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結局、俺は何にも描かない  作者: イケザワ
3/5

2 バイトからの再会

外はすでに日が暮れはじめていて、淡いオレンジを塗りつぶすかのように深い群青が空を染めていた


こういうのをアートというのだろう

柄にもなくしんみりしていると、それを裂くかのようにグーッと腹の虫が鳴った


「やべ…腹減った。家で作るのめんどいし、今日は外で済ますか」


今日の締め括りだ。

当然ながら、半端なチョイスは避けたい。

だが、給料日前で金は無い

藤間は定期的になる腹の虫と格闘しながら、目を左右にキョロキョロと動かしつつ、この腹の虫を黙らせるぐらいの飲食店を長い時間をかけて吟味していた


グギュルルルル~…


「ダメだ、決まらない。」

もうかれこれ2、30分は経過しただろうか

決断力も金も無いのに、妥協は嫌、これが藤間クオリティ


「うあああ…決まんねえ~!」


「あれ?もしかして藤間先輩ですか?」


頭をかかえながら情けない声を発していると、後ろから藤間の名前を呼ぶ声がした

振り返った藤間の目に飛び込んできたのは見知った人物だった。

「お…お前は…」


「お久しぶりです、藤間先輩!」

かつての同僚、柳 千尋やなぎちひろがそこにいた。

「おお!!やっちんじゃん!!元気してた?」

「ええ、藤間先輩もお変わり無さそうで!」


補足しておくと、やなぎちひろだから、やっちん。分かりやすいね!


「懐かしいなあ…やっちんってあだ名…」

「そっか、今は名雲綾戸なぐもあやと先生だもんな!」

「いや、藤間先輩に先生と呼ばれるとこそばゆいですねえ…」


柳は頬を人差し指でポリポリかきながら、少し顔を赤らめた

こんなかき方リアルでするやついるんだ…

ちなみに名雲綾戸は所謂、彼のペンネームである。


そう、彼は漫画家なのだ。


以前は藤間と同じ書店員のバイトとして働いていたが、漫画家のデビューが決まった事により、執筆に専念する為、2年前にバイトを辞めている。

藤間よりも後に入ってきた為、一応同い年だが、藤間の方が立場的には先輩だ。


「やっちん…その先輩ってのやめてくれよ。同い年なんだしさ、それに仕事辞めてるんだから、いつまでも先輩呼びしなくてもいいんだぜ?」

「いえ!先輩は先輩です!」


柳はこういうとこ頑固だよなあ…と思いつつ頭をポリポリとかく


「そういえば、先輩はこんなところで何を?」

そう柳に質問されたところで、思い出したかのように腹の虫が再び空腹を告げた。

「いっけね!腹減ったから、今良さそうな飯屋探してたんだわ。忘れてたぜ」


「先輩さえ良ければオススメの居酒屋あるんですけど、行きませんか?」


稼いでる漫画家は旨いものを食べている

そうに違いない、いや、きっとそうだ!

しかし、歳上が奢るべきなのだろうか…そう思いながらも渋々口を開く


「飯代はこ、ここっ、この藤間様に、まっ…任せなさひっ!」

噛んだ

どもった上に噛んだ


「何を言ってるんですか!先輩にはお世話になったのでお代は僕がもちますよ」


「マジっすか!?」


「ええ、なので先輩さえ良けれ…」

「行こう!!」

柳が言い終わる前に食いぎみに返答した


投稿ペースが安定しないなあと思いつつ、頑張って書いていきたいです。

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