表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR

厳選短編集(いくとさんのSS本棚)

魔女とエトワール

作者: 白夜いくと
掲載日:2022/05/22

 事故で片足が無くなったエトワールは、誕生日に両親から義足をプレゼントされた。彼女は毎日つらいリハビリに耐える。それは、両親や親友のローズに、以前のように笑って欲しいから。

 何度倒れても、その気持ちは変わらなかった。来る日も来る日も先生に立ち方のコツを教えてもらっていた。床に金の髪が付いても、白い肌に痣が付いても、エトワールは挫けなかった。


 それが報われて欲しいと思った両親は、険しい山を越えて、西の魔女に頼った。怪しい薬と高額の依頼費も、両親にとっては苦ではなかった。魔女は言う。


「善意で薬を調合するほどお人よしじゃないよ」


 と。

 続けて魔女は、「薬の代わりに、エトワールの友人を一人生贄として差し出せ」と言った。藁をもすがる気持ちだったエトワールの両親は、彼女の親友ローズを騙して西の魔女に差し出してしまう。


「絶対に許さない!」


 ローズの叫び声は虚しく、魔女の館に響き渡る。しばらくしたら、薬が出来上がった。エトワールの両親は、罪悪感と後悔を抱きながらも、その薬を疑うことなく彼女に飲ませた。


 煙とともに、失ったエトワールの足が生えてくる。両親と彼女は肩を寄せ合って涙しながら笑い合った。しかし、


「お父さんお母さん。ローズにもこの姿を見せたいわ。きっと喜んでくれるはずだもの」


 そう言うエトワールに両親は困ってしまった。ローズの話題を出さないように、両親は彼女に全身鏡をプレゼントする。


 エトワールが喜びながら鏡を見た。でも、そこに映ったのは、ローズの姿だった。目の前のローズが鬼のように形相を変えて言う。


「絶対に許さないから」


 その言葉を聞いた日からエトワールは、一生笑わなくなったという。後悔と悲しみに打ちひしがれる両親のもとに、遠くの山の頂から魔女の高笑いが聴こえた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 怖いお話でした。 エトワールは知らなかったとはいえ、 生えた足以上のものを失ってしまいましたね…。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ