陽が強烈な光で照らす。

 宝探しを前祝いするかのように、海面が黄金色に輝いていた。


 ――


「あ、見えてきたね」

「あれか」


 太陽が頭上に近づいた頃、いくつかの島が見えてきた。

 地図と同じ島の数と形状だ。

 古代王国時代の地図というが、飛空船もない時代にどうやって地図を作ったのだろうか。

 俺には想像できないことばかりだ。


「岬に近づいてみるね」


 ラミトワが飛空船を下降させた。

 宝の印がある岬は断崖絶壁や急斜面の丘陵で、さらに岬全体を木々が覆い尽くしている。

 どう考えても着陸は無理だ。

 いや、岬を歩くのも難しいだろう。


「うーん。宝の場所は、この岬の先端を示してる。岬に着陸できたらすぐに宝を取ることができるんだけどなあ」


 ラミトワが飛空船の速度を落とし、ゆっくりと岬の上空を進む。

 何度も地形を確認したラミトワは、大きな溜め息をついた。


「やっぱり空からは無理だね」


 ラミトワが諦めたかのように、両手で肩をすくめた。


「二千年以上前の地図だぞ? 空からの侵入を想定していたのか?」

「さすがにそれはないと思うけど、難易度は高いね」


 飛空船の登場で、人類の行動範囲は大きく広がったが、それでも未踏な場所は多いと聞く。


「正直なところ、飛空船で簡単に行けると思ったんだがな」

「そうだね。でもさ、面白くなってきたじゃん。やっぱり宝探しはこうでなきゃ」


 ラミトワの顔つきが変化した。

 クエストでも滅多に見せない、引き締まった表情だ。

 運び屋として、この難題に挑戦したい気持ちが出てきたのだろう。


「あ! 皆さん、見てください。岬の先端は洞窟になってます」


 双眼鏡を覗くティアーヌが声を上げた。

 俺も腰のベルトから、自分の単眼鏡を取り出す。

 ティアーヌの言う通り、岬の先端は洞窟になっていた。


「確かに洞窟だな。ということは、宝は洞窟の中か。いずれにしても、空からは無理だったな」


 洞窟は海と直結している。

 入口の大きさは縦横五メデルトといったところだろう。

 洞窟の入口で、波が大きく飛沫を上げている。

 中の様子までは分からない。


 この洞窟の大きさでは、飛空船で入ることは不可能だ。

 海側から洞窟に入るには小船が必要となる。


「ざっと見たけど、やっぱり岬は無理だね。岬の近くにある砂浜に着陸させるよ」

「分かった」


 ラミトワが飛空船を旋回させた。


 ――


 砂浜は想像以上に広く、波打ち際から離れた位置に着陸させることができた。

 ここなら満ち潮になっても、波の影響はないだろう。


「さて、この砂浜から岬までは三キデルトだ。遠くはないが、密林の中を進む必要がある」

「岬の洞窟の入口も探さなきゃね」


 ラミトワが地図上の岬の入口を指差し、丸で囲むように人差し指を動かした。


「洞窟の入口は、岬の付け根にあると思うか?」

「上空から見た感じだとそうだね」


 俺はティアーヌに視線を向けた。


「ティアーヌ。どうする?」

「え? 私ですか?」

「そうだ。今回はお前が仕切るんだ。お前のための探検だからな。楽しめよ」

「わ、分かりました」


 地図に視線を落とすティアーヌ。

 右手を顎にそっと添えた。


「えーと、この砂浜から岬の入口が三キデルトで、岬の入口から先端までは五キデルト。洞窟も同じ長さだと考えると……」


 小さな声で呟いている。

 呟きながら、考えをまとめているのだろう。

 ティアーヌが全員を見渡した。


「今回は宝探しとはいえ、とても危険です。飛空船に待機する方はいますか?」


 全員が首を横に振る。


「ラミトワちゃんも?」

「もちろんだよ。探検するために来たんだもん。それに、マルディンがいるもん。大丈夫だよ」


 ラミトワが俺の腕を軽く叩いた。

 笑みを浮かべて、俺を見上げている。


「お前が飛空船で待機してくれると助かるんだがなあ」

「嫌だよ! 私も探検するんだよ!」

「まあそうだよな。せっかくここまで来たもんな。無人島だし、ここに停泊させても大丈夫か」


 俺の飛空船は空中停泊も可能だが、無人にした場合、流されてしまったら取り返しがつかない。

 この島に来ることはギルドに届けているが、宝探しで遭難なんて絶対に避けるべきだ。


「ではこうしましょう。まず洞窟の入口を探します。スケジュールは最長三日で、寝泊まりは飛空船で行います。三日以内に洞窟を発見できなければ撤退します。洞窟を発見できたら、往復十日の予定で探索しましょう。洞窟に入ったら、寝泊まりは洞窟内で行います。ですので、今回の宝探しは最長で十三日間とします。少しでもスケジュールを超えそうでしたら撤退します。いかがですか?」


 ティアーヌの休みは三週間だが、悪天候なども考えておく必要がある。

 十三日は妥当な線だ。


「いいと思うぞ。無理のないスケジュールだ」


 ラミトワとシャルクナも頷いた。


「では、さっそく洞窟の入口を探しましょう」


 俺たちは上陸の準備を開始した。

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