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二、旅立ちの物語。

この世界の名はアスガラード。


この国の名はハパネス。


僕、勇者じゃ無い方の田中光太郎は一刻も早くこの城を出ようとしていた。


一つはレベルゼロだとバレると恥ずかしいから。


そしてもう一つはそんなレベルゼロの僕を召喚した事がバレたら国の恥として消される、と思ったからだ。


僕は急いで少しばかりの食料と、安物のナイフとローブを買い込み、この城を出て東にあるという街へと向かった。


できれば立派なこの城を巡って、楽しい異世界ライフを満喫したかったのだが、そんな事は言ってられない。


こっちは抹殺されるかもしれないのだ。





…ところで皆さんはRPGをやっていて城や街の側にモンスターが出現する事に違和感を覚えた事はないだろうか?


例えばスライムとか人をからかうのが目的な弱っちいモンスターが出現するのはわかる。


でも人を襲うドラゴンとかがウヨウヨしている場所に人が城や街を築くだろうか?


いつ襲われるかもしれない。


子供と外に遊びにも行けない。


日本で言えばクマやハブが出没する地域に住んでいる人もいるが、多くの街ではそんな心配する事も無く生活しているはずだ。


だからここ異世界でも、少し道を外れた山や洞窟なんかにはモンスターが生息しているかもしれないが、少なくとも街の近くには人を襲うようなモンスターはいないと思うのだ。




…何故そんな事を言ったかと言うと、ハパネス城を出て、ここトーカドットの街までやって来た道中、一匹のモンスターにも遭遇しなかったからだ。


考えられるのは、先程言った自論。


もしくは、レベルゼロの僕はモンスターに相手にされていないからだ。


というのも実は道中カエルのモンスターが現れた。


たとえ弱そうに見えてもこっちはレベルゼロ。


HPはそんなに無いだろう。


たった一撃で殺されてしまうかもしれない。


なんなら転んだ位でHPがなくなってしまうかもしれない。


でも一匹でも倒せば、すぐにレベル1になれるかもしれない。


とにかくやってやる…。


そう思ってナイフを身構えた僕。


ところが、そのカエルは僕と戦う事なく、プイと踵を返して走り去っていったのだ。


呆然と立ち尽くす僕。


モンスターからしたらレベルゼロの人間なんか相手にもしてくれないのか…。




こうして僕の初めての冒険は消化不良の不戦勝に終わったのであった…。









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