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時を駆ける娘  作者: 来栖 傳
1/2

スタート

還暦すぎても中二病って、治らないものなんですね…

仕事していても、怒りまくっている嫁の顔を眺めながらでも、頭の片隅では、

(あ~、これってネタになるな~。面白いお話にならないかな~)

としか考えて無くて…

「えっ?今のもう一回教えて?」

的なふざけた態度と思われて心外です。

帰宅すると三十路過ぎの知らない女性が待っていた。

「未来から来ました。あなたの娘です」


へ??俺の娘?確かに目鼻立ちが俺に似ている…

そして多分、母親由来だろう。

首の下、俺の好み的な質量感…

「いやらしい。娘に欲情するなんて」

「いやいや、仕方が無いべ。男の本能的に」

「ともかく、貴方のせいです」

「は???」

「片親で育ったからと言って、育児放棄するは、外に女を作るは」

「・・・・」

確かにやりかねない。自覚は痛いほど有る。

「おかげで、片親で育ったわたしも、育児が出来ない女になったじゃん(怒)」


あー、離婚したんだ、将来のオレ…

「だから、あなたの苦しみも理解したわ」

「え?」

「だから、あなたを赦すことにしたの。だから、しっかり、生きてね。それでなければ結婚しないで」


娘(仮)は、そう言うとパッと姿を消した。

元居た時代に帰ったのか?

それとも、俺の未来から結婚が無くなり、彼女の生まれない世界線に遷移したのか、俺?


「それから結婚しない。認知しないで、産ませるのもダメ」

あ、やっぱり結婚から逃げたんだ俺。

「あ、そのな、名前は何て付けたんだ?」

「何!それもおぼえていないの?」

「いや、無理だろう。現時点でのオレに何がわかるの?」

「あ、そっか。時雨しぐれよ。何、この名前?いかにも流れて欲しかったみたいな」

「おう…いや、しぐれアイス好きだからじゃ、無いかな?流産してほしいなんて、そこまで血も涙もない男じゃないはずだが」

「・・・どっちにしても、最低な命名ね」

「あ、消えた。いくらなんでも、あの子、かわいそう過ぎるな。何か、彼女も俺も幸せになれる方法は無いものかな???」



「それから、一夫多妻制は未来でも違法だからね」

「あ、やっぱり、それ考えたか。未来の俺」

「ママが言っていたわ。何歳になっても、中学生みたいなことを言っている男だったって」

「だった?」

「あ…ごめん。未来のあなたは長生きしてないの」


「・・・なんだって~!!!」

「あ、やっぱり自分の寿命は気になるのね」


「ゴホン。いや、それは否定しないが。いったい何が起きるんだろうか、その世界線の俺に」

「うーん、もうこの世界線のあなたなんだけど。疑問に思わないのかな?この私の能力」


・・・・

・・・

・・

「あれ?その方向の考察は放棄してたは(笑)あんまり、情報量が多くて…」

「言っておくけど、私の能力は母方からの遺伝よ。それぞれの代で発現するものは違うけど。そしてあなたは、ママの怒りを買ったわけ」

「なんだって?まさか、俺、処されちゃうの?君のママに」「そう、あなたの嫁によ」

「しない、絶対にしない、結婚しない。これでいい?」

「そうしたら、私が生まれない未来しか無くなるじゃない。駄目よ。もっとまじめな人になれるよう、私が監視するから、頑張って」

「それでも良いから。君のいのちと、俺のいのちと、君のお母さんが犯罪をしなくて済むように。何なら世界が平和になるように、監視して」




数か月後、同居もすっかり馴染んだ(年上の)娘の日記が、これ見よがしに炬燵の上に置かれてることに気が付いて、数日後、

はぁ、これは読めということだろうな。なになに…

(ママへ、私そっちに戻れなくなったみたい。世界線がもう繋がっていないみたい。何度か戻ろうと思ったんだけど、能力が使えないのね)

何と言うことだ。彼女のためにと思ったことが、藪蛇になっていたのか…

(そしたらね。昔、パパの写真見ながら、若いころのパパってイケてたってママがした話を思い出したのね。

そして、その時にね、格好いいパパに会ってみたいと思って、そしたらこの能力が使えるようになったのね。

だから、パパに会いに来たのは必然だったわけ)

ふーん…

(だからママもわかるでしょ。何か、パパって守ってあげないと、危ないみたいな感じなわけじゃん)

{だから、この世界でのパパは私が守るから、ごめんね)


・・・ごめんね????

・・・パパを守る???

ごめんね?




「あ、パパったら私の日記見たでしょ」


あれ?出かけているはずの時雨が部屋に居る。

まさか「転移」の能力も?

「うーん、それだけじゃ、無いんだな。パパって意外と鈍いのかな?」

そう言われると、この数か月の生活についても、フワフワした記憶ばかりで、せっかくの娘との同居も記憶がおぼろげだ。

「うん。でも、幸せだから、私。生まれて、初めて」

時雨が、身重の身体を俺に預けながら、いつものように甘える。

「良かった。君が笑顔なら、パパも幸せだよ」

「私もだよ。だから、この時を固定するね」

・・・・・・・

若いころからモテモテだったから僕は飾らないよ。

そう、

「ハーレム、いいじゃん」「道ならぬ恋、どんと来い」「親友の彼女?ってことは、悩み事相談でワンチャンあるかもね」「合コンで無視されている子は僕が話しかけるから…だって、ルックスで損してる子の気持ちは僕もわかるから」⇒「なんか、勘違いさせてしまった」「いや、合コンメンバーの無限の打出の小づちと考えるんだ」「なんか、付き合っても居ない娘から駄目だしされた。女言葉使うなって。だって、姉さんの友達グループの中で育ったから仕方ないべ」「きれいな男の子も大好きだよ」「きれいなものを見るのが好きだ」って、性癖全開で良いと思います。

我が家なんて、もうユニセックスなんで、奥様の気に入らなかった服、ボロボロまで着込んだ服は、いつの間にか僕のクローゼットに入っているし、化粧歴は僕の方が長いから彼女のメイクは僕の監修で学んでいったもの。いまだに服も小物も、僕に意見を聞いてくる。そんな僕の本音を書いていきます。

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