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第五話 スミリ

「ここは……。」

白久は、真っ暗な場所にいた。

正確に言えば白久の意識はそこにただ一人、漠然と立っていた。


「死んだ……のかな。皆を、守れずに……。」

白久は続ける。

「わたしのせいでああなったみたいなものなのに……。今もみんなは苦しい目に合ってるのに、わたしだけ逃げるなんて……!」

彼女はこぶしを力いっぱい握った。


その時、どこからか声がした。

「あなたは……変わらないのね。いつになっても。」

「だ、誰?!」

白久はあたりを見回す。

瞬間。

真っ暗な空間に月光がさし、白久の目の前には同い年ほどに見える、黒の服に腰までの金髪、黒のレースをかぶった女の子がいた。

「私の名? 私の名は、」

彼女がそう言ったと同時に、白久は言う。

「スミリ。」

「! なぜそれを?」

「なんとなく出てきたの。」

「そう。まぁいいわ。それより私がなぜあなたをここに呼んだのかを話さないといけないわね。」

それを聞いた白久は焦り言う。

「あなたが悪い人じゃないのはわかるけど、今は時間がないの。急がないと!」

「そういうところも変わらないのね。でも、今は聞きなさい。」

スミリは少しの間を開けてから言う。

「まず、あなたはわたしと契約をしているの。そしてそれはあなたの前世から。だから分かるの。あなたの魔法は[斬れないものが斬れる]魔法。そして私はあなたの手伝いをするためにここにいるの。だから、私の名前を呼びなさい。そうすれば、あなたを助けるわ。」


それを聞いたそのとたん、白久の頭には、前世の記憶が流れ込んでくる。

悪魔が人間を傷つける中、自分は悪魔と仲良くできないかと努力をしたその記憶が。

そして悪魔に裏切られ、結局戦うことになってしまったその記憶が。

その結果、強欲の悪魔と契約をする強欲の魔女に殺されたその記憶が。


それと同時に白久の意識は現実へと引き戻された。

そして白久の耳には

「早く……逃げろ……!」

の陸の声が届いた。


それを聞き、白久は言う。

「大丈夫、陸。わたしなら。」

「な、なにを……?」

陸は必死に起き上がろうとする。

しかし、彼の左手はないに等しい。その上その激痛に耐えながら起き上がるというのはさすがの彼でもできない。

陸がそうしてもがいていると、それを見た白久はこう言って

「陸、無理しないで。大丈夫だから。」

続ける。

「スミリ、お願い! 力を貸して!」

その瞬間、白久の後ろには大きな悪魔スミリが姿を現し、辺り一帯に悪魔の気配が漂う。


「それがお姉さんの本気だね?! 楽しみぃ!!」

暴食の悪魔はそう言って両手をほほに添える。

そんな彼女に、白久は折れた刀を向けた。


そしてその剣先は白久の魔力によって半透明ではあるが金色に生成される。


『行くよ。』

白久にはその声が聞こえた。

「うん!」

白久は言う。


その瞬間、白久は暴食の悪魔の背後へと瞬時にして移動する。

それと同時に、白久は刀を振り下ろす。


しかし、暴食の悪魔は前方へと3mほど跳ね、それをかわすと、黒く、口のようなものがある炎を白久に向かって5つ飛ばす。

それを見た白久は右手に持つ刀で数回空を斬る。

すると、その斬った部分が斬撃となり飛んでいき、炎を相殺する。さらに斬撃の一つが暴食の悪魔を襲う。


が。暴食の悪魔はそれをもろともせずに右手で払う。

その瞬間、白久は瞬時に彼女の背後を取り、斬りかかる。

しかし、それに気が付いた暴食の悪魔は、一瞬にして振り向き、竜の顔のようにした右手で白久に噛みつこうとする。


その時。

白久は振り下ろしきっていた刀の刃を反対向きにし、切り返す。


シャンッ


[斬れないものを斬れる]それが彼女の魔法。

白久は暴食の悪魔の右手を簡単に斬り落とした。

それまでではない。

さらに白久は刀の刃を切り返し、暴食の悪魔の左手をも斬り落とした。


それには、流石の暴食の悪魔もたじろぎ、瞬時に5mほど距離を取った。

「痛い……痛い痛い痛い痛い痛い痛い!! あんた、欲もやってくれたな!!」


が、暴食の悪魔は一瞬にして両手を再生し、白久に再び襲い掛かってくる。

しかし、今の白久にはスミリが付いている。

近づいてくる暴食の悪魔をスミリが吹き飛ばし、さらに瞬間で彼女に近づき、心臓と言える部分を突き刺した。


「うがっ!」

暴食の悪魔は、そんな声を出したと思うと、刀の突き刺さったまま動きが止まる。


その瞬間。


バゴー――ン


そんな音がしたかと思うと、結界が一瞬にして壊れると共に暴食の悪魔は、遠方の電柱にたたきつけられていた。

「えっ?」

その時、状況が把握できずに混乱する白久に、

「大丈夫かい?」

その声が背後から聞こえる。

それと同時に、白久はスミリを解いた。


それは白久にとって紛れもなく聞き覚えがあり、そして安心できる声だった。

そう、白久の後ろにいたのは、桐谷だった。

「白久君、君は……大分成長したようだね。それで、状況は?」

彼はそう言う。

白久は顔を下げてこう言う。

「芳しくはないです……。みつきは左手、陸は右手を折られて……。」

「なるほどね……。よし、5分で終わらせよう。」

桐谷はそう言って、こちらに近づいてくる暴食の悪魔へと近づいていく。


「ねぇ! アンタ誰!? アタシの戦いを邪魔しないで!」

暴食の悪魔は、余裕のない怒りを浮かべている。

一方

(大分弱っているな。)

そんなことを考えている桐谷は

「ハハ、そうかい。」

そんなことを言ったかと思うと、瞬時にして暴食の悪魔へと近づき、蹴りを入れ吹き飛ばしたかと思うと、その先にはすでに桐谷がおり、彼女の肩に触れた。


その瞬間、暴食の悪魔の体は、一瞬で地面に倒れこみ、動けなくなる。

「アンタ、何をした?!」

それを聞いた桐谷は、余裕の表情を浮かべ言う。

「僕の魔法は[重力操作]。簡単さ。君への重力を5倍にしただけだよ。」

その言葉を聞いた後、暴食の悪魔はさらに険しい顔つきななる。

その様子を見て、桐谷は言った。

「そろそろかな。」

その時、暴食の悪魔の体は弾け飛び、消えていった。


それをした桐谷は、休む間もなくすぐさまこちらに来て、今度はこういう。

「すぐに帰るぞ! 二人を運ぶ!」


「はい!」

白久はみつきを背負いあげ、そう言った。


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