魔女とエトワール
事故で片足が無くなったエトワールは、誕生日に両親から義足をプレゼントされた。彼女は毎日つらいリハビリに耐える。それは、両親や親友のローズに、以前のように笑って欲しいから。
何度倒れても、その気持ちは変わらなかった。来る日も来る日も先生に立ち方のコツを教えてもらっていた。床に金の髪が付いても、白い肌に痣が付いても、エトワールは挫けなかった。
それが報われて欲しいと思った両親は、険しい山を越えて、西の魔女に頼った。怪しい薬と高額の依頼費も、両親にとっては苦ではなかった。魔女は言う。
「善意で薬を調合するほどお人よしじゃないよ」
と。
続けて魔女は、「薬の代わりに、エトワールの友人を一人生贄として差し出せ」と言った。藁をもすがる気持ちだったエトワールの両親は、彼女の親友ローズを騙して西の魔女に差し出してしまう。
「絶対に許さない!」
ローズの叫び声は虚しく、魔女の館に響き渡る。しばらくしたら、薬が出来上がった。エトワールの両親は、罪悪感と後悔を抱きながらも、その薬を疑うことなく彼女に飲ませた。
煙とともに、失ったエトワールの足が生えてくる。両親と彼女は肩を寄せ合って涙しながら笑い合った。しかし、
「お父さんお母さん。ローズにもこの姿を見せたいわ。きっと喜んでくれるはずだもの」
そう言うエトワールに両親は困ってしまった。ローズの話題を出さないように、両親は彼女に全身鏡をプレゼントする。
エトワールが喜びながら鏡を見た。でも、そこに映ったのは、ローズの姿だった。目の前のローズが鬼のように形相を変えて言う。
「絶対に許さないから」
その言葉を聞いた日からエトワールは、一生笑わなくなったという。後悔と悲しみに打ちひしがれる両親のもとに、遠くの山の頂から魔女の高笑いが聴こえた。




